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先端技術

村藤功 企業財務 M&A

23/05/22

今日は世界の最先端技術について話します。先端技術と言っても色々あり、やはり最近良く聞くのはチャットGPTかと思います。瞬く間に世界を席巻して、よく生成AIと耳にしますが、AIの中の1つのものです。生成AIとは、ジェネレイティブAIのことで、何かを生成するという意味で、生成AIと言います。質問すると、文章や絵などを入れて答えてくれるのを生成AIと言います。

これは去年11月くらいにオープンAIというマイクロソフトの出資している会社が、チャットGPTというのを発表して、既に後継機のGPT4というのが出ています。マイクロソフトとしては、面白いのができたのでもっと活用しようと、マイクロソフトのクラウドのアジュールや、マイクロソフトの検索ソフトのビング、エクセルやパワーポイントなどに入れて色んなところで生成AI使えるようになりました。色々なところで何か聞くと、何か答えが返ってくるというようなことになりました。今まではそういうものは、グーグルやメタ辺りが進んでいると思われていました。ところがあまりにオープンAIのチャットGPTが話題になったので、グーグルも慌ててバードというものを発表して、5月10日に日本語版もリリースしたところです。そういう意味では生成AIの戦いが始まったところです。これはある会社によれば、毎年35%程度成長して、2030年、7,8年後には、15兆円程度のマーケットになるのではないかとのことです。GDPで7%くらい世界は成長するのではないか、3億人の人がAIとロボットチームに仕事を奪われるのではないかと、結構大変なことを言っています。我々は何か面白いものが出たと、論文にどうやって使おうかと、そういう話をしている程度で、それぞれ使ってみることを始めたところです。

しかし、倫理的かどうかということも少し問題になっています。本当は使ってはいけない個人データを収集するのではないか、フェイクニュースやフェイク画像が出回って、何が本当か分からなくなってしまうのではないかという話もあり、イタリアが一端チャットGPTの利用を止め、また、イーロンマスクが当分この研究を止めろと発言するなど、色んなことが起こっています。

答えるクオリティがアメリカの司法試験の上位10%程度に当たるような精度の高いものだというので、みんな少し驚いていますが、日本語はまだ相当酷い状況です。数十カ国語に今展開しようとしているところで、最初は精度の低いものから始まって、段々と精度が高まってくるということになると思います。

先端技術と言うと半導体の話ですが、日本は半導体を巡る国際競争には相当前に敗れてしまい、最近は台湾のTSMCや韓国のサムソンが、1、2位を争っているというような状況です。ただ、2020年、21年に半導体産業はとても調子が良かったのですが、去年アメリカが金利を引き上げて経済が少し不況の方に傾いたので、メモリーを使うようなパソコンやスマホ、ゲームといったものがちょっと伸び悩み、それを作っているサムソンの半導体事業は赤字になりました。それからメモリーはサムソンが強いのですが、ロジック半導体と言って色んな自動車や機械に使うような半導体を作っているTSMCも少し売り上げが下がりました。アメリカとしては、そもそも中国が台湾を併合してTSMCを奪取してしまったらどうするのかと、中国に半導体規制を出しているのにナンバーワンのTSMC取られるとまずいじゃないかという状況になっています。

そんな中で、日本のラピダスっていう会社を知っていますか。日本も半導体産業にまた復活しようという計画を日本政府が立てて、これに5兆円を注ぎ込みます。5兆円注ぎ込んで、あと数年経ったところで北海道の千歳に2ナノ工場を作ろうとしています。今、半導体というのは段々と微細化していて、5ナノ位を4ナノ、3ナノ、2ナノ、1ナノっていうふうに、これから数年かけて更に微細化するという流れです。2ナノというのはすごい最先端です。半導体事業を止めてしまったIBMも協力しており、色んな所が協力して日本もまた半導体産業に復活しようという戦いをやっています。更に言うと、微細化の流れはもう限界に来たのではないかと言われていて、微細化ではなくて、3次元化や後工程に集中する、光と電子を融合させるなど、これまでと別のところで競争しようという研究が進んできて、またちょっと新たな展開を迎えようとしているところです。

今日のまとめです。生成AIや量子コンピューターなど、先端技術の開発に向けた競争が加速しているところです。ただ、インフレ対応の金利引き上げで世界景気が後退したので、メモリーを始めとして一部半導体が供給過剰で、IT大手も雇用調整が進んでいます。中国の台湾併合の可能性を恐れて、日米政府としては、共同して先端半導体開発に取り組んでいて、ラピダスという会社を作って5兆円かけて北海道に2ナノ製造委託工場を作ろうというような計画が進み始めています。

分野: 財務会計 財務戦略 |スピーカー: 村藤功

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