QTnet モーニングビジネススクール

QTnet
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QTnet モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録

タグ

QTnetモーニングビジネススクール > タグ一覧 > タグマーケティング・リサーチ

お店で流す音楽が売り上げを左右する(3)

広垣光紀 マーケティング、マーケティング・リサーチ

22/10/19

今回も前回、前々回と引き続いてお店で流すバックミュージックと効果について話します。前回も話しましたが、スーパーマーケット、あるいは無印良品のような雑貨店、レストランなどでバックミュージックの無いお店は何となく味気なく感じられるのではないかと思います。スーパーに入って、ただ店員の品出しの音しか聞こえない、レジの音しか聞こえない、周りのお客さんの話している声しか聞こえない、そういったお店は何となく気まずいというか、冷たい印象を受けてしまうかもしれません。

逆にお店に適切な曲が流れていれば買い物の楽しい気分が凄く高まりますし、より長く滞在して色んな物を買いたいと購買の行動が自ずとポジティブな方向に変わっていくと考えられます。極端に言えば、お店で流れる音楽は単なるBGM以上の役割を果たしていると言えます。マーケティングの用語でアトモスフェリックスという言葉があります。これはフィリップ・コトラーという学者が1973年に作った言葉なんです。このコトラーは世界で最も有名なマーケティング学者の一人で、ノースウェスタン大学のケロッグビジネススクールの教授を勤められている方です。

アトモスフェリックスとは、小売店舗の中のお客さんに影響を与えるあらゆる要因のことです。小売店舗内の環境要因とも言います。厳密に言うと、コトラーの説明によれば、アトモスフェリックスとは購買確率を高めるために、買い手に特定の感情的な効果をもたらすように購買環境をデザインする様々な努力のことを指します。これまで小売店舗の中のマーケティング活動、いわゆる店頭マーケティングと言われる分野についていくつか話をしましたが、お店の商品の陳列やバックミュージック、あるいは値札や商品説明のポップ、そういった物は全てアトモスフェリックスです。その中で、お店の中の音楽はお客さんにポジティブなショッピング環境やショッピング体験を提供出来ますし、更にお店で働く人にとってもより良い職場環境を提供するために必要だと言われています。以前、ゆったりとした音楽を流せば、お客さんはよりお店に長く滞在してより多くの商品を買ってくれるということに繋がると話しました。このような成果に繋げるにはいくつか条件があり、ゆったりした音楽を流すということに加えて、適切な音量でその音楽を流すということも大事です。一説には周りの人と支障なく会話できる程度の音量が、店内で流れるBGMの音量として適切だと言われています。そのように少し音量が小さめの方が良いようです。ここでバックミュージックの音量についての研究を一つご紹介します。スミスとカーナという二人の学者が行った実験で、お店で流れる音楽の大きさ、これがお客さんの買い物行動に与える影響について調査しています。その調査結果によれば、すこし騒々しいと思う程度の音量で音楽を流した場合、お店の滞在時間がやや短くなったそうです。具体的言うと、あまり騒がしくない適切な音量で音楽を流した場合と比べて、約5%お店の滞在時間が短くなったそうです。

この実験結果を基にすれば、騒がしいような大きいボリュームで音楽をお店で流すというのは絶対に避けるべきでしょうか。あえて騒がしい音量で流した方が良い状況というのもあって、代表的なものは閉店間際の時に流すBGMです。お店が閉店する時に蛍の光という曲がよく使われます。あれは凄く音量が大きいことが多いです。閉店をお知らせするためということも勿論ですが、先ほどの実験結果であったようにわざと騒々しいぐらいの音量で閉店の曲を流せば、お客さんの滞在時間が短くなります。昔、私が学生だった時に通っていた大学図書館があり、その大学図書館も閉店する時に蛍の光の代わりにカーペンターズのイエスタデイ・ワンス・モアを流していたことを未だに覚えていますが、この曲もものすごく騒々しいぐらいの大音量で流していました。これは小売店の環境要因の一つである音楽を操作することで、お客さんをお店側にとって望まし方向へ誘導しようという工夫の一つです。


今日のまとめです。今日は、前回に引き続いてスーパーで流れるバックミュージックがお客さんの購買行動に与える影響について話しました。基本的にはお客さんが適度だと思うか、それよりほんの少し小さい音量で音楽を流すのが良いですが、場合によってはあえて騒々しいぐらいの大音量で流した方がお客さんをお店側にとって望ましい方向に誘導することができます。

分野: マーケティング マーケティング・リサーチ |スピーカー: 広垣光紀

トップページに戻る

  • RADIKO.JP