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昆虫食①

荒木啓充 バイオ産業

21/07/19

皆さんは、昆虫を食べたことはありますか。

日本でも長野県や群馬県などでは、古くからイナゴの佃煮が食用されたり、黒スズメバチという蜂の幼虫が「ハチの子」として食べられたりしています。福岡ではあまりなじみがありませんが、それほど珍しいことではありません。

最近では、無印良品からコオロギせんべいなるものが売られていますので、ぜひご賞味ください。
海老の味がしてビールのおつまみにぴったりです。

2回に渡り、近年注目されている「昆虫食」についてお話します。
2013年に「国連食糧農業機関」という国連の専門機関が、「食用昆虫、食料と飼料、安全保障に向けた将来」というタイトルの報告書を出しました。この中には、食料資源としての昆虫について、様々な観点から述べられています。なぜ国連の研究機関がこのような報告書を出したのかというと、将来的に迫る食料不足への解決策として、昆虫食を提言するためです。

昆虫は、貴重な蛋白源です。日本の人口は減少傾向にありますが、世界的には増加傾向にあり、このままいけば2050年に90億人をゆうに超え、100億人に達する可能性もあると言われています。昨年の世界の人口はおよそ78億人と報告されていますから、100億人になった場合、現在の1.3倍に増加することになります。

人口が1.3倍に増えるということは、必要な食べ物の量も1.3倍に増やす必要があります。1.3倍というと、30%増です。一見大した数字ではなさそうに見えますが、単に農作物や家畜の数を増やせばいいというわけではありません。現在、世界の農作物の土地の利用面積は、地球上の陸地の3割強を占めています。近年の地球温暖化で増加している砂漠地帯が4割弱、逆に地球温暖化で減少している森林地帯がおおよそ3割。残りの1割未満の土地に我々が住んでいます。現在の農作物の面積を30%増やそうと思うと、砂漠を開拓するか、森林地帯を切り開くしかありません。

そこで登場するのがこの昆虫です。昆虫は非常にエコな食料資源です。 まず一番に挙げられるのは、昆虫は非常に飼料効率がいいという点です。飼料効率とは、食べた餌の量に対してどれだけ生産物が得られるかという指標で、牛や豚であれば、どれだけお肉が出来るかということを示す指標です。例えば、牛は、1キロ体重を増やそうと思うと、牛の年齢にもよりますが、おおよそ8キロから10キロの餌が必要です。一方昆虫は、例えばコオロギの体重を1キロ増やすに必要なエサは2キロと非常に少なく済みます。牛は可食部位が全体の40%で、残りの60%が骨などの不可食部位として廃棄されますが、昆虫の可食部位の平均は80%で、捨てる部分がほとんどありません。

さらに、家畜と比べると狭い土地で飼育可能で、飼育に必要な水の量も少なくてすみます。昆虫1キロの体重を増やすのに必要な土地の面積は、家畜の3分の1から4分の1で済みます。水の量も体重1キロ増やすのに牛はなんと2万2千リットルも必要ですが、昆虫は4リットルほどで済むと言われています。

このように昆虫は非常にエコな食料です。では、実際に栄養面はどうなのかというと、この点についても非常に優れた食材です。昆虫は、魚や肉と比べても良質なたんぱく質の含量が高いです。さらに、鉄分やミネラルも豊富です。食料不足で最も懸念されているのは、動物性蛋白質が不足です。その点において、昆虫は新たな動物蛋白源として注目を集めています。

最後に、昆虫食に関わるイベントのお知らせです。
私が所属する九州大学の昆虫科学・新産業創生研究センターで「昆虫が導く次世代の食生活」と題する昆虫食のシンポジウムを開催します。

日時:8月7日(土)
場所:九州大学伊都キャンパス
参加:誰でも可。事前登録をお願いします。
※詳しくは「九州大学昆虫センター」で検索してみてください。
昆虫センターのホームページにシンポジウムについて掲示しています。

コロナ感染状況にもよりますが現時点では、実際に昆虫食を食べてもらう実食会も開催予定です。コオロギやカイコ、タガメソーダなどを提供予定です。タガメソーダは、タガメのエキスをソーダの中に入れたものです。カイコは粉末状にして、ポテトチップスのようなスナック感覚で食べていただけます。

コロナ禍ということもあり、人数を制限しなければならないため、なるべく事前登録をよろしくお願いします。昆虫食は、九州大学が保有する昆虫標本なども閲覧が出来ます。夏休みに昆虫に触れ合う絶好の機会ですのでぜひ参加してみてください。

では、今日のまとめです。
世界の人口増加や地球温暖化に伴って、将来的な食料不足が懸念されています。昆虫は、与えた餌の量に対する生産量が高く、また良質な蛋白質を多く含むことなどから、次世代の食糧資源として快適に注目を浴びています。 皆さんの食卓に昆虫が並ぶ日も近いかもしれません。

分野: バイオ産業 |スピーカー: 荒木啓充

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