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電池の低価格化とEV・自動運転車の成長見込み

村藤功 企業財務 M&A

21/07/13

今日は、電気自動車とか自動運転車の話をしようと思います。世界の自動車メーカーがみんな電気自動車を作ろうと取り組んでいるわけですけれども、電気自動車にしたらCO2は減ると思いますか? 走っている時は電気を使うだけですから別にCO2を出しませんけど、走っている時でなくて電気を発電する時にCO2が出るのですよ。そうすると、今の日本みたいに石炭とか石油とかLNGみたいな化石燃料をたくさん使って発電しているところは、電気自動車で電気を使う時にCO2は出ないけど、その電気を発電している時に山のようにCO2が出るのです。例えば、洋上風力だとか太陽光だとかで、化石燃料を使わないで再生可能エネルギーで発電してCO2を出さない様な形にしないと、電気自動車だけ作ったからといっても2050年にカーボンニュートラルに出来るかというとそうでもないのです。

今の世界の自動車市場とか電気自動車市場はどれくらいか知っていますか? 2019年に世界で9100万台の自動車の新車が売れていたのが、去年はコロナで14%下がって7766万台。その中で去年は、電気自動車が2.8%、214万台くらい。ところが、2030年には2334万台と全体の24%のシェアになるので、だいたい10倍くらいになると想定しているのです。そんな中で色々な事が起こっていて、例えば、ウェイモやAppleといったIT企業が電気自動車に参入して来るという話が出ていました。この間、ホンハイがMade in Hon Hai(MIH)と言うオープンプラットフォームを導入するという事を発表しました。ハードとかソフトの電気自動車情報を開示して、自動車メーカーが開発コストを低減できるようにするということです。電気自動車の開発にはものすごくお金がかかるので、いくら大手の自動車メーカーでも一人ではやっていけません。色々な所と提携が進んでいるわけですけれども、皆でコストをシェアしようという流れをホンハイが始めました。そういう話を誰が言い始めるのかと思ったら、電機メーカーのホンハイだったのでみんなびっくりしました。

テスラが出している300万円~500万円くらいの高級電気自動車に比べて、安い電気自動車が最近出てきたのです。中国の五菱汽車は50万円くらいから電気自動車が買える。五菱汽車がリトアニア経由でヨーロッパに売ろうとしているのが9999ユーロ、130万円くらいです。それから、長城汽車が7万元と言っているので、これが120万円くらいです。三菱自動車は軽ですが200万円未満で電気自動車を出すぞと言い始めました。そういう意味では、高いものだけではなくて、色々な機能を取り払った安いものがどうも出て来るのです。フォルクスワーゲンも2030年までにガソリン車よりも電気自動車を安くすると言い始めています。300万円とか500万円とか言われるとみんな買えるお値段ではないのですが、50万円とか100万円とか200万円とか言われれば、電気自動車いいじゃんと思ってもおかしくないですよね。

電気自動車の新車販売台数がこれから10年で10倍になるという流れになってきています。では、自動運転車はどうなるか知っていますか? 自動運転車にも色々な段階がありましたよね。自動運転と言っても、レベル1、レベル2、レベル3、レベル4、レベル5とあって、この間、レベル3までは道交法に組み込まれてOKになりました。レベル3は、自動運行装置が原則運転してくれるのですがドライバーも乗っていないといけなくて、いざという時はドライバーが運転することになります。レベル4になると、車の自動運行装置が原則運転して別に人が乗っていなくてもいいという段階です。コロナでちょっと遅れてしまったみたいで、いつそうなるかはよく分からないのですけど、2030年位までにはもう8000万台位のレベル4以上の自動運転車が走るだろうという事になるといわれています。

電気自動車ではどういう部品が重要だか知っていますか? 電気自動車のコストの3割から5割くらいは車載電池と言われている位、車載電池はとても重要なのですよ。今はリチウムイオン電池をみんな使っているのですが、日本勢としては次世代電池として、全固体電池を一生懸命開発しているという状況です。車載電池はコストの3割から5割も占めるので、これが安くなるにつれて電気自動車も安くなるということです。それから、電気自動車が使う電気の内、使いようによっては半分くらいはエアコンで使うことになります。エアコンがあまり電気を使わないという事は結構重要で、ダイキンが電気をあまり使わない冷媒を発明して、あと4~5年で実用化するという話をしています。自動車のエアコンに電気を使わないとなるとその分走行距離が延ばせるという方にいくわけで、みんな楽しみにしている所です。

今日のまとめです。電気自動車とか自動運転車市場はIT企業が続々参入してきて、ホンハイがMade in Hon Haiというオープンプラットフォームを発表したり、中国勢を始めとして50~100万という低価格なEVが出てきたりしているところです。自動運転車の開発はコロナでちょっと遅れたのですけれど、レベル3からレベル4へ向けた検討は今やっているところです。

分野: 財務戦略 |スピーカー: 村藤功

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