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世界経済のリスクを考える1

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

22/09/12

今日は「生活費の値上がり」について考えます。
これは本当に切実な問題です。電気代や食料品など様々なものが値上がりし、私達の日常生活が脅かされているわけですが、それ以外にも様々な影響が出ています。今回は、なぜ様々なものが値上がりしているのか、その原因について考えてみましょう。

一言で述べると、「生活費の値上がり」の理由は、原油と食料の輸入価格の上昇です。原油や食料の輸入価格はドル建で決まっています。その価格が値上がりしている上に、ドルの値段も高くなっているため、産油国に支払うドルが増えていることに加えて、産油国に支払うドルを銀行で買う際に高い値段で買わなければならないため、ダブルパンチになっています。

原油や食料の値段は世界中で取引されているため、その値段はドルで決まっているわけです。原油価格が100ドルを超えたという報道を聞いたことがあるかもしれません。原油が取引される取引所は海外にあり、そこでドルも同様に世界中で取引されているため、どちらも国際的な事情で値上がりしており、日本の消費者にとっては掛け算でダブルパンチとなっているわけです。

原油や食料のドル建価格が上がっているとはどういうことかについて、ご説明します。
まず、市場では需要と供給、すなわち「買い注文」と「売り注文」の量が同じになるように値段が決まります。「買い注文」方が多ければ値段が上がり、「売り注文」が多ければ値段が下がるというのが経済学の原則です。面倒なのは、原油や穀物などを取引している人の中には投機家がたくさんいるということです。彼らは自分で使うつもりはないにもかかわらず、値上がりしそうだと思うと「買い注文」を出し、値上がりしたところで売って儲けようと考えるわけです。例えば、戦争が起きると彼らは値上がりしそうだからと「買い注文」を出すのが通常です。今回も彼らの買いによって値上がりした部分が大きいようです。もちろん、それ以外にも実際に値上がりする理由があり、異常気象で穀物が採れないため穀物の値段が上がりそうだとか、あるいは冷暖房の為にエネルギーの需要が増えるなどの理由があります。しかし、実際の需要と供給の関係で値段が上がりそうだということを聞きつけた投機家たちが先に買っておこうと「買い注文」が増え、益々値段が上がるということが起きています。

では、ドルが値上がりしている理由はというと、穀物の時とは少し理由が異なります。ドルが値上がりしている理由は大きく3つあります。1つは「実需の買い」と言われるものです。石油代金が上がっているため、石油会社が銀行で多くのドルを買わないといけません。そのため、ドルの「買い注文」が増えるということです。第2は、アメリカの金利が上がっているため、日本人のお金持ちがアメリカの国債を買ったり、アメリカの銀行に貯金したりするためにドルを買ってアメリカの銀行に送金をするためにドルの「買い注文」が増えるためです。そして、そうしたドルの「買い注文」が増えるだろうということを予想した投機家がドルを先回りして買うため、ますますドルが上がっているわけです。

全部が繋がってどんどんドルが上がっていく方に向かっているというわけです。原油や穀物の価格も上昇し、ドルの値段も上昇しているため、日本は掛け算で酷い目に遭っているというわけです。私達の生活にとっては大きな打撃です。

生活が苦しいのは電気代などが上がっているということだけではなくて、一方で給料が上がっていないということも理由の一つです。通常、景気が良くてインフレになる時は給料も上がるため、あまり困らないのですが、今回は給料が全く上がっていない中で生活費が上がっているため深刻です。会社が儲かっていればボーナスが出るのですが、会社も苦しいというのが実情です。輸入コストが上がっているため、その分は値上げしたいけれども、値上げをすると売上が落ちるため、コストが上がった分は値上げするけれど、残りの分は自分達が我慢するという構造になっています。私達消費者が苦しくても、日本国内のどこかで誰かが儲かっているのであればまだ救いがあるわけです。というのは、儲かっている人は税金を払うと財政赤字が減るなど、少しは良い事もあるのですが、それも見込めないというのが今の現状です。

唯一の救いとしては、原油価格などには救いが全くありませんが、ドルの値上がりについては1つだけ救いがあります。輸出企業は持って帰ってきたドルが高く売れて儲けが増えているため、彼らが少し多めに税金を払ってくれることで、財政赤字は多少減るかもしれません。これが一体どれほどの救いになるかは分かりませんが、悪い話ばかりではないということです。

では、今日のまとめです。
電気代や食料品など様々なものが値上がりしています。その背景には、原油価格の上昇や、ドルの値上がりなどがあり、輸入の際に高いドルを買って支払うため、ダブルパンチになっています。

分野: 景気予測 経済予測 |スピーカー: 塚崎公義

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