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ブレーンストーミング②

小城武彦 経営組織論、コーポレート・ガバナンス

23/01/03

前回はブレスト、ブレーンストーミングの話をしました。そのブレストで大事な大原則としてイエス・バットではなくイエス・アンドということで話を進めていかなければならないということでした。このイエス・アンドが大変大事で、出てきたアイディアを絶対に評価してはいけません。「いいね、さらにこうしたらもっと面白くない?」これがイエス・アンドのコツです。これをやるとアイディアがどんどん出てきて、良いアイディアが生まれる、これがブレストの大原則、これを是非守っていただきたいというのが昨日の話でした。今日はさらにそのブレストをよくするためのポイントを3つほど追加で紹介します。

まずはホワイトボードを用意して全員がペンを持って参加するということです。通常の会議をやってしまうと、誰かが発言をしている間は発言できません。その時にせっかく思いついたアイディアが消えてしまうことがあります。思いついたアイディアはすぐに発言をしたい、しかし、誰かが発言しているケースがあるので、ならば書いてしまえということです。よくあるのが、会議に偉い人が座っているとどうしても口は重くなるということです。どんな反応をするかなと思ってしまう。そこで全員がペンを持って、ホワイトボードに勝手にどんどん書き込んでいく。他人が発言していても構わない。偉い人がいたら見えないようにどんどん書く。これが実は大変大事です。そしてすでに書いてあるアイディアと関連しそうだなと気づいたら線で紐付けていきます。これが既に書いてあるアイディアに乗せて、つまりイエス・アンドです、この視点でどんどん書き込んでいくということで非常に有効です。

少し堅い話をすると、心理学とか経営学の研究でブレスト自身の効果はあまり無いのではという研究も結構あります。そこには2つの原因が指摘されています。1つ目は発言の気兼ねです。特に偉い人がいる場合には発言を気兼ねしてしまう。2つ目が、人の話を聞いているときは人間は頭が止まってしまう、ということが言われています。思考が止まってしまうのです。そこで誰かが発言している時は、半分くらい聞きながら、どんどん書いていく。全員がペンを持ってホワイトボードに同時に書き込んでいくという手法はこの原因を解消するのに有効です。

勝手にどんどん書いていく、これが第一のポイントです。2つ目のポイントは、1つ目とも関連しますが、立って行うということです。これはブレストだけではなくいろんな会議で実践されています。座っていると体がリラックスしてしまい、実は集中力が落ちてしまいます。特に人数が多い場合はどうしても集中できないメンバーが出てきてしまう。座席も固定されていると結構飽きてしまいます。しかし、長時間の立った会議は辛いです。だから短時間で集中しようというモチベーションが出てきます。また、歩き回ることで、血流が増えて脳も活性化する。また、メンバー間の距離も変えることが出来るので発言しやすい環境を自ら作り出せます。ちょっと偉い人に背を向ける、などいろいろ出来ます。これがブレストに最適で、先ほど全員がペンを持って参加すると言いました。ホワイトボードの前に全員がペンを持って立ってブレストを行うことでもっとも効果が出るということで、シリコンバレーではこのようなブレストが行われています。

九大のビジネススクールで短期エグゼクティブプログラムというものがあります。企業の幹部の方々を対象に四ヶ月間集中して経営理論のエッセンスを学んで頂くコースがあり、初日のイントロダクションでこの方式のブレストを導入しています。皆初めてそこで会う方々です。企業の幹部なので皆偉い方で、なぜ私がという顔をして参加しています。短い時間でまず仲良くなってもらおうということであるテーマを提供して、立ってホワイトボードの前で全員に黒と赤の2本のマジックペンを持ってもらい、ガンガン書き込んでもらうようにします。そうすると本当に初めて会ったとは思えないくらい盛り上がり、且つ非常に面白い案が出てきます。

このブレストを是非皆さんにも試していただきたいと思っています。立って行う、ホワイトボードの前、皆ペンを持って参加する、これがポイントです。最後に3点目です。これは参加人数です。ブレストの本場のシリコンバレーの例を申し上げますが、ピザ2枚分と言われています。ピザ2枚を分けるとすると4人だと少ないので、5人から多くて7、8名。そのくらいの人数で行うのが一番お互い刺激し合いながら良いアイディアが出るノウハウのようです。今日は3点のポイントをご紹介しました。1つ目は全員がペンを持ってホワイトボードに書き込むことです。2つ目がそれを全員が立って行うこと。3つ目が参加人数はピザ2枚分であることです。

昨日今日2日間のブレストのまとめです。昨日そして今日で効果的なブレストを行うためのポイントを解説しました。盛り上がったブレストは本当に楽しいです。思いも付かないアイディアが出てきます。是非皆さんにも試して頂きたいと思っています。

分野: コーポレートガバナンス |スピーカー: 小城武彦

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