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ボストンのイノベーション・キャンパス運営会社CICの福岡進出(その2)

高田 仁 産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ

23/01/17

 先日、米国ケンブリッジに拠点を持つCIC(ケンブリッジ・イノベーション・センター)が、天神の"新福岡ビル(仮称)"に進出する正式検討に入ったことを紹介した。今回は、CICがイノベーション・キャンパス運営を行う際に重視することや、進出先として福岡を選択した理由について解説する。
 
 CICの始まりは、CICのCEOであるティム・ロウ氏が、MITのビジネススクールで学んでいたときに、MITの学生たちがスタートアップを始めるにあたってオフィススペースが借りれないという悩みを知り、複数のスタートアップ向けのシェアオフィスを始めたことに遡る。
 
 ティムは、イノベーションに必要なこととして、"MIT(Money、Idea、Talent)"と冗談まじりに言う。創業の地であるケンブリッジはMITに隣接し、ハーバードもすぐ近くだ。ボストンは金融都市としても知られる。まさに、"MIT"が揃っていた。しかし、そこに不足していたのが「起業家が集まれる場」だった。そして、CICを成長させる過程で、ティムはそのような場が満たすべき条件をノウハウとして蓄積してきた。スタートアップが近い距離で活動していると、日常的に出会いが生まれ、様々な情報が交換されて起業家の問題解決につながることを目の当たりにし、それが現在のオフィス内の複雑に入り組んだレイアウトに結びついている。また、ドリンクコーナーで提供する飲み物の種類やクオリティまでこだわっている。総合すると、「そこは起業家が居たいと感じる場所か?」ということだ。

 そして、イノベーションに向かう勢い(モメンタム)が失われないように、様々なイベントなどで場を盛り上げ続けることが欠かせないという。そのためCIC Tokyoでは、Venture Caféとも連携しながら、年間200以上ものイベントを開催している。

 また、「なぜ福岡なのか?」の理由として、(1)福岡市がグローバル創業・雇用創出特区に指定され、スタートアップが集積する土壌があること、(2)福岡が日本と他のアジアの都市との架け橋の役割を果たしていること、(3)世界の都市と直行便で結ばれているアクセスの利便性、(4)九大など優れた大学が集積していること、(5)飲食業を含め商売が盛んで沢山の起業家が存在すること、(6)周辺の自然環境を含む生活環境の良さ、を挙げている。特に、福岡という街が持つ文化が、今や"One of the coolest place in Japan."と呼ばれるほど、人が喜んで集まりたい都市である点に注目している。

 CICが福岡に進出することで、福岡発のスタートアップがボストンをはじめ世界他都市のCICと結ばれ、グローバルな展開がより加速されることが期待できる。2025年春が楽しみだ。

【今回のまとめ】
 イノベーション・エコシステムに欠かせない要素として、起業家の物理的な近さや出会いを生み出す仕掛けがカギを握る。それが、起業家の情報共有を効率化し、問題解決をスムーズにする。加えて、福岡は"人々が集まりたいと思う場所"として知られている。CICの福岡進出によってもたらされるインパクトに大いに期待したい。

分野: 産学連携 |スピーカー: 高田 仁

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