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世界の脅威コロナからロシアへ

村藤功 企業財務 M&A

22/06/20

今日は、世界の脅威がコロナからロシアに変わってきつつあるという話です。今、コロナは世界のどこが終息しつつあって、どこの終息が遅れているか知っていますか。ヨーロッパとか東南アジアはもう大体終息してきました。3月くらいまでヨーロッパではフランスやイタリア、東南アジアではタイやベトナム、マレーシアがひどかったのですが、一番遅れているのが東アジアです。台湾はずっと優等生でしたがピークが5月でした。オミクロンに随分やられています。北朝鮮はコロナゼロと言っていましたがこの間突然1日当たり20~30万人と言い始めました。上海ロックダウンのようにゼロコロナの筈の中国が結構大変なことになっています。アメリカも4月までに随分終息したと思っていましたが、5月になってオミクロンのBA.2が結構広まってきて、今では1日約13万人になってしまっています。

今年の経済成長についてですが、世界の経済成長は2020年のコロナ1年目は-3.1%でした。それから去年は+5.8%に、まだコロナはありましたが、マイナスの反動でプラスになりました。今年は4.1%程度と予想されていたものを2.9%程度にこの間下方修正しました。どういう理由で下方修正したと思いますか。
ロシアによるウクライナ侵攻が関係していることは間違いないです。ロシアによるウクライナ侵攻は2月くらいから始まっているわけですけれど、オミクロンは1~3月くらい、世界中で猛威をふるいました。
オミクロンの影響とロシアのウクライナ侵攻が下方修正の理由です。

ロシアのウクライナ侵攻でエネルギーが上がりました。エネルギーだけではなくてウクライナの小麦輸出が出来なくなり、食料品の価格が上がりました。その結果世界中でインフレになり始めて、インフレを止めるべくアメリカのFRBやヨーロッパでも金利を上げましょうという話になって来ました。金利を上げると経済が冷やされます。これも下方修正の理由です。

世界の食糧危機の話は知っていますか。ウクライナの小麦が輸出出来ないということは最近よく耳にします。ロシアが黒海でウクライナの輸出を止めていると。しかし小麦だけではなく、今世界の20か国くらいで食料の輸出制限が始まっています。小麦について言えばインドも輸出を止め、それからマレーシアが鶏肉を止め、アルゼンチンが牛肉を止め、ガーナがトウモロコシの輸出を止めています。自国の国民に十分な食料を供給しないと、国民が怒って政権不安になるためです。

2月にロシアがウクライナ侵攻を始めてからまだ終わる気配がなく、エネルギー価格が上がってしまっています。ヨーロッパとアメリカがなぜ困っているか知っていますか。ヨーロッパはロシアに対する経済制裁として、最初ロシアからの石炭輸入を止めて、次に今年中にロシアからの石油輸入を止めようとしています。元々カーボンニュートラルを早く達成しようと、石炭・石油・LNGをどんどん止めていって、再生可能エネルギーをすごく増やそうという予定でした。ところがすぐに再生可能エネルギーを増やせないので、ロシアから石炭や石油を輸入できないということになってしまうと、他の所から調達しない限り電気が足りなくなってしまいます。そうなると困るので代替調達を行い、石炭も石油もLNGもすごい勢いで値段が上がっています。カーボンニュートラルの方向に進みたいが、化石燃料を代替調達で山のように買っているというのが現状です。

アメリカはもうすぐバイデン大統領の中間選挙があります。国民が一番怒っているのはガソリンを始めインフレで値段がどんどん上がっているということです。アメリカとしてはEUにアメリカの石油やLNGを輸出したいのです。ロシアにプレッシャーをかけるためです。でもアメリカの石油やLNGをヨーロッパに輸出すれば今度はアメリカで石油やLNGが不足してアメリカのガソリンとかLNGの値段が上がるでしょう。そうすると国民が怒ってしまって中間選挙に負けます。ロシアに対するプレッシャーをかけることと、国内の政治とどちらを優先するのかという話になってきています。

今日のまとめです。withコロナ政策は進み始めました。一方でロシアのウクライナ侵攻が2月にあったので、今度世界の頭はこっちの方に来てしまいました。アメリカは国内のエネルギー価格を下げて中間選挙に勝ちたいが、EUに輸出しないとロシアに圧力かけられない。それからロシア・ウクライナの輸出が止まって小麦や他の食料価格が上がってアフリカや途上国の危機が始まっており、問題が色々別のフェーズに変ってきたという状況です。

分野: 財務戦略 |スピーカー: 村藤功

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