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廣岡浅子の生涯からまなぶ④

平野琢 企業倫理、リスクマネジメント

22/05/31

今日は前回までに続き明治大正期に活躍した実業家、広岡浅子の生涯の中から浅子が行った多角化経営についてお話していきたいと思います。浅子の活躍もあり1880年代後半には浅子の嫁いだ加島屋は再建計画が一段落ついたと言われています。加島屋の経営ピンチを乗り切った浅子は次のステージとして加島屋の更なる成長のために事業の多角化を進めていきます。歴史的な記録をみると加島屋は石炭、鉱石、鉄道、銀行、保険などさまざまな事業分野に進出していきます。様々な多角化経営を進め、これらの加島屋が経営や設立に関わった企業は現在でも続いている企業が少なくありません。

これらの中で加島屋が最初に何の事業に挑んだかというと、それは石炭ビジネスです。当時の日本は産業革命下にあり、石炭の需要が日に日に高まる状況でした。浅子はこれからの日本にはお米より石炭が必要であると考え石炭ビジネスに挑戦していきます。広岡浅子の石炭ビジネスは交渉が行われた九州とも深い縁があります。浅子が具体的にどのようなビジネスを始めたかというと、福岡県の北部、現在の飯塚市付近で掘られた石炭を運搬して海外に輸出するというビジネスです。九州、特に福岡がビジネスの舞台にたっていました。このビジネスにおいて浅子は現在の飯塚市に当たる地域から、当時大きな港として発展していた長崎が非常に遠かったために、近くの北九州の沿岸から船を出して石炭を輸出することを考えて実行しました。つまり物流コストを下げて競争力を得る戦略でした。では北九州沿岸のどこに注目したかというと、現在のレトロな港町として、そして観光地としても有名な門司です。

門司港のレンガ造りの町並みはご存じと思いますが、門司がこのような港町に発展するきっかけをつくったのが、浅子の石炭ビジネスであったと言われています。実際に浅子は港が貿易をするに当たって不可欠な税関の設置に奔走しています。さらに浅子の回顧録の中にも門司がまだ原野であったときに率先してお店を出して石炭の輸出を始めたという記述もあり、彼女が門司の港の発展に尽力していた様子がうかがえます。

しかし、最初の浅子の石炭ビジネスの挑戦は失敗に終わります。北九州に港を整備して物流コストを下げて石炭を輸出する、この発想自体は良かったですが、壮大でビジネスとして成功するために必要なインフラの整備や制度作り、さらには他社とのパートナーシップ作りが追いつかなかったようです。港町として発展が始まった門司ですが、すぐには規模が大きくならず大型船を使った石炭の積みおろしが難しい状況が続いきました。さらに長崎からの輸出とは異なって門司からの石炭輸出には税金が課されるようになってしまい、石炭販売における利益が下がりました。更には炭鉱から石炭を輸送する会社が合併した結果、石炭の輸送料金が暴騰すしました。それによって輸送コストが大幅に上昇する事態になりました。更には主要な石炭の産出元として期待していた飯塚市にある炭鉱からなかなか良い石炭が出てこないで、そもそもの石炭の生産量が伸び悩むという事態に陥りました。結果として浅子の最初の石炭ビジネスはこれらの課題から増大するコストを上回る利益が出せず失敗になります。浅子はとことんやり抜く人でなので良い石炭の生産ができない、運送料が高い、ならば自分で行おうと、炭鉱も自社の傘下に収めて石炭の産出から販売までを手がける商社を設立、現代でいうところの製販一体化を図ってこの課題を乗り切ろうとしました。しかし残念なことにその矢先に日本国内がデフレ不況となり石炭の消費量も鈍化、そして徐々に石炭の供給過剰の状態になり、ついには石炭の価格が暴落してしまします。さすがに努力を続け、あきらめない浅子もこの状況には耐えきれず、浅子が作った石炭ビジネスの会社は解散せざるを得なくなってしまいます。浅子のリベンジの物語は次回に話させていただきたいと思います。

今日のまとめです。明治初期の経営難を乗り切った浅子はついに多角化経営に乗り出しますが、最初に挑戦した石炭ビジネスは期待した結果が得られませんでした。しかし、この時の浅子の挑戦は門司港の発展の礎を作るなど、九州地方の都市の発展に様々な影響を及ぼしています。

分野: 企業倫理 経営リスクマネジメント |スピーカー: 平野琢

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