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地方創生3

川﨑篤之 クリティカル・シンキング

22/09/08

「地方創生」というテーマでお話しています。これまでに、「地方創生」を実現するためにどのような仕掛けが必要かというお話や、「地方創生」をするにあたり官民が連携していかなければいけないというお話をしてきました。官民には役割分担があり、それぞれに得意・不得意もあるため、お互いが理解しながら共に手を取り合って取り組む必要があるというお話でした。

今日は、地域の課題に向き合いながらビジネスを作っていく際に、どのような力が必要なのかについて考えていきます。このシリーズの初めに、地域における課題を「ビジネスの力」で解決をしていくことが大事だとお話ししましたが、改めて考えなければならないことは、その「課題の本質は何なのか」をきちんと読み解くことです。「人口減少」とよく言われますが、その本質は何でしょう。人口減少によりこの地域にどのようなことが起こるのか、それが起こることによって何が課題となるのか、そしてその課題はどのようなサービスを作ることでリカバリーできるのか、ということを具体的に考える必要があります。今ある課題を、漠然とキーワードで押さえるのではなく、具体的に誰が困っていて、どういうことが課題として絡み合っているのかを「クリティカル・シンキング」的に整理をする力が何よりも大事です。その上でプランを立てていかなければなりません。

ビジネスプランを練る際には、きちんと採算が回っていく必要があります。儲けについて考えることは、良くない話のように聞こえたりすることがありますが、現実問題として儲けがなければ続けていけません。これは「必要な利益」として捉えなければなりません。そこで雇用を生んでその裏に生活をする人がいるのだとすれば、その人達を守っていくことも「地方創生」にとっては大事なことです。きちんと利益を生んでいく構造を作る必要があります。そのためには、「経営戦略的な目線」や「マーケティング的な目線」、「アカウンティング的な目線」も大事です。課題を理解して、その上でビジネスをプランニングしていくということは、ビジネスにおいては当たり前のことですが、これをシビアに行う必要があります。「地方創生」というとつい想いが先行して先走ってしまったり、漠然としたままスタートしてしまったりすることが多いため、ここは要注意です。

さらに、そこで暮らしている人の思いも考える必要があります。「地方創生」に取り組む人たちは、「地域は変わらないといけない」と考えていますが、そこで暮らしている方々が変わっていく必要があることを理解しているかどうかはまた別問題です。変わっていくことに対して抵抗感がある方が当然いる可能性があります。ビジネスは1人ではできません。やはり理解者や支援者を集めていく必要があり、チームを組成しないといけません。そのためには、リーダーシップや組織について考え、どういう人材が必要なのか、人を動かしていくためにどんな力が必要なのかを理解する必要があります。

最後は、そのプロジェクトを続けるために「人、物、金」をきちんと繋ぎ合わせて、5年先、10年先に向けて必要な投資と回収をしていく必要があります。こうして考えると、これらはビジネススクールで教えていることとつながります。地域の中に入ってビジネスを作るためには、まさに課題を捉える思考する力と、それを動かしていくための具体的なアプリケーションを持っておく必要があります。ボランティアでやるのであれば別ですが、ビジネスとして回そうと思うのであれば、必要な思考力・能力を身に着ける必要があるということです。

しかし、すべての人がそうした能力を備える必要があるわけではありません。「ベンチャーはバンドを組むようなもの」と表現した方がいます。歌を歌える人が歌を歌う、太鼓を叩ける人がドラムをする、ギターを弾ける人がギターをする。一人ですべてのことはできません。何らかの地域の資源、人的資源を集めながらビジネスは作っていかなければなりません。それを設計するにあたっては、トータルで物事を見る力が必要です。自分がどの立場でその地方創生のビジネスに関わっていくのかという立ち位置によって、必要な能力が変わってきます。もし全体設計をする立場を目指すのであれば、やはり最低限ビジネスのイロハを押さえておく必要があるのではないかと思います。

では、今日のまとめです。
「地方創生」は、最終的には「稼ぎ」が生まれなければ回っていきません。そして、そのサービスが消えてしまうと困る人が出てしまうため、残り続けることが大事です。資金は持続していくためには不可欠です。そのためには手を抜くことなく、ビジネスをやっていく人材として自分自身の能力開発を行うことが非常に大事です。

分野: グロービス経営大学院 |スピーカー: 川﨑篤之

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