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ジェネリック医薬品1

荒木啓充 バイオ産業

22/09/21

今回はジェネリック医薬品について話します。10年ぐらい前から、いろいろ普及活動をされていて、今はもう一般的なものになっていますが、改めてどういうものかということをお話ししたいと思います。ジェネリック医薬品というのは、すでに販売されている医薬品と同じ有効成分、同じ量の薬で、効果や効能、容量といったものが、原則、販売されている医薬品と同じ医薬品のことを指します。既に販売されている医薬品のことを先発医薬品、それに対してジェネリック医薬品を後発医薬品とも言います。
後から発売されたという意味です。ジェネリック医薬品の特徴は、何といっても先発医薬品より安いということです。ジェネリック医薬品の話を更にする前に、薬の開発について説明をします。

通常薬を開発するのには、お金でいうと数百から一千億円、期間でいうと十数年かかると言われています。更に厄介なのは、その成功確率の低さです。開発の成功確率というのは、数万分の一ともい言われており、本当に様々なプロジェクトがあったうちの、ほんの一部の成功した薬が、実際に皆さんが飲まれている薬です。なので、製薬会社はかなりリスクの高い業界です。

しかし、一旦開発に成功すると、承認されたお薬というのは莫大な利益を生み出して、例えば、去年世界で一番売上高が高かった薬は自己免疫疾患の薬ですが、何と日本円で円安レートを加味すると、1年の売上高が4兆円越えです。これは少し特別な例ですが、それでも数千億円規模の売上高の薬は、たくさんあり、これだけの売上高を叩き出すので、製薬会社としてもリスクの大きい新薬開発へのインセンティブが働くということです。しかし、残念ながら毎年4兆円、数千億円といった売り上げがずっと維持できるわけではありません。

ここが、今日のキーポイントですが、この高い売上高を維持できるのは、その製薬会社が薬に対して特許権を保有しており、独占的にそのお薬を販売できることによります。通常は独占禁止法で禁止されていますが、この特許権というのは、合法的にその技術や、製品を独占できる特別な制度です。しかし、これが永遠に付与されるわけではなく、存続期間が定められています。通常この存続期間というのは、特許庁の審査をパスして、特許として認められてから20年です。逆にいえば、20年後は誰でも公開されている特許を無料で使うことができるようになります。

ジェネリック医薬品は、この仕組みを利用して、売上高の高い医薬品の特許が切れるタイミングに、特許が切れてから開発すると遅いので、この年のここで特許が切れるというのが事前にわかっているので、そのタイミングから逆算して、先発医薬品の製造方法を公開されている特許をもとに開発します。そのため、特許が切れたとたんに、すぐにジェネリック医薬品が登場します。通常の新薬は厳しい審査基準があります。特に、すでにある薬に対して、有効性を示さなくてはいけなく、数年にも及ぶ臨床試験を経て、開発する薬がより有効であることを証明しないといけません。ただ、ジェネリック医薬品はこの臨床試験をスキップできます。今ある薬と基本的に同じ製造方法なので。

さきほど通常薬の開発は十数年掛かって、数百億から一千億円かかると言いましたが、ジェネリック医薬品は、3から4年で1億円程度と言われています。すでに出来上がっているレシピを使えるということで、リスクもほとんどないと言われています。プロダクトライフサイクルというマーケティングの世界で用いられる概念がありますが、これはある製品が市場に投入されてずっと売れていって、だんだん人気が衰えて最後に売れなくなるということをライフサイクルのようにした概念です。

通常の製品、医薬品に限らず普通の製品は、販売されて、導入期、成長期、成熟期というふうなところで、だんだん売上高も上がっていき、ピークになったら衰退期を迎えて、だんだん売れなくなるというような、だんだん山になって、だんだん山を下りていくような形が通常のプロダクトライフサイクルの形です。医薬品の特徴として。売上高の山が上がっていくところは同じなのですが、その後にジェネリック医薬品が出たとたん、一気に衰退期が進んで売上高が減少します。

特に売上高が高い医薬品は、いろんなジェネリック会社が、それを狙っていて、その医薬品の特許が切れた際に、一度に10社のジェネリック医薬品が登場するということもあるので、いよいよ先発医薬品の売り上げが急落します。先発医薬品にとっては、極めて大きな問題で、最近よく大手製薬企業の巨大M&Aが行われており、近年では武田がアイルランドのシャイヤーという会社を買収しました。このM&Aが活発に行われている原因は、それぞれの製薬会社が特許切れによって、主要製品の売り上げが大幅に減少するというようなことが挙げられます。

今日のまとめです。ジェネリック医薬品は、すでに販売されている医薬品と同じ有効成分を同じ量含んだ薬で、効果、効能、用法、容量が原則、すでに販売されている医薬品と同じものを指します。ジェネリック医薬品は、特許権の存続期間の切れた医薬品の製造方法、いわばレシピを無料で活用できるため、開発にかかるコストを大幅に減少できる結果、既存薬よりも安価で販売することができます。あるジェネリック医薬品の登場と共に、既存薬の売り上げは大幅に減少します。

分野: バイオ産業 |スピーカー: 荒木啓充

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