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モチベーションってどうすれば高まるの?②

福田亮 組織行動とリーダーシップ

22/11/28

前回から「モチベーション」というテーマでお話しています。「モチベーションはどうしたら高まるのか」「部下のモチベーションをどうやって高めたら良いか」がビジネスパーソンの悩みとしてよく聞かれます。前回は「モチベーション理論」として2つの理論をご紹介しました。1つ目が「ニーズ理論」で、「マズローの5段階欲求」と言われるものです。2つ目が「職務特性理論」という、仕事の中身がどういうものであればモチベーションが上がるのかという理論でした。この「ニーズ理論」「職務特性理論」は、個人の欲求や個人が望む仕事に対する要望・欲求を満たすことでモチベーションを上げていこうという理論です。これはきわめて大事な理論ですが、個々人に対して要望を聞く時間が取れない、なかなか個人が望むように仕事をデザインできいなどの現実もあり、「継続性」という面で課題がありました。しかし、今日ご紹介する残りの3つのモチベーションの理論は、今実際に人事などで取り入れられている理論になります。

まず、1つ目は「期待理論」です。これは、何かをしようと思った時に、「それをすることで得られる結果への期待値」と「その行為によって得られる報酬の魅力」など見返りよってモチベーションが決まるというものです。
ここでいう「結果への期待値」とは、自分がやりたいと思っていることをした結果、「本当に成果が上がるのか」ということです。さらに、それに加えて「金銭的報酬」または何らかの「非金銭的報酬」が与えられると、具体的にそれを実行に移そうというモチベーションにつながるというメカニズムです。

これが何か企業のメカニズムに組み込まれていると感じることはありますか。例えば、何か目標が達成できたらボーナスや評価に関係してくるというのは、この理論を活用した1例です。このように「期待理論」は、企業の報酬制度を考える前提の理論になっています。よりこの「期待理論」の効果を高めようとすると、「成果報酬」がいいのか、「歩合制」がいいのかなど様々な考え方があります。何やっても同じ報酬制度では、なかなかモチベーションが湧きにくいため、「期待理論」は報酬など分かりやすいものも含めて、モチベーションを持続させようというアプローチです。

さらに昨今、報酬だけではなかなか難しい面も出てくるため、「非金銭的報酬」も取り入れられるようになっています。「非金銭的報酬」として、前回「職務特性理論」の5つの要素にも出てきた「フィードバック」という要素がきわめて大事になっています。「認められる」「評価された」などの報酬が組み合わさることでよりモチベーションを維持できるということです。

次に、「ゴール設定理論」があります。人はより具体的で困難でチャレンジングなゴールを自分で決めるとモチベーションが上がると言われています。中でも人に言われた目標よりも、自分で考えて決めた目標で、尚且つそれが具体的で分かりやすく、自分の成長につながるような目標であれば頑張ろうと思います。
そしてここでも、より困難で高い目標に挑む上では、「フィードバックをきちんと貰える」こと重要です。掲げた目標に向けて努力し続けるためには、フィードバックが大きな役割を果たします。これも最近多くの企業で制度として導入されるようになりました。「目標管理制度」と呼ばれるものです。年1回目標を決めて、それを半年、四半期ごとにレビューして、フィードバックして取り組み、その結果を、評価や報酬と結びつけています。

この2つの理論が企業内にビルトインされていますが、なかなか運用という面では難しい現実もあります。これは変化が速く、状況によって求められるものが変化する時代では、制度もより柔軟に変化する必要があるため、なかなかこの「期待理論」や「ゴール設定理論」を仕組みに取り入れると柔軟性が無くなってしまうという問題も起きています。

最後に、「社会認知理論」をご紹介します。これは、「ゴール設定理論」と「期待理論」に加えて、人間は社会的な生き物であるため、「誰かのために」「世の中のために貢献している」という実感があると、モチベーションが上がると言われています。自分自身の自信を高めたり、モチベーションを高めたりする上では、自分以外の人や世の中に対して貢献した実感を促すことも有効です。これが最近、目標設定や期待理論にも盛り込まれることが増えてきています。ESGとかSDGSとかいう中で、より短期的な数字だけではないものにも目を向けて、モチベーションを引き出そうとしています。

ここまで5つの理論をご紹介してきました。これを上手く実践するというのはなかなか難しいですが、多くの企業がどういうことにチャレンジしているかについて、今後ご紹介していきたいと思っています。

では、ここで今日のまとめです。
実は「モチベーション理論」が、今の皆さんの会社の制度や仕組みに組み込まれていることに気づいていただける機会になればうれしいです。

分野: グロービス経営大学院 リーダーシップ 組織行動 |スピーカー: 福田亮

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