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バイデンの戦い

村藤功 企業財務 M&A

21/11/29

今日は、バイデンさんがどういう戦いをやっているかという話をしたいと思います。バイデンさんは大変大きな政府を作ろうとしている、という話を前にしました。最初に何をしようとしたかというと、雇用計画としてインフラなどに投資する計画を2兆ドル分やろうとか、家族計画という社会福祉などに1.8兆ドル使おうと言っていたのです。これは大変な金額なのでちょっと大きすぎるのではないのか、と共和党だけではなく民主党の一部も思ったわけです。結局どうなったかというと、最初の2兆ドルの雇用計画は1兆ドルになりました。財源部分は共和党がOKしてくれそうもないからこの中に入れないで、歳入歳出法案として別にして合意させようということで、最初に1兆ドルのインフラ法案ができたのです。これは両院で承認されてバイデン大統領がサインしたので、もうできた法律です。今問題になっているのが、歳入歳出法案で、最初は3.5兆ドルの歳入歳出法案だったのですが、最近、半分の1.75兆ドルにされてしまって、下院は通ったのだけど上院は修正しようとバタバタと話し合っている最中です。

そもそも、トランプさんが法人税をどのくらい引き下げたか覚えていますか? 35%から21%に引き下げましたよね。バイデンさんは最初21%を28%に増やそうかと言っていたのですが、皆から反対されてこれは消えてしまいました。それから、海外の収益に2倍の21%課税しようといっていたのですが、これも消えてしまったのです。海外とは税率がもっと低い国も含めて、皆と話し合って最低限15%にしようとしていました。それで結局どうやっても15%は絶対取るという話にしたり、一千万ドル以上稼いでいる個人からは所得税を取りましょうとなりました。一千万ドル以上も毎年稼いでいる人はいったいどれくらいいるのか若干疑問なのですが、アメリカにはそれなりにいるのかもしれないですよね。

共和党は全員反対だし、民主党の中にも無理なのではないのかという人達がいて法律に出来なかった。温暖化の話でも、化石燃料を再生可能エネルギーにしないといけないというのがあり、それを支援するために補助金を出そうという話も石炭業界の人達に抵抗されて消えてしまったのです。そういう意味では、最初に言っていた話と実際にできた話は相当変わってきていて、なかなか思うようにいっていないですね。法人税率を35%から21%に下げた時に、トランプは色々よくないことをしているけれども、これだけはいいことかもと私が言っていたことを覚えていますか。これは結構アメリカから支持をされているので、また上げると言う話は簡単にはいかないですよ。

ガソリンを入れに行くと、ガソリン価格が妙に上がっています。コロナが始まった時は最初ものすごく下がったのです。皆が色々なところに出かけられないので原油を使わないからと需要がすごく下がったので、一時期価格がすごく下がったのです。ところが、コロナが段々終息してきて経済が再開されはじめて、需要が増えてきました。そして、温暖化でこれから化石燃料を使って電気を作ってはいけないということになってきたので、石炭だけでなく石油やLNGなどの化石燃料の資源開発をあまりやってはいけないのではないかという話になって供給が増えていないのです。そうすると、需要が増えたのに供給が増えないということで、石油やLNGの値段がものすごく上がり始めました。

その結果、アメリカの5月から9月まで5%を越えていたインフレが、10月になってついに6%を越えてきたのです。中央銀行は基本的にインフレが起きないようにするのが1つの役割ですから、悪くて2%くらいだったので連邦準備銀行もこれはまずいという話になってきているのです。コロナが来たので連邦準備銀行は、すごい勢いで金融商品、特にアメリカ国債とかを買ってお金を4兆ドル分くらいこの1年半で市場に供給しました。その結果、4兆ドルだった資産規模が8兆ドルになってしまいました。これをいったいどうやって元に戻せばよいのでしょうか。リーマンショックの時の金融緩和を元に戻すために何をしたか覚えていますか。ステップ1・2・3があり、ステップ2は金利を下げることです。ステップ2の金利を下げる前のステップ1として金融緩和の速度を落とすという、テーパリングがあります。毎月150億ドルくらい買う金融資産を減らすと全部で1200億ドルくらい買っているので、8ヶ月経つとゼロになるのです。それが終わったらステップ2の金利を上げるということで、そのあとにやっとステップ3として8兆ドルある資産を売って減らしていくという、資産を減らす方向にいくわけです。

しかし、3つのステップが全部ちゃんと終わる前にコロナが来てしまったので、コロナが来る前もリーマンショックの前には戻っていませんでした。そういう意味では、どんどん中央銀行の資産規模が大きくなってきて困っているということなのです。それでインフレが6%を超えてしまったもので、これはまずい、早めに金利を上げないといけないということで、テーパリングの速度をもっと早くしよう、8ヶ月かけて購入資産をゼロにする予定を、もっと早くしないといけないのではないかという話が最近出てきているところです。

今日のまとめです。バイデン民主党としては大きな政府を作ろうとしていたのですが、共和党や民主党の一部に反発されてインフラ計画が1兆ドル規模になってしまったり、歳入歳出法案が1.75兆ドルの半分になってしまったりしているところです。そこで、法人税率や所得税率の引き上げが見送られたのですが、法人税の最低15%課税とか、1000万ドル以上の高所得者の増税はされて、10年で2兆ドルくらいを財源として捻出するという予定です。

分野: 財務戦略 |スピーカー: 村藤功

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