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ドミナント立地

目代武史 企業戦略、生産管理

22/01/17

今日は、立地の観点から企業戦略を考えてみたいと思います。立地というのは事業を営むために適した土地を選び、決めることです。土地は戦略的に非常に重要で、土地やスペースは供給に限りがあるものです。優良な土地は有限かつ稀少であるがゆえに、それをいち早く確保した企業は競争上の優位を獲得できるというわけです。

こうした立地の戦略論の代表例に、ドミナント立地があります。ドミナントとは、英語で「優勢な」「支配的な」といった意味です。都心部などで、特定のコーヒーチェーンやコンビニが集中して出店しているということがよくありますよね。例えばスターバックスですと、天神近辺だけで10店舗あります。また、セブンイレブンは数え切れないくらいあるのですが、ざっくり言って30店舗くらいあります。

ある特定のエリアの中で集中的に複数の店舗を出店することをドミナント立地と言います。通常ですと、ある1つの店舗には一定の商圏というものがあります。例えば、コンビニですと歩いて10分以内で来店できる、半径500m程度のエリアが商圏となります。商圏が重ならないようにある程度距離をおいて出店するのが普通です。その方が店舗当たりの売上げを最大化できますし、より広いエリアに商圏を広げられるといったメリットもあります。しかしドミナント立地の場合、この常識に反してあるエリアにおいて店舗同士の商圏が重なり合うほど店舗を密に配置するのです。それによって競合する他店が入ってくる余地をなくして、そのエリアの需要を総取りしようという戦略です。

1つの店舗だけではなくて、いくつかの店舗をあえて近くにすることで、みんなで勝とうという店舗群のレベルで考えるのがドミナント立地になります。いわゆる事業戦略とか競争戦略の理想型というのは、独占的な状況をつくることです。ドミナント立地は、あるエリアにおいて競合他社がいないような独占的な空間を、店舗配置によって作りだそうとするのです。一見すると、ドミナント立地は店舗の配置が密であるために、商圏内で顧客の共食いが起ってしまうことがあります。したがって、ドミナント立地がなぜ競争上の優位を生むのかということがポイントになってきます。商圏の共食いによって一店舗当たりの売上げは確かに落ちてしまう可能性があります。一方で、競合他社が入り込む余地をなくす点に戦略としての優位性があるわけです。

もう1つの利点は、業務上の効率が向上することです。店舗が密に配置されていますから、例えば、1台のトラックで効率よく店舗へ商品を配送できますよね。店舗間で在庫を融通させることもできますし、あるいは、スタッフを店舗間で融通させることもやりやすくなります。

ただ、このドミナント立地を巡っては2つ注意すべきポイントがあるのです。1つ目は、ターゲットとするエリア内で出店密度が中途半端になってしまうと危ないことになってしまう点です。そうすると、競合他社が入り込む余地が残ってしまいますし、その一方で自社内のチェーンでも共食いが起ってしまって過当競争になるリスクがあるのです。

もう1つのポイントは、いわゆるフランチャイズ方式との相性があまりよくないという点です。フランチャイズでは、個々の店舗はフランチャイジーといわれるオーナーさんが資金や物件・人員を確保して、一方で、フランチャイザーであるフランチャイズ本部から事業システムや商品ノウハウの提供を受ける仕組みです。フランチャイジーであるお店のオーナーさんは自分の商圏を守って売上げを最大化したい。一方で、フランチャイザーであるフランチャイズ本部は店舗を増やして出店密度を上げたいわけです。そうなると、利害関係が一致しないので、お互いにどちらが譲るかという話になってきます。こういった利害が衝突している状況でフランチャイズ本部が無理にドミナント立地を進めようとすると、現場の店舗オーナーから反発を受けてしまうという可能性があるわけです。

ドミナント立地はフランチャイズ方式とは相性があまりよくないので、かなり契約上の工夫を凝らしていく必要があります。フランチャイズ方式とドミナント立地を上手く共存させるための方法として、例えば、テリトリー制のような形であるオーナーさんに一定のエリアをお任せして、その中でドミナント立地をする方法が考えられます。そのエリアの中には他のオーナーさんの商圏は重ならないようにすることで、オーナーさんの商圏を守るということとドミナント立地を成立させるということとが両立可能になってくるでしょう。

今日のまとめです。土地は有限な資源であることから、優良な土地を確保することは競争上の優位を得る上で大変重要です。ドミナント立地は、あるエリアにおいて密に店舗を配置することで競合他社が入り込む余地を排除し、独占的な空間を生み出そうというものです。また、物流効率の改善も見込める利点があります。しかし、店舗配置の密度が中途半端ですとかえって過当競争に陥る可能性がある他、フランチャイズ方式では店舗オーナーの反発を招く可能性があるので注意が必要です。

分野: 企業戦略 生産管理 |スピーカー: 目代武史

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