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地方創生のためのクリティカルシンキング2

川﨑篤之 クリティカル・シンキング

23/03/27

前回から、「地方創生のためのクリティカルシンキング」というテーマでお話しています。前回は、こういう時代だからこそ頭を使って考えるということが地方創生のためにどれだけ大切かというお話をしました。頭を考える際には、キーワードだけで捉えるのではなく、多様な知識をもって幅広く多様な視点をもって考えることも大切でした。今日は、その続きとして、物事を考える際に何が一番クリティカルにヒットするのかを考えるテーマでお話をします。

物事を考える際に、何が本来的に刺さるのか、本質を見誤らないために抑えるべきポイントなのでしょうか。

今から10年程前に、生活保護費の問題が世の中に大きくとりあげられた時のことを覚えていらっしゃいますか。医療費が膨大する中、とある芸能人のお母さんが生活保護を受給していることが判明し世間から叩かれるという出来事がありました。当時生活保護の不正受給が問題になっていたこともあり、医療費という大きな予算の議論をしている中で、最終的に生活保護費の不正受給をどうするのかに議論が集中したことがありました。しかし、実は生活保護の問題は、全体のお金の割合でいうと0.4%程度でした。実は残りの99.6%は、医療費の部分をどうするのか、その資金をどこで補うのかなど他に考えなければいけないことがたくさんありました。しかし、一部の所に興味や関心が集中してしまったことで視野が狭くなってしまい、本質的な議論を見失う結果になったわけです。


大事なポイントは、「今何を考えないといけないのか」ということです。本来的に解決するべき問題は何か、"Issue"は何かということを見失わずに、その問題の中で一番インパクトが大きいのは一体どこなのかを分けて考えていく必要があります。一時の感情や情報に流されるのではなく、本質的に何が問題なのかを考えることが出来ないと、議論が小さいところにいってしまい解決策が見出せない結果になったり、仮に解決策が見つかったとしてもインパクトが出せないということになったりします。

前回もお話をしましたが、人口減少で社会のあり方が変わっている中で、解決しなければならない問題が山積みです。全部に今すぐに取り組むことは出来ないからこそ、しっかりと何に対してインパクトを出していくのかを見定めていく力が必要だと思います。

では、具体的にはどうしたらいいのでしょうか。そのためには、実は課題の原因は複合的でその原因ごとに処方箋は違うということを理解することだと思います。一言で言うと「分解をして考える」ということです。例えば、ラーメン屋の評判が悪いとします。そのラーメン屋に対して、「ここのラーメンは美味しくない。不味い」というのは喧嘩でしかありません。これを解決するためには、何を変えたらいいかというアドバイスに変える必要があります。では何かというと、ラーメを分解するわけです。例えば、ラーメンを麺、スープ、具に分解してみましょう。「ここのラーメンは、麺と具はおいしいけれど、スープが美味しくない」と言った瞬間に、ラーメン屋の店主は具体的に何を変えたらいいかが明確になるわけです。

では次に、スープは何に分解できるのか考えてみましょう。例えば、出汁と水に分解することが出来るかもしれません。そうやって分解していく中で、この中の一体何が一番課題なのかと更に分解していくことでターゲットを絞っていくことができます。
病気であれば、病巣を見つけにいくために同様のことをやっていくわけです。当然色んな物が同じように課題はあるけれども、時間とお金と人といったリソースは限られているため、何を変えることが一番最優先でインパクトが出せるのかということを分解しながら考えていくことが大事です。「生活保護は問題だ」とビッグワードで終わるのではなく、この中のどこなのかということを一旦整理して分解してみて、一番インパクトがあって手をつけるべきだとピントを絞る力が求められています。

実は物事はなんでも分解することができます。ふわっと考えるのではなくてどこに病巣があるのかを分解して考えてみてください。最終的にその策というのは何に繋がっているのか、今日一番最初に話をしたイシューのどの部分なのか、一つひとつのレンガを積んでいく作業がただのレンガ積みではなくて、最終的にはこれがお城になるという全体像が見えるなら、その中のここを作っているということを意識しながら分解する力を身に着けていきましょう。

では、今日のまとめです。
世の中の問題は非常に複雑で、様々な物が組み合わさって出来ています。だからこそ、その課題が何なのかを捉えた上で病巣を探していくことが必要です。何に手をつけたらいいのかを考えていく上で「分解」すること、分けて考えるという力が求められています。

分野: グロービス経営大学院 |スピーカー: 川﨑篤之

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