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世界経済のリスクを考える2

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

22/09/13

今日は「世界経済のリスク」について考えてみましょう。原油価格などが上がっていることによって、電気代や食料品などが値上がりして、私達の現在の生活は苦しくなっているわけですが、将来さらに困った事が起きる可能性もあります。今後何を心配しておけばいいのかというお話をしたいと思います。

今日お話するのは主に3つあります。
1つは、アメリカのインフレがアメリカの景気を悪化させて、日本の景気も悪くなること。
2つ目は、中国の景気が大きく落ち込むことで日本の景気に悪影響を与えること。
3つ目は、世界経済が国際分業から国内生産に向かう事でコストが上がること。
以上、3点について考えていきます。
もちろん、これから新しく戦争が起こったり、大災害が起こったりして経済活動に悪い影響が出る可能性もゼロではありませんが、それについては今回は考えないことにします。

まずは、1つ目「アメリカのインフレがアメリカの景気を悪化させ、日本の景気も悪化する」ことについてお話しします。日本の生活費の上昇の話をしていますが、統計を見ると実はアメリカのインフレ率の方が日本よりはるかに高いです。そのため、アメリカの中央銀行であるFRBが金利を引き上げて景気を抑えてインフレを抑え込もうとしています。もちろん景気を悪化させずにインフレを抑える事が出来れば理想ですが、さじ加減が難しく金利を上げ過ぎると景気が悪くなり、金利の上げ方が少しでも足りないとインフレが加速してしまうという難しい状況にあります。仮に適切な利上げによってインフレが抑制されて景気の悪化が避けられたとしても、やはり日本経済に悪影響が出ることは避けられません。
まず、アメリカのインフレが抑制されるためには、当然ですが需要がある程度は減る必要があります。そのため、日本の輸出も減ることが想定されます。また、アメリカの通貨であるドルは世界中で使われているため、アメリカの金利が上がると多くの開発途上国の借金の金利が上がり、苦しむことになるわけです。もしかすると借金を返すためにアメリカのドルを買うことで更にドルが高くなり、ドルが高くなることで途上国の輸入価格が上昇し、極度のインフレになる可能性があります。そのため、途上国の景気が悪くなり、世界中の景気が悪くなるという可能性もあります。さらに、株式市場に目を転じると、株式市場は金利が少し上がるという話を聞いただけでみんなが株を売り、株価が大きく下がる性質があるため、アメリカのインフレによって株価が大きく下がると、ビジネス界のムードも何となく暗くなり、景気に影響が及びます。

次に、2つ目の「中国の景気が大きく落ち込んで日本に影響を与える」ことについて考えます。
中国では、不動産のバブルが崩壊するのではないかという心配をしている人が増えてきています。何年も前から言われていたことですが、「ついにその時が来た」という感じがしないではありません。もちろん中国では共産党の政権がパニックを抑え込むため、日本の時のようなひどいことにはならないかもしれませんが、不動産建設は中国の最重要産業の1つのため、不動産建設が止まると中国の景気は非常に悪化します。また、中国では新型コロナの封じ込めの為に都市をロックダウンするという動きが続いています。そうすると経済が止まるリスクが今後もあります。中国は世界中から大量に物を買っているため、中国の景気が悪くなると世界中の輸出企業は困ります。さらに、逆に中国から部品が来なくなると、日本の工場が止まってしまい、日本の工場が生産出来ないことで社員がクビを切られ、日本の失業が増える可能性があります。これだけではなく、生産出来ないと今度は物不足になるため、物の値段が上がる可能性もあります。そうすると従業員はクビになって失業した上に、景気が悪化し物不足で物がどんどん値上がりするという事態になりかねません。もっとも、中国経済の景気が悪くなるというのは悪い話ばかりでもなく、中国は莫大な資源を使っているため、中国の景気が悪化して石油を買わなくなると、世界的に石油の値段が下がるかもしれません。

最後に、「世界経済が国際分業から国内生産に向かう事でコストが上がる」ということについてお話しします。今、世界の経済は国際分業がどんどん進んでいます。要するに、どこの国で作ったら一番安く作れるかを探して、そこの国に工場を建てて、安く作れる所で作ってそれを世界中に輸出をしています。ところが、中国の洋服の工場がいつ止まるか分からない、中国の部品の工場がいつ止まるか分からない、となると、中国に部品の工場を作るのは危険だということで、日本に部品の工場を作ろうという流れになります。中国で作った方が安いのに日本で作るわけですから、当然高くなります。コロナだけではなく、ロシアや中国が今アメリカと段々仲が悪くなりつつあるため、中国と貿易をするのをやめようという雰囲気が広がってくるかもしれません。そうした事情から、中国に工場を作るのを止めて日本国内に作った方が安心だという企業が増えてくると、当然コストが上がります。
今日の話はあくまでもリスクがあるという話で心配しすぎる必要はありませんが、頭の片隅に置いて頂ければと思います。

では、今日のまとめです。
現在の日本経済のリスクは、アメリカのインフレがアメリカの景気を悪化させ、日本の景気も悪くなることと、中国の景気が大きく落ち込んで日本の経済に悪影響を与えること、世界経済が国際分業から国内生産に向かうことでコストが上がることの3点です。

分野: 景気予測 経済予測 |スピーカー: 塚崎公義

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