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学び直しのためのリカレント教育①

星野裕志 国際経営、国際物流

22/07/27

今日のまとめ:社会人になって、改めてリカレント教育を通じて学び直しをするというこ
との意義や重要性のひとつとして、社会環境の変化の中で、より高度な知
識を持った人材を組織が求めているというお話をしました。

今回は学び直しのためのリカレント教育の重要性について、お話をしたいと思います。

僕自身は、企業に就職してから8年くらい経ってから、ビジネススクールで勉強する機会をいただきましたが、ちょうどQBSのような社会人大学院で学んでいる人たちにとっては、
今が学び直しと言えるかと思います。

今までであれば、一般的に大学を卒業して社会人になったら、特に資格を取るとか転職に備えるなどという以外は、集中して学ぶということはなかったかもしれません。

ここでひとつの疑問ですが、終身雇用という考えは崩れていますが、社会人として、あるいは企業などの組織にあって、今までに得た知識だけで通用するといえるのでしょうか。

QBSでは、2年生の時に1年間かけて、自分の問題意識に基づいてプロジェクト論文という研究をまとめます。興味深いことに、最近学び直しとしてのリカレント教育の重要性について、何人かがプロジェクト論文を書かれています。
おそらく自らビジネススクールに通いながら、これからのキャリアを考えた時に、リカレント教育の重要性を認識したからではないかと思います。
リカレント教育を通じて学び直しをするということの意義や重要性について、二つの視点で考えてみたいと思います。

一つ目は、社会環境の変化の中で、より高度な知識を持った人材を組織が求めているということです。いわば社会のニーズです。
二つ目は、自分の能力を高めることで、新たな機会を得るということです。個人としてのニーズです。
リカレント教育は、1960年代にスウェーデンの経済学者によって提唱された考え方のようですが、当時に中途退学者の増加、高度な技術を持った人材の不足、知識が急速に陳腐化すること、世代間の教育の不均衡の中で、社会人が学び直す機会を提供する必要性が考えられたようです。

スウエーデンは人口が1960年代で800万人、現在でも1千万人強と比較的人口の少ない国ですから、産業構造の転換には、社会人を再教育することで、より高度な人材を育成していく必要があったということになります。

ダボス会議で知られるスイスの世界経済フォーラムでは、今から2年前の2020年に、「2025年に求められるビジネス・スキル」として、こんな能力を挙げています。分析的思考とイノベーション、能動的な学びと戦略的学習力、複雑な問題解決能力、批判的な思考と分析、創造性・独創力・イニシアティブがトップ5です。

あるいは、文部科学省は、環境の変化の中で求められる人材像として、5点挙げています。
1 専門知識の土台となる「各分野における基礎的な知識」の徹底的な理解。
2 産業のグローバル化に伴い、多様な地域で、様々な人々と一緒に仕事をしていくための「グローバルな感覚」の素質。
3 開発から商品・サービスまで、一連のバリューチェーンを俯瞰しプロジェクトを遂行していく「マネジメント力」。
4 学んだ知識を現場に適用し有効に活用していくための能力として「課題発見・解決力」。
5 「コミュニケーション能力」等、「社会人基礎力」
世界経済フォーラムや文部科学省の提示するこれらの能力を持っている人は、スーパーマンのように思えます。

いずれにせよこのような能力を得るためには、どう考えても改めて学び直すことが必要になるといえます。また企業でも、社員の学びを後押ししないとと思うのですが、現実はそうではないようです。

一方で、少し古い数字ですが、2017年の通商産業省の「人材像WG」の資料によると、社会人で地域活動、趣味、学びを含めた会社の外での活動に参加している人は半分以下のようです。
中でも資格取得が18.2パーセント、セミナーや勉強会の参加は9.8パーセント程度であり、もはや社会人になって、学び続けている人は、決して多くはないということがわかります。
これで産業構造の転換や高度化についていけるのかなというところですし、企業の競争力の向上に貢献できるのかと思います。
ですから、ビジネススクールで学ぶ学生のみなさんが、リカレント教育の重要性を改めて認識しているのかと思います。

今日のまとめです。社会人になって、改めてリカレント教育を通じて学び直しをするということの意義や重要性のひとつとして、社会環境の変化の中で、より高度な知識を持った人材を組織が求めているというお話をしました。

次回は、自分の能力を高めることで、新たな機会を得ることについて、お話をしたいと思います。

分野: 国際ロジスティクス 国際経営 |スピーカー: 星野裕志

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