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福岡のホテル事情①

星野裕志 国際経営、国際物流

22/11/16

今日は福岡のホテルについて、お話ししたいと思います。先日のこの放送で、「都市の活性化」というタイトルで、福岡の都市の魅力についてお話しました。

森記念財団が毎年公表されている「世界都市総合ランキング」では、経済、研究・開発、文化・交流、居住、環境、交通・アクセスの 6 つの分野で、都市の魅力を数値化されており、その結果を見ると、調査対象となった48都市の中で、福岡は42位に評価されています。

42位と聞くと大したことがないようにも思われるかと思いますが、37位がワシントンD.C.、38位が台北、39位がクアラルンプールといった各国の首都とほぼ同じ位置となると、むしろそんなに高いレベルなのかと思います。

居住や環境の分野の高い評価を中心に、福岡はそれぞれの分野のバランスがとれていると考えられます。

ただその際に、文化・交流の分野では評価が低く、その理由として挙げられていた観光資源や受け入れ環境などが、必ずしも十分ではないという点が気になって、その指標のひとつである「ラグジュアリーホテルの客室数」について調べてみました。

確かに以前から福岡はホテルの数が少なくて、人気のコンサートや受験シーズンには、市内に宿泊できない、時期によっては、価格が高騰するという話はありました。

コロナ前の2019年の福岡市内の宿泊者数は、年間で978万人であったようですし、2015年から5年連続で、客室の年間の稼働率が8割を超えていたことを思うと、確かに週末やピーク時には、かなりホテルが取りづらかったのかと思います。

ただそれ自体は、大きく改善されているようです。
福岡市の2021年度版の観光統計によると、5年前の2017年度には、市内のホテル・旅館の客室数は25,522室であったのが、昨年2020年には、35,354室に増加しています。4割も増えていることになりますし、2020年だけで53軒も増加しています。

コロナの影響でどのようになるかわかりませんが、今年中にはさらに30軒増えて、39,170室になると予想されていました。

コロナ後の国内の観光客や海外からのインバウンド客の動向にもよりますが、客室数はわずか5年間で5割以上増加したわけですから、かつてのような逼迫した状況は、なくなるのではないかと思います。

ただそれは数の問題であって、もうひとつの受け入れ環境としての「ラグジュアリーホテルの客室数」には、まだまだ課題がありそうです。

福岡市では、2016年に市独自の「ハイクオリティホテル建設促進制度」を設定して、よりグレードの高いホテル建設の後押しをしています。

この施策の具体的な目的として、「一定以上のゆとりのある客室を確保すること」 。「より質の高いホテルの施設」。そして、「魅力あるデザイン性に優れたホテル」の建設を推進してきています。ゆとり、クオリティ、デザインを重視したホテルの建設です。

その結果、確かに新しいホテルが最近でも、見られるようにはなっていますが、東京や大阪、京都などで次々に進出する外資系の高級ホテル、いわゆるラグジュアリーなホテルは、
福岡ではほとんどないのではないでしょうか。

福岡にはグランドハイアット福岡の他、ヒルトン福岡シーホーク、ANAクラウンプラザなどの大型の外資系ホテルがあるものの、外資系を含めたラグジュアリーホテルのクラスとなると、残念ながらその数は限られています。

これは大きな課題といえます。それは、冒頭に説明した都市の魅力としての指標の問題だけではなく、福岡市の目指している都市像にも関わってくるからです。

それは例えば、福岡市が掲げる「グローバル創業都市」として、グローバル・ビジネスを呼び込み、世界で活躍する企業や人材を惹きつける環境を作るということです。

実はそこには、受け入れ環境としてのラグジュアリーホテルの存在も無視できないということになります。

今日は、福岡市が弱いと指摘される観光資源や受け入れ環境のひとつとして、ホテル不足の問題、中でもラグジュアリーホテルが不足していることについて、お話をしました。

以前と比較すると、市内には近年多くのホテルが建設され、客室数の面では問題が解消されているといえるかもしれません。

一方で、ラグジュアリーと位置付けられるグレードの高いホテル、特に福岡に進出した外資系ホテルはわずかであることを指摘しました。

なぜこれが福岡市にとって課題なのかは、次回引き続き説明したいと思います。

分野: 国際ロジスティクス 国際経営 |スピーカー: 星野裕志

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