QTnet モーニングビジネススクール

QTnet
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QTnet モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録

タグ

カルタヘナ法①

荒木啓充 バイオ産業

22/07/20

今回は、カルタヘナ法についてお話をします。なかなか聞き慣れない言葉ですが、実は我々の生活に深く関わっている法律です。このカルタヘナですが、南米のコロンビアにある都市の名前です。京都議定書は聞いた事がありますか?これは、気候変動や地球温暖化防止に関する国際的な会議が京都で開かれ、その会議で温室効果ガス削減のために、先進国の間で取り決められた数値目標などを定めた文章を開催された都市の名の京都を冠して京都議定書と名づけられました。このカルタヘナ法は同じようにコロンビア、カルタヘナという都市で1999年に行われた、生物の多様性保全に関する会議で取り決められた事項、カルタヘナ議定書というのがあり、これをもとに日本で制定された法律です。

このカルタヘナ法は通称で、正式名称は、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」です。キーワードとして、遺伝子組換え生物と生物の多様性があります。まずは、前者の遺伝子組換え生物から説明します。遺伝子組換え生物はある生物、これは植物でも動物でもウィルスのような微生物でもいいですが、その生物に本来は無い遺伝子、すなわち他の生物の遺伝子を組み入れる事です。有名な例としては、遺伝子組換えとうもろこしや、遺伝子組換え大豆があります。

これは昆虫に毒性を示す微生物、その微生物が出す毒性に昆虫が寄ってこないのですが、その微生物の遺伝子をとうもろこしや大豆に組み込む事で昆虫、すなわち作物にとっては害虫に抵抗性をもったとうもろこしや大豆が出来きます。似たような技術に、以前紹介したゲノム編集があります。ゲノム編集と遺伝子組換えの決定的な違いは、ゲノム編集はその生物自体の遺伝子を編集するので、自然界で発生する確率がゼロではなく、古くから行われてきた品種改良とか似た部分があります。一方、遺伝子組換えは、他の生物種の遺伝子から組み込まれるので、自然界で発生する確率はゼロです。自然界で発生しえない生物が遺伝子組換え生物です。

次に2つ目のキーワードの生物の多様性です。最近多様性やダイバーシティという言葉をよく聞きます。そこでの意味は、国籍を越えてとか性別・年齢を越えてや、あとは色んな生き方、働き方等を指しますが、生物の多様性とは、地球には実に多くの文字通り多様な生物が存在しています。動物であったり、植物であったり、微生物であったり、地球上の既知の種の総数は1,750,000種とも言われています。まあこれは見つかっているだけで、まだ見つかっていない未知の種を含めると、300万とも1億万種とも言われているのです。このように実に多くの生物種が、生態学的、遺伝学的に多様な性質を持って存在しているのが、生物の多様性です。ただこの生物の多様性が近年は崩壊しようとしています。どういった事が原因だと思われますか。温暖化や都市化による環境破壊などがあげられますが、これによって絶滅のおそれが生じている、いわゆる絶滅危惧種やすでに絶滅した生物種もあらわれています。話をカルタヘナ法に戻すと、正式名称は、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」でした。

すなわち遺伝子組換え生物を使用する事によって生物の多様性が崩れる、それを防ぐという法律です。そもそも自然界では発生しない遺伝子組換え生物が仮に自然界に放たれるとどうなる事が起きると予想されるでしょうか。例えば、遺伝子組換えをした花が自然界で栽培された時に、3つの予期せぬ事が考えられます。1つは、組換えした花の方が強い繁殖力を持って、在来の花、植物が追い払われる可能性。2番目は、遺伝子組換えした花から有害な物質が生産され、在来の植物等に影響を及ぼして在来種が減少するという危険性。3つ目が、遺伝子組換えした花と元々あった野生の花が受粉する事で新たな生物種が発生して、在来種が置き換わる可能性。この3つがあげられます。すなわち、遺伝子組換え生物が自然界に放たれる事によって在来種の存在が脅かされるという懸念です。とはいえ遺伝子組換えのとうもろこしや大豆は、収量効率が格段にあがって、我々の生活に様々なメリットをもたらしています。カルタヘナ法は遺伝子組換え技術と自然の生物多様性の両立を目指す法律です。

今日のまとめです。遺伝子組換え技術は人類が抱える様々な課題を解決、有効な手段として期待される一方、生物の多様性に影響を与える可能性が危惧されています。カルタヘナ法は、1999年にコロンビアのカルタヘナという都市で行われた生物多様性に関する議定書に基づいた国内の法律で、遺伝子組換え生物等を用いる際の規制措置を講じています。

分野: バイオ産業 |スピーカー: 荒木啓充

トップページに戻る

  • RADIKO.JP