QTnet モーニングビジネススクール

QTnet
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QTnet モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録

タグ

ジェネリック医薬品2

荒木啓充 バイオ産業

22/09/22

今回は、ジェネリック医薬品の社会的意義と大手製薬会社から見たジェネリック医薬品が参入する障壁を作る戦略について話します。ジェネリック医薬品は安いと前回お伝えしましたが、価格は先発医薬品のおよそ半分、多いものだと七割安いです。

これの社会意義としては、ご存知のように高齢化社会を迎えるにあたってとりわけ医療費が年々右肩上がりで高騰しています。日本は国民皆保険制度ですので保険料を負担する国や自治体、事業主として医療費の削減が喫緊の課題となっています。これを受けて、ジェネリック医薬品の使用を推奨しており、その普及活動も積極的に行っています。そのおかげで、国内のジェネリック医薬品の数量シェアは、10年前は50%程だったのですが、今では80%になろうとしている。このように、ジェネリック医薬品は国の財政課題を解決する手段として、また個人の出費を抑えるということもあって急速に市場を拡大していますが、これに対して大手製薬会社から見ると少し勝手が違い、参入自体が脅威になっています。前回、特許が切れた途端に多い場合で10社ものジェネリック医薬品が登場すると言いましたが、こうなってしまうと先発医薬品の売り上げは一気に落ちてきます。

特許が認められてから20年は守られていますが、その20年という期間が過ぎてしまうと一気にジェネリック医薬品が入ってきます。この20年ですが実際薬の開発中に特許を出すので、薬を開発して厚生労働省に承認されるのは特許を出してから数年後、場合によっては10年後ぐらいになります。そのため20年間独占的に販売できるわけではありません。ジェネリック医薬品は新薬を開発しませんので、先発医薬品メーカーが無いと新しい治療薬は開発されません。先発医薬品メーカーは新薬開発にかかった研究開発費用を回収しなければ、次の新薬開発に進むことは出来ません。なので、先発医薬品メーカーは出来る限り収益を確保するために様々な戦略を取っています。まずは、独占的に販売する期間の延長ですが、先ほど特許権は通常20年間の存続だと話ましたが、医薬品は特許法で特例が定められており、更に5年間延長することが出来きます。というのも、医薬品は特許を取った瞬間から販売出来れば良いですが、実際販売するまで厚生労働省の審査などの長いタイムラグがあるので、このぶんの特例が認められて最大25年間存続期間が与えられています。もう一つは、あえて特許を小出しにして独占期間を延ばすというような戦略を取っています。少し詳しく説明すると、薬の特許には物質特許と用途特許というものがあります。物質というのは薬そのものの特許、用途特許というのはどういう病気に効くかといった特許です。例えば、2000年に医薬品Aの物質特許を取得したとします。この特許権の存続期間は20年間なので2020年までです。特例が適用されると2025年までですが、ここは2020年までとして、その後研究開発を進めていくうちに5年後の2005年に薬を使ってある疾患を治療するといった発明をして、それを用途特許として出願します。物質特許は2020年で切れます。ただ、用途特許は2005年に申請しているので、その医薬品を使って病気を治療するという合わせ技の特許は2025年まで存続期間が延びるというからくりです。一気に出さずに小出しにして合わせ技の特許を作ることでジェネリック医薬品メーカーの参入を障壁します。ジェネリック医薬品メーカーは物質特許を持った医薬品は使えるけど、疾患を治療するという効果効能を謳えなくなるという状況です。

あとは、独占的に販売期間を延ばすという戦略だけではなく、先発医薬品メーカー自体がジェネリック医薬品を販売したりもします。これをオーソライズド・ジェネリックと言います。オーソライズとは許諾されたという意味で先発医薬品メーカー自らジェネリック医薬品のグループ会社を作って、その会社に製造方法等を全部教えます。先発医薬品と全く同じ製造方法でジェネリック医薬品を製造、販売して、特許が切れる前からその開発をすることで、自社で開発しない場合でもジェネリック医薬品メーカーに許諾して、製造、販売します。これはどういうことかと言うと、まず特許が切れた途端に様々なジェネリック医薬品メーカーが参入することが分かっているので、その前に自社、或いは他社でも主導権を持って連携出来るような会社と組んで、なるべくジェネリック医薬品市場でも自分たちの減収の幅を減らすというような戦略です。

今日のまとめです。ジェネリック医薬品の普及は、右肩上がりの医療費を抑制する効果的な手段として期待されています。国や自治体が広く普及活動をしたことで、実際にそのシェアは約80%になっています。一方、大手を含む先発医薬品メーカー側は独占的に販売する期間をより長く延ばす戦略や、自社でジェネリック医薬品部門を立ち上げる等をして自社で開発した製品の減収の幅をなるべく減らす対策を行っています。

分野: バイオ産業 |スピーカー: 荒木啓充

トップページに戻る

  • RADIKO.JP