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映画と文化(9):タイタニック

鈴木右文 英文法理論、コンピュータによる英語教育

21/07/26

今回は「タイタニック」を紹介したいと思います。1998年の映画ですので、かなり前の作品になります。実は妻が「タイタニック」を見た時、長男を妊娠中で出産直前でした。その長男がもう大学を卒業していますので、相当な時間が経っています。

監督はジェームス・キャメロンという方ですが、この監督は非常にエポックメイキングな作品を撮っていて、この作品はいわゆるパニック物なのですが、従来の作品に比べて段違いのスケール感をもたらしたということで、皆さんインパクトを感じたと思います。その後も「アバター」という作品、いわゆる3Dの眼鏡をかけて見る立体映画ですが、その走りとしても有名で、この「タイタニック」は内容的にも非常に出来が良かったので、両方の意味でエポックメイキングだったと思います。

有名な作品なので内容の紹介をくどくどとする必要はないかと思いますが、念の為に申し上げておきますと、氷山にぶつかって沈没したタイタニック号の話です。そこにフィクションとして、上流階級の女性と下層階級の男性が恋仲になり、事故に遭い、男性の方が女性を最後に助けて、自分は海の藻屑と消えていってしまうというストーリーで、それをいつまでもその女性は忘れないという、ロマンチックな話です。

ここに階級制度を持ち込んだところが、物語を陳腐にさせずに済んだ1つの原因だと思います。その辺りも見ながら、この作品を振り返ってみたいと思います。タイタニックという船が実在していたのは皆さん御存知だと思います。イギリスのサウサンプトンを出発したのですが、実際に私がここを訪れた時にはまだ小さな海事博物館でした。そこにタイタニック関連の展示がされていて、印象深く思ったことがあるのですけれども、現在はこの作品の大きな影響力もあったのでしょう、大きな博物館が出来て、大きなコーナーも出来ているようですので、もし行く機会があればどうぞご覧になってください。色々なミニチュアもすごく良いのが出来ているそうです。

先ほどの話に戻りますけれども、こういう作品で非常に問題になるのは、どこまでが現実でどこまでがフィクションかということです。文化論の観点からも非常に問題になるのですけれども、楽しければ目をつむりましょうというところがあります。先ほど申し上げた通り、階級社会を織り込んだところがパニック物としては、ただのパニックだけでなく済んだのが非常によかったと思います。ただ私としては、この映画にはアメリカの文化をすごく感じます。男性はものすごい大立ち回りをして、スーパーヒーローのごとく色々な困難を打ち破って、最後に彼女を助けるという結末を迎えるわけですが、私はそれを見ていると、あまりにもスーパーヒーロー過ぎていて、私だったらここまで出来るだろうかと思ってしまうのです。 私はもし自分が監督だったら、この男性にも弱いところがあって、このコンテキストの中でのすごい活躍を、蛮勇を奮って何とかやりおおせて、「すごいことが出来たね、良かった、良かった」という形にするだろうと思います。 そこはやはり背景にもっている文化の価値観の違いが出ているのだろうな、という気がします。多分その形で作ったら、アメリカではこんなにヒットしなかったかもしれないわけです。異文化間コミュニケーションというのはお互いの持っている背景文化がどのようなもので、その人達はこういう風に考えるだろうということをわきまえて、コミュニケーションをとりましょうという話で、そういうことも反省するような映画だったと私個人的には思って見ていました。

それでも、単なるパニック映画として見たとしてもすごく優秀で、なんと実物大のセットを作っているのです。さすがに船全体の航行シーンはミニチュアを使ったそうですが、少なくとも船の半分は実物大で作ったそうです。そこまでお金をかけられたというのは大変なことですけれども、そういう美術的なスケールの面から見ても、すごくエポックメイキングな映画であったことは間違いないと思います。映画を作るのは大変です。特に特撮はものすごいスケールのものでなくても、監督さんは本当に一生借金を背負うかどうかという覚悟をしながら、お金を借りて、映画を何とか1本作るという監督さんが多いわけです。その中で巨費を投入して映画を作れるような立場にまで、下積み時代を続けながら成長してきた監督さんはやはり偉いのだろうと思います。

タイタニック号という実在の船が、氷山にぶつかって沈んでしまったという悲劇の船であるという事実と、フィクションの部分とがうまく融合して、事実であるがゆえの悲しさとか、本当にこういう色々なドラマがあったのだろうということを想像させるストーリーだと思います。いわゆる本物ではなく、本物らしさ、というものが出ているという事がフィクションの大事なところだと思います。その部分は非常に成功した作品だったと思っています。

今日のまとめ:
「タイタニック」という大作をご紹介しました。そのうち、もう少しマイナーな作品にも手を出していきますのでよろしくお願いします。

分野: 異文化コミュニケーション |スピーカー: 鈴木右文

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