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ピンチをチャンスに変えた町工場の経営改革⑤~コッターの変革の8ステップ

芹沢宗一郎 組織・リーダーシップ研究

23/03/06

4回にわたり、フジイ金型という町工場の事例をつうじて、環境変化に対し、いかに中小企業の経営改革を進めていくべきかをみてきた。組織を変革するには8つのステップ、手順がある。たくさんの変革事例を考察してきたコッターが整理した「変革の8ステップ」にあてはめて、フジイ金型の藤井社長による働き方改革がなぜうまく進んでいったのか整理してみたい。

①「危機意識を高める」
人間は現実から目をそむけ、変化を嫌う傾向がある。まずは社員に厳しい現実を直視してもらう必要がある。
➡コロナショックによる業績低迷の周知。その危機に対する「緊急社長メッセージ」を配布。賞与や昇給の減額。

②「変革推進チームを作る」
組織は2:6:2にわかれる。何か新しいことを始めるときには、ネガティブ派の2割ではなく、まずポジティブ派の2割を取り込む。
➡まずはNo.2の役員と方向性を合わせチーム作り。その後、幹部メンバーに対して全体と個別で意識確認をし、賛成派を把握してチームに抱き込む。反対派とは適正な距離を取りつつ静観する(無理に刺激しない)。

③「適切なビジョンを作る」
ビジョンというのは、将来のありたい姿を掲げること。それを実現すれば、社員にメリットがあるということを感じてもらう必要がある。
➡「6稼4勤」(月~土の6日を稼働日として、そのうち4日勤務する)という新たな組織運営方法の効果や社員へのメリット、詳細な働き方を作成。

④「変革のビジョンを周知徹底する」
「6稼4勤」の内容と将来への布石の説明をまとめた資料を基に、社長自ら各部門で説明。また非公式でも社長自ら一般社員に話しかけビジョンを語る。同様にNo.2役員も積極的に公式の場(社内定例会議など)で方向性を語る。

⑤「従業員の自発的な行動を促す」
ここが難所でもありポイントでもある。社長の言ったことをそのままやれだと、社員が受け身になり、自ら働き方を工夫することがなくなる。何より仕事を楽しめなくなる。
➡約1年間のテスト期間で社員自ら工夫して対応してもらう。多少失敗しても攻め立てず新しいことにどんどん挑戦してもらう、そしてそれをほめる。

⑥「短期的な成果を生む」
組織の中に、どうせできやしないという否定的意見やムードはすぐに伝染する。それを断ち切るためにも、変革できるという事実を示し、自信をもたせることが大切。
➡1年間のテスト期間の結果を数字をもって社内で説明する。特にうまく対応できた部門を称賛し、リーダーを公の場で褒める。全社員アンケートでも大多数が賛成している事実も共有する。

⑦「さらに変革を進める」
仕組みに落とし込んで再現性を高める。
➡上手く対応できた部門の事例を発表させ、成功体験の横展開を図る。正式な就業規則変更を実施する。また全社統一的な生産管理システムを新規導入し、各部門の作業負荷平準化を図り、成功体験を積み上げる。

⑧「変革を根付かせる」
上手く対応できていない部門へ手を貸したり、設備投資を行い、成功体験を経験させる。また社外に取組を公表して、社外から称賛される雰囲気を作る。

まとめ:組織の変革を進める際には手順がある。8つのステップごとに何をどうやってやるのかを具体的にデザインしてから実行に移すことで、時間はかかっても変革の成功確率は高まる。

分野: リーダーシップ 組織行動 |スピーカー: 芹沢宗一郎

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