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五感をマーケティングに活かす―知覚2―

広垣光紀 マーケティング、マーケティング・リサーチ

22/06/23

前回は知覚について話しました。人は五感を通じて外から色んな情報を取り入れて、それを自分なりに解釈したり意味付けをしたりする、そして知覚は商品の評価に大きい影響を及ぼすのでマーケティングおいて重要になってくる、という話でした。今回はその中でも「嗅覚」について、マーケティングの事例を挙げながら話したいと思います。

匂いは人の生理的な欲求にダイレクトに訴えかけてきます。例えば焼鳥の香ばしい匂いを嗅ぐと空腹感を感じことがありますし、映画館に入った時に売店でキャラメルポップコーンの甘い匂いが漂ってくると美味しそうだな、映画見ながら食べようかな等と思うことがあり得ます。匂いはマーケティングを考える上では非常に重要な要素だと言えます。

それに関連した話をしたいと思います。スターバックスは今から50年前の1971年にアメリカで創業されて日本で初めて出店したのは1992年に成田空港内だったそうです。福岡に初めて出店したのは2000年4月で、ホークスタウンに出店したのが初めてだったそうです。スターバックスは非常に人気があり、よく天神の中心街や地下街等、特に休みの日には多くの人で賑わっています。しかし人気が低迷して経営が危なかった時もありました。客足が遠のき、スターバックスの人気が非常に低迷していた時期というのは2008年頃のことです。日本だけではなく、世界中の既存店の売上が昨年、或いは一昨年と比べて軒並み下回るようになっていました。このような既存店の売上の低下というのは外食や小売店にとっては非常に良くない状態です。

この時スターバックスを立て直し、さらに大きく成長させた経営者がハワード・シュルツです。彼はかつてスターバックスの経営者でしたが一旦引退し、当時は経営の第一線を退いていました。ところが、このような業績低迷をうけて、急遽CEO、最高経営責任者に復帰しました。それで経営を立て直そうとして、そのヒントを得るためにスターバックス店舗をしらみつぶしに視察をして回ったそうです。そのときシュルツ氏はスターバックスが低迷していた大きな理由を見つけました。シュルツ氏が言うには、この時のスターバックスはカフェなのにコーヒーの香りが漂っていないということに気が付いたんだそうです。当時のスターバックスはコストダウンや効率化を進めるためにお店の中でコーヒー豆を挽かずに、別の場所にあるセンターや工場でまとめて挽いていました。さらに匂いがすこしきついチーズ入りのサンドイッチやホットサンドなどを温めて出したりもしていたそうです。お店の売上を上げようとしていたと思われます。

コーヒーを楽しもうと思ってせっかくお店に入ったのに、そのコーヒーの良い香りがしないと肩すかしというか、あまり期待感が出てこないのではないでしょうか。こうして顧客の足が徐々に遠のいてしまって業績が非常に低迷するようになっていました。そこでシュルツCEOは顧客がお店でのコーヒーの体験をもっと楽しんでもらえるように色々な改善をしました。例えば工場とかセンターではなく必ずそのお店の店舗でコーヒーを挽くようにしてコーヒーの鮮度の良さとか香りをお店の中で楽しめるようにしました。それでわずか2年足らずでスターバックスの業績は見事に回復しました。

今日のまとめです。今日は五感のうち嗅覚とマーケティングの関係について話をしました。スターバックスもそうですが、店舗を運営する経営者は品揃えももちろん大事ですが、消費者の期待を裏切らないような匂いにも気を配らないといけません。パン屋さんは焼きたてのさわやかな匂いがしないといけませんし、書店に入ったときは新しい本のインクの匂いがするということを無意識に期待しています。スターバックスはそれを説明する興味深い例の1つだと言えます。

分野: マーケティング マーケティング・リサーチ |スピーカー: 広垣光紀

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