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昆虫食②

荒木啓充 バイオ産業

21/07/20

前回から「昆虫食」のお話をしています。人口増加に伴う食力不足への解決策として昆虫食が今注目を集めています。昆虫食は、エコであり、なおかつ栄養価も非常に高いというメリットがあります。

今日は、実際にこの昆虫食が産業としてどのような取り組みが行われているかについてお話します。

みなさん、世界で一番食べられている昆虫は何だと思いますか。
ある報告によると、現在世界では1,900種類以上の昆虫が食べられていると言われています。一番食用されているのが全体の約30%を占めている甲虫類です。カミキリムシやコガネムシ、フンコロガシ、カブトムシなどがこれに該当します。主にアマゾンの盆地やアフリカなど一部の熱帯や温帯の深い森林に覆われた地域で食用とされています。これに続き、蝶や蛾の幼虫、いわゆるケムシやイモムシ類が18%を占め、次にハチ、バッタ、セミと続きます。この上位にくる昆虫というのは、古くからその世界の地域で食されている昆虫ですが、今日は産業としての昆虫食についてお話します。

現在産業利用として高い注目を集めているのが、コオロギとイエバエと言われています。正確には昆虫食というよりも昆虫飼料、つまり餌として利用されています。
コオロギやイエバエも成虫ではなく、幼虫の状態を乾燥して粉末化し、それを家畜や養殖業の餌として使用します。

どのような点が、産業利用に向いているかというと、前回もお話ししたように、高い栄養素があるという点と飼育の容易さ、成長速度の速さなどが挙げられます。コオロギは、1ヶ月から1ヶ月半程で卵から成虫になります。イエバエも卵から成虫になるのに2週間程とライフサイクルが非常早く、一生にたくさんの卵を産むため、非常に繁殖効率が高い昆虫です。さらに、もう1点「雑食」という性質があり、この性質を利用することで、食品残渣や家畜の糞尿を餌として昆虫に与え、それを元に成長した昆虫を昆虫食、または家畜や養殖業の餌となる昆虫飼料として活用することで完全な循環型のシステムを構築することができます。

現在盛んに叫ばれているSDGs(持続可能な開発)を地でいく昆虫たちです。ここに着目して、日本を含め世界中で循環型システムを取り入れた昆虫食や昆虫飼料のスタートアップが誕生しています。大手の食品メーカーも昆虫ビジネスに進出してきています。世界の食用昆虫市場は、なんと年平均成長率が24.4%と非常に高い成長率を示しており、2030年には世界の市場規模が79.6億ドル、およそ日本円で8,600億円に達するとの報告もあります。色んな面でいいことづくしの昆虫食ですが、なかなか普及しません。その最大の壁は何だと思いますか。

アマゾンやアフリカの地域などすでに昆虫を食べる文化がある地域はそれほど抵抗感がありませんが、一般的には昆虫を食べることに抵抗のある方が多いです。 ずっと慣れ親しんだ食べ物であれば何も抵抗がありませんが、今まで食べたことがないものを食べるというのは、昆虫に限らず抵抗のある方が多いのが現状です。

今は心理的なハードルが高い昆虫食ですが、新しい文化が根付いていくことで、将来的に普通に食べられる時代が来るかもしれません。

前回にひき続き、イベントのお知らせです。
九州大学昆虫科学・新産業創生研究センターでは、「昆虫が導く次世代の食生活」と題する昆虫食のシンポジウムを開催します。
日時:8月7日(土)
場所:九州大学伊都キャンパス
参加方法:誰でも参加可能(お子様もOK!)事前登録にご協力ください。
※詳しくは「九州大学昆虫センター」で検索してください。
昆虫センターのホームページにシンポジウムについて掲示しております。
コロナの感染状況によりますが、昆虫食の実食会も行う予定です。その他、九州大学が保有する昆虫の標本なども一部閲覧できます。夏休み昆虫に触れ合う絶好の機会ですので、是非皆さん参加をお願いします。

では、今日のまとめです。
昆虫食や昆虫飼料はSDGsとも密接に関わっているなどの理由から、昆虫食ビジネスが世界的に高まっています。しかし昆虫を食べるということに対する抵抗感は決して低くありません。今後、普及や啓発活動に加え、偏見や嫌悪感をなくすようなおいしい昆虫食の商品開発も重要になってきます。

分野: バイオ産業 |スピーカー: 荒木啓充

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