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消費者が知覚できる「違い」―丁度可知差異 1 ―

広垣光紀 マーケティング、マーケティング・リサーチ

22/07/11

今回の内容は、丁度可知差異という言葉と、それをどのようにマーケティングに活用するかということについて、お話をしたいと思います。この丁度可知差異というのは、あることが変化したなと感じられるような、最小の違いのことです。この言葉は、もともと英語から来ていまして、「Just noticeable difference」という言葉を訳したものです。直訳すると、丁度気付くことができるような違いと訳できると思います。マーケティングの分野では、略して「JND」と呼ぶこともあります。

丁度気付くことができるような違い。気付くか、気付かないかの境目にあるということですが、例えばお風呂に入っていて、このくらいなら丁度良い、これ以上熱かったらちょっと熱くて入れないという境目みたいなイメージです。この丁度可知差異は、人によって異なってきます。個人差で分かりやすいのは、音だと思います。夜寝る時に蚊のプーンとなる音がしたりして、目が覚めてしまったり不快な気分になったりしたことはありますか。蚊の羽ばたきの音じゃ、かなり高い周波数の音です。それため、若い人でないとなかなか聞き取れません。年齢重ねてくると、耳の感覚器官の細胞が少しずつ老化してきますので、高い周波数の音を聞き取れなくなってきます。

若者除けのモスキートサウンドをご存知でしょうか。福岡だと2019年頃にいくつかのビルで導入されたという報道をインターネットで見たことがあります。例えばコンビニ等でもそうですが、若い人達がずっと固まって夜中にずっといることがないように、入口の所に蚊の周波数と同じ高い周波数を流しています。この装置は、ハワード・ステープルトンというイギリスの発明家によって作られたものです。人が嫌がる音で、且つ若者にしか聞こえないというモスキートの音の特徴に着目しました。それで、若者がある場所に溜まったりすることを防ぐために、こういった若者除けの装置を開発しました。価格は1台当たり7万円弱くらいだそうです。ハワード氏はこの発明で2006年のイグノーベル賞を受賞しています。

この装置は、およそ17kHz以上の高周波数の音だそうです。17kHz程度というのは、24歳以下ぐらいでないと、なかなか聞こえないとされています。私も聴こうとしたことがあるのですが、全く聞こえませんでした。聞こえる人にはキーンというきつい音がして、その場にいられないような状況になるようです。ちなみに私は1kHz低い16kHzはギリギリ聞き取れました。

この丁度可知差異という考えですが、マーケティングの色々な考え方に応用できます。簡単な例としては値段です。例えば、服でバーゲンセールする時でも、ある程度値引きをしないとお得だと感じにくいです。5千円の服を5%引きで買えます、4,750円ですと言ってもあまりお得には感じないです。ある研究によれば、個人差はもちろんありますが、値下げによるお得感を実感するためには、少なくとも20%の値引きが必要だそうです。5千円の服を20%引きで4千円で買えるとなると、この服はバーゲンセールで値引きされてお得だなと、ほとんどの人が感じるということです。価格を下げる際には、丁度可知差異を越えるだけの値下げをする必要があります。そうでないとモスキート音の話ではないですが、買い手がこの商品はお得だと気付いてくれません。

今日のまとめです。今日は丁度可知差異について話ました。商品の値段を下げるにしても、商品の品質を上げるにしても、その消費者がその違いを簡単に「感じ取れる」、つまり「知覚」できるような水準でやらなければ効果が無いわけです。この丁度可知差異を知ることができれば、様々なマーケティングの施策をより有効な形で利用できるようになるでしょう。

分野: マーケティング マーケティング・リサーチ |スピーカー: 広垣光紀

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