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先端技術をめぐる競争

村藤功 企業財務 M&A

21/11/30

今日は、先端技術を巡る競争についてお話したいと思います。最近半導体で騒ぎになっているのが、インテルがアメリカのIT大手から半導体の製造委託を請けたという話です。今までTSMCがアメリカのIT大手から大量の製造委託を請けていました。TSMCは世界一の半導体会社で、今度日本の熊本にも工場を作るというのです。日本政府が何千億円と補助金を出そうという話が、毎日、新聞に踊っている、そういう会社です。サムスンを完全に越えたというので、トップがTSMCで2番がサムスンということになって、インテルは相当遅れました。半導体業界ではムーアの法則といって、半導体の集積率が一年半で2倍になるということで、みんな一生懸命小さくしてきたのですよ。ところが、インテルがクアルコムやアマゾンみたいなアメリカのIT大手から半導体の製造委託を請けて、三次元トランジスタを試すという話になってきています。三次元トランジスタとは、半導体を縦に立体的に積み重ねて平面上で小さくするのとは全然違うコンセプトで先端を目指すというものです。インテルがサムスンやTSMCを抜いて2025年には1番になることを目指しているという話が、今大騒ぎになっています。

スペースXのスターリング計画を知っていますか? テスラのイーロン・マスクさんの会社で、スペースXが衛星を沢山打ち上げているのです。いずれ、一万以上の衛星を打ち上げて、世界中どこにいてもネットにつながるようにしようという話があるのです。現在、世界で30億人くらいの人たちは基地局が近くにないためネットに繋がらないのですが、宇宙を経由してネットを接続すると話は全然違ってくるわけです。地球上にいればみんなネット接続できてしまう。そこで、KDDIがスターリング計画と協力してどんな離島にいても繋がるということを目論もうとしている。日本にもスカパーJSATという衛星会社があるので、NTTはJSATと組んで衛星通信でネット接続をしようとしているという状況です。

量子コンピュータは、スパコンの1億倍くらいの速さで計算できるというようなものです。量子コンピュータの開発を最初に出来た国が次の世界の覇権を握ると言われているので、アメリカと中国がすごい勢いでお金と人材を突っ込みながら量子コンピュータの開発競争をしているところです。しかし、日本はそんなにお金があったり人材がいたりするわけではありません。日本はもともと小さい国でもはや大した力もないのでIBMさんから量子コンピュータを1つ借りて東大に置いて、量子イノベーションイニシアティブ協議会をつくってそこにトヨタ、東芝、NTTやNEC等が参加して使わせて貰っているという感じです。どちらかというと、日本はIBM陣営の超伝導方式という量子コンピュータ開発に関与しています。ところが、中国は北京・上海間に2000キロ以上に及ぶ量子暗号通信網を作って、この点ではアメリカよりも遥かに進んでいるのです。中国科学技術大学の潘建偉さんが去年量子超越を果たしました。量子超越とは、量子コンピュータが明らかにこれまでの古典コンピュータを超越するということです。2019年にグーグルが初めての量子コンピュータで量子超越を果たし、「はい1番」と言っていたのです。ところが去年、中国の中国科学技術大学の潘建偉が「はいうちが2番」といって量子超越を果たしたわけです。ただ、まだ安定性に大きな問題があり、これから量子コンピュータがちゃんと使われるまでには、10~20年はかかるだろうと言われています。

疑似量子計算機というのがあって、疑似量子計算機も相当早いです。日本の東芝や富士通や日立やNECみたいな大企業は何をしているかというと、この前、新聞に面白い記事が出ていました。鉄道のある路線でダイヤを前提として日立が疑似量子コンピュータで計算したところ、乗務員数を15%削減することが可能になるという計算結果が出たというのです。そういう意味では、普通人間がやったりスパコンがやったりするものをとてつもない速さでいろいろ計算すると、出来る事が沢山出てくるのですよ。ボストンコンサルティンググループに言わせると、百兆円くらいの経済効果が量子コンピュータで出来ると言われています。

5Gの次の6Gを皆研究しているところですが、6Gは5Gよりも10倍早くて同時接続数も5Gの10倍です。ただ、電波の届く距離が5Gだと1㎞だったのが6Gだと100m~200mしか届かないということで人口の10倍くらいの基地局が必要になります。それは難しいのではと思うかもしれませんが、携帯くらいの大きさの基地局でいいと言われているのです。色々なところに基地局が付けられるという形で、10年位先には6Gになるでしょう。そうすると、今簡単に出来ないと言われている自動運転やバーチャルリアリティ、オーグメンティッド・リアリティみたいな話がどんどん進むと言われています。

今日のまとめです。AIや量子技術などの先端技術の開発に向けた競争が加速しているところですが、日本は超大国の米中にだんだんと遅れをとりはじめています。今一番問題なのが量子コンピュータをどの国が開発するかということで、米中が覇権を掛けて争っているところです。半導体では微細化に遅れたインテルが三次元トランジスタで戦いを仕掛けたり、アップルのプライバシー保護で広告事業に直撃を受けたFacebookがバーチャルリアリティやオーグメンティッド・リアリティを使って仮想空間を作るとしてメタ(Meta)に名前を変えたりしている状況です。

分野: 財務戦略 |スピーカー: 村藤功

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