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ウィズコロナの日本

村藤功 企業財務 M&A

22/08/17

今日はウィズコロナと日本の話です。日本も第6波のピークが2月にきて1日当たり新規感染者数が10万人といっていたのが、6月に一度1万人くらいになりました。それでもうそろそろ収束するのではかとみんなが思っていたら、7月に凄い勢いで7波が広がり、8月3日には1日当たり25万人までいきました。それで医療が逼迫してきています。

3年目になって何が進歩してきたかというと、ワクチンをみんな打っています。また、治療薬はどうかというと、この間、塩野義のゾコーバを緊急承認するかどうかという話が出てきました。特例承認と緊急承認では何が違うか知っていますか。特例承認というのは、海外で承認した治療薬を日本に持ってこようというものです。例えば、ファイザーとかメルクの薬を海外で承認されているので日本に持ってこようというのは、すでに行ったことのある事例です。ところが、海外では別に承認していないが日本で作った治療薬を緊急に承認しようという制度が新たにできました。緊急承認制度と言います。日本で作るという事は間違いなく供給できるのでとても嬉しい話です。塩野義がゾコーバは効果あると言ったので、医療界の人たちは、さあ「緊急承認」だといって期待していました。ファイザーとかメルクの薬というのは、重症化を防ぐためのものなので、軽症で飲める薬の需要がありました。塩野義がそれを作ったと言ったので、期待が高まっていましたが緊急承認されなかったのです。なぜ承認が見送られたのかというと、効果がよくわからなかったからと言われています。ウィルスを減らすという効果はかなりあるそうです。しかし、他に色々問題があって、全体的にもう少し治験をしてみないとわからないということになりました。そもそも、緊急承認という制度は作ったばかりなのでこれを適用して認めた事がないのです。わざわざ緊急承認という制度を作ったのだから承認してもいいように思えるのに、どうなっているのだと言っている人もいるというような状況です。

ちなみにこの第7波で、急速にBA.5が広まっています。行動制限はしないと最初は言っていましたが、医療も逼迫してきてそうもいかなくなってきました。それで、最初に緊急事態宣言を出して、それで緊急事態宣言というほどでもないという事になり、ではまん延防止措置になって、しかし、まん延防止措置も今回出したくないと、BA.5対策強化宣言というのを出そうということになりました。3つ目の宣言が出てきましたが、そもそも緊急事態宣言やまん延防止措置がいつ出ていたか知っていますか。緊急事態宣言は1波と3波と4波と5波です。2波は出ていませんでした。4、5波の時は緊急事態宣言が出ましたが全国的にということではなくて、例えば東京だけ出たという時もありました。緊急事態宣言が出た所と出ない所があったり、あるいはまん延防止措置が出た所と出ない所があったり、緊急事態宣言が出た地域とまん延防止措置が出た地域と両方あったりしました。まん延防止措置は第4波から導入され、5波と6派の時にも出ました。4波、5波では、緊急事態宣言もまん延防止措置も両方が出ていたのです。今年の6波のオミクロンはそれほど重病化せず、緊急事態宣言を出すほどでもないだろうということでまん延防止措置だけ出ました。

そして今度は、まん延防止措置を出すのも嫌だということで、BA.5対策強化宣言というのが出ました。これはどこに出ているか知っていますか。そもそも出方が曖昧なのです。政府がBA.5対策強化宣言対象地域としたところと、自治体が自主的にBA.5対策強化宣言を出したところがあります。政府がBA.5対策強化宣言を出した地域と自治体が出したものが重複しているケースもあります。福岡県は福岡県が宣言したわけではありませんが、政府が指定した対象地域に入っています。大阪は最初自治体が宣言を出していましたが、BA.5対策強化宣言に読み替えるというような事を言っています。コロナが3年目にもなるとみんな疲弊してきて、感染がこれだけたくさん広がってくると何かしないといけない、また、あまり行動制限して経済止めるのもよくないと、とても難しい状況になっています。

その中で皆さんご存じのようにロシアがウクライナに侵攻しました。ロシアからサハリン2というプロジェクトで日本はガスを買っていますが、元々サハリン2の会社の株はガスプロムというロシアの会社が50%持っていました。そして、シェルが27.5%、三井物産が12.5%、三菱商事が10%持っていました。それでかなりの量を日本に持ってきていました。多くの日本の電力会社とガス会社に持ってきていたのです。九州にもロシアのガスがきています。ただ、株主の状況は難しいことになってきています。27.5%持っていたシェルが撤退を宣言しました。ロシアにとって世界が敵と味方に分かれてきたため、敵に権益を持たせるのは嫌だという事で、新しく法人をつくって、株主を敵から味方に渡そうとしているように見えます。日本の株主がロシアの出す条件をのまなければ中国かインドあたりに株主を変更しようということのようです。しかし、シェルは撤退しましたが、日本政府および三菱商事と三井物産は可能なら撤退したくないのです。その裏に東京ガスや広島ガス、西部ガス等、ガスを買っている会社がいるからです。そのため萩生田もと経産大臣や西村経産大臣は、アメリカにも相談をして、アメリカの承諾の下、何とか株式を維持したいと言っています。ただ、ロシアは自分の出す条件を飲まなければ出資を継続させないと主張しているし、無理難題が出てきて継続出来ない可能性があるため、三菱商事と三井物産は、2千億円くらいの損失を引き当てています。株主だけでなく、日本の購入先がサハリン2からのガス調達を継続できなければ、もの凄い価格で別の所からガスを買わないといけなくなります。みなさんのガス料金も上がるかもしれないという事です。

今日のまとめです。ウィズコロナの時代が始まって以来一旦は減少した感染者が、7月になってBA.5による7波で急拡大して医療が逼迫してきました。政府がBA.5対策強化宣言を新設して、宣言や地域指定が相次いでいるところです。一方ロシアのウクライナ侵攻のあおりでサハリン2からのガスの調達がどうなるか目を離せなくなっています。

分野: 財務戦略 |スピーカー: 村藤功

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