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その人が一生聞く曲は、14歳で決まる?

広垣光紀 マーケティング、マーケティング・リサーチ

22/10/20

今日は、これまで何回かに亘って話してきた店頭マーケティング、小売店舗内のマーケティングから少し離れて、人の音楽の好みが何歳ぐらいに固まるのかと、それをどのようにマーケティングに活用するのかということについて話します。何かお店の中でBGMが流れたとして、みなさんは自分にとって聞いたことのある、馴染みのある曲を聴きたいですか。それとも、自分が知らなかった曲を聴きたいですか。

アメリカでストップアンドショップというスーパーマーケットがあります。この小売企業はお店の中で流すBGMについて非常に綿密で詳細な調査を行っています。その企業の中のマーケティング担当者の話によれば、お客さんは買い物をしている最中というのは自分にとって新しい音楽ではなく自分にとって聴きなれた、馴染みのある音楽を聴きたがっているそうです。この調査結果を受けてスーパーマーケットはヒット曲と広告をミックスしたプレイリストを作って、お店で音楽を流す参考にしているようです。

お店にとって馴染みのある曲をどう見つけるかというのもまた問題です。みなさんにとって今でも聴くような馴染みのある曲、ある時代に流行ったようなポップス等が一番望ましいですが、どういった曲があるでしょうか。おそらく好きな曲や今でもよく聴く曲が思い出されるかと思いますが、そういった曲は、その多くが、みなさんがまだ学生だった時に聴いた曲ではないかと思います。じつは、人が一生聴き続けるような、特に流行曲は、その人がいつ頃その曲を聴いたのかということが非常に強く影響するということが分かっています。

Googleのデータサイエンティストを以前していて、ペンシルベニア大のウォートン・スクール、これはペンシルベニア大の有名なビジネススクールですが、そこでも教鞭を取ったことのあるセス・スティーブンスという人がいます。この人は、VIPデータを使って人の興味深い行動や特性について分析、調査をしています。この人が、2018年に発表した調査についてご紹介すると、ビルボードというアメリカで最も権威のある音楽チャートで、1960年代から2000年代のチャートと年齢別のどういった曲が好きかという選曲ランキング、そういったものを照らし合わせた結果、面白いことが分かりました。私たちの大半は、大人になった時、思春期の最も早い時期頃によく聞いていた音楽をまだ聴き続け、その傾向は一生にわたり続くようです。男性の場合、大体13歳から16歳(大体平均すると14歳ぐらいだったそうです)の間にリリースされた曲が、その人の一生を通じて最も好きな曲になるという傾向が見られたそうです。女性の場合は、男性より少し早く、大体11歳から14歳の時に聴いた音楽の影響が一番大きかったそうです。平均では13歳の時にリリースされた曲が、その女性が人生を通して最も好きな曲になる、そういった傾向があったそうです。

逆に、例えば20代前半など時に聴いた曲というのは、10代前半の思春期の時に聴いた曲の半分程度しかその人の音楽の好みに対して影響力が無かったそうです。

冒頭に話した、アメリカのスーパーのストップアンドショップの話ですが、このお店では午前、午後、夜間と時間帯によってお店の中で流す音楽のプレイリストを変えているそうですが、そのプレイリストというのはお客さんの年齢層によって変えていることが多いそうです。大体60年代、70年代、80年代、90年代、それぞれの年代のミックスをベースにして、それからそれぞれの時間帯で比較的多い年齢層に応じて曲の組み合わせとかアレンジをしていくそうです。

最後に一つ、今回ご紹介したセスという人、この人の色々な行動について調査している本で一冊、日本語訳が出ているんです。英語のタイトルが「Everybody Lies: Big Data, New Data, and What the Internet Can Tell Us About Who We Really Are」という2017年に出た本ですが、日本語タイトルは「誰もが嘘をついている、VIPデータ分析が暴く人間のやばい本性」という本が翻訳で出ていますので是非ご覧になられると良いと思います。

今日のまとめです。今回は、人の音楽の好みは何歳ぐらいに形作られるのかということと、小売店舗屋のマーケティングの応用についてお話をさせて頂きました。人の音楽の好みは、その人の思春期の早い時期に形作られる傾向がありますので、お店で流すミュージックもそのお店がターゲットとする人の年齢層が思春期の時にどういった曲がヒットしたのかというのを調べれば、そのお店にとって最適なミュージックを選んで良い売り上げに繋げる事が出来きます。

分野: マーケティング マーケティング・リサーチ |スピーカー: 広垣光紀

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