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英国における異文化(59)「ウェールズ」

鈴木右文 英文法理論、コンピュータによる英語教育

23/05/17

今日はイギリスにおける異文化シリーズ、題材はウェールズです。ウェールズという名前は色々なスポーツで耳にされていることと思いますけれども、スコットランドとかアイルランドに比べると、我々には少し印象が薄い気がするのではないでしょうか。

何故印象が薄いのかはよく分からないのですけれども、一つ考えられることはウェールズが元々おとなしい土地柄だからという気がします。スコットランドとイングランドは昔から対立していましたし、アイルランドはイングランドと戦っていた、テロの多かった時期もありましたし、それに比べるとウェールズはイングランドと争っていたという印象は我々にはないので、そういったことも手伝っているのではないでしょうか。

ウェールズの首都はカーディフという所です。スコットランドのエジンバラに比べると知名度はないでしょうか。有名なウェールズの土地の名前を幾つか挙げてみますが、どのぐらい皆さんご存知でしょうか。カーナヴォン、コンウィ、キルフェリー、スランベリス、スランドゥドノ、セント・デイヴィッズ、スォンジー。ご存じないでしょうか。非常に不思議で、スコットランドと言えば、エジンバラ、グラスゴーは大抵皆さん知っているわけです。

私の場合はウェールズと言えば、自分の家で飼っている犬がウェールズの原産であるコーギーと言う種類の犬を飼っています。正式にはウェルシュ・コーギー・ペンブロークと言う名前で、ペンブロークと言うのはウェールズにある土地の名前ですけれど、いわゆる短足・胴長のあの犬です。

ウェールズは1282年と随分古くにイングランドから征服を受けて以来、ずっとイングランドの傘下で、特に大きな戦いはありませんでした。ウェールズは元々ケルト人が小さな王国を沢山作っていて、一つ一つを公国、英語では"principality"と言うのですが、小さな公国に分かれていたということもあって、そこにイングランドが一斉に押しかけてきたらひとたまりもなかったということです。正式にイングランドと統合したのは1536年ですが、その時も特に反対運動で抵抗があったとか、そういうわけではなかったということになります。

先ほどケルト人と申し上げましたが、元々は大陸からやってきたケルト系の人たちで、そういう人たちの名前をブリトン人と呼びます。ブリトンという名前はブリテンと近いわけですが、ここから名前が来ています。元々はフランスのパリから見て北西の方角に突き出ている角の部分の半島、これをブルターニュ半島と言います。そこからブリトンとブルターニュは同じ語源です。ブルターニュ半島の方を小さいブリテン、英国の大きな島のことをグレートブリテン島と言いますけれども、これは大ブリテンです。大ブリテンと小ブリテンというペアになっています。

公用語はウェールズ語というものがあり、こちらは英語と同じインド・ヨーロッパ語の中に入るのですが、英語はゲルマン語派と呼ばれているドイツ語の仲間です。それに対してウェールズ語はケルト語の仲間です。どのぐらい違うのかは、実際ネイティブな人が喋らないと分からないと思うのですが、私が聞いたところではかなり印象が違います。公用語ではありますが、ウェールズ語が話せるのは人口の二割ぐらいで、実際には英語が一番通用しています。ですが色々な復興運動と保存運動があって、二割話せているというのはかなり多い数字だろうと思います。法律上、ウェールズ語が公用語になっているので、道路標識や様々な案内表記も英語とウェールズ語で二語併記しているところが普通です。

気候はイングランド地方に比べると雨も多く、イングランド地方は草がボーボーという感じですが、ウェールズの方は木々が生えているという感じで、日本の田舎に似ている気がして、日本人としては訪れてホッとするような景色です。

産物としては鉱山が多くてスレートが採れたり、石炭が採れたり、鉄鉱石が採れたり、世界遺産にも鉱山が選ばれているぐらいです。調べてみるとブレナヴォンという名前の世界遺産になっています。ただ、こう言われても、ウェールズの有名な食べ物とかが話の中に出てこないので、やはりそれも印象が薄い一つの理由でしょう。ただ、行ってみるととても良い所なので、他のイギリスの地方を訪れた方は、次はウェールズに足を伸ばしてみることをお勧めします。スノードン山と言って山の頂上まで登山列車が通っている凄い所もあるので、是非皆さん興味を持って色々調べてみてください。

今日のまとめ:
今日はイギリスの四大地方の一つ、ウェールズ、いまひとつ影が薄いのですが、それが故に取りあげてみました。

分野: 異文化コミュニケーション |スピーカー: 鈴木右文

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