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朝鮮半島の現状

村藤功 企業財務 M&A

21/06/10

今日は、朝鮮半島の現状という話ですけれども、アメリカでトランプさんからバイデンさんに選手交代になりました。バイデンさんが北朝鮮問題をどうしようとしているか、知っていますか? トランプさんの時には実は北朝鮮と話し合いを持とうとして、何度か話し合いの場もあったわけですよね。シンガポールではなにか合意したように見えたのだけど、ハノイで揉めた。その後、なかなか合意できなくなって、トランプさんは全部まとめて包括合意だみたいな事を言っていましたよね。それに対して、一つ一つじゃないと無理と言って、段階的合意をすればいい、中国とロシアもそれを支援すると言っていました。段階的か一括かで揉めて、トランプさんと一回別れた。その前のオバマさんは、戦略的忍耐と言っていたのですよ。でも戦略的忍耐なんてすると、こっちが忍耐している間に向こうは色々するだろうとトランプさんが言ったので、それで戦略的忍耐でなく包括合意に至ったわけです。

この段階的非核化は元ブッシュ大統領が掲げていたのです。対北朝鮮戦略はブッシュ、オバマ、トランプと来てまたブッシュ大統領の方針である「段階的非核化」に戻りました。段階的非核化から始まって戦略的忍耐に行って包括合意に行って全部ダメだったので、また最初の段階的非核化に戻ったのです。ただ、ブッシュの頃には北朝鮮は核を持っていなかったのです。持っていない時ともう持ってしまっている時となくすのはどちらが難しいと思いますか。持ってしまってから無くせというのが難しいに決まっているし、それから今は米中冷戦と言い始めて、中国が北朝鮮を後押ししているわけです。そうするとブッシュの時よりも難しいのに、ブッシュと同じ戦略で段階的非核化しようしているので現実的な成果が上がりそうではありません。

韓国は1期5年しか大統領をやってはいけないという事になっているので、文在寅さんはあと1年くらいです。去年のはじめはコロナに結構上手く対処したと言ってすごい支持率に一回なったのですけど、その後すごく下がったのです。なぜ支持率が下がったか覚えていますか? まず、内部の不祥事が色々ありましたよね。曹国さんの問題とか、それからソウル市長とプサン市長のセクハラ問題だとか色々ありました。そもそも論として北朝鮮となんとか仲良くすると言ったのに、全然仲良くなっていません。内部とはちょっと言えないのだけど、朝鮮半島としてみればこれも半分内部問題です。

では、対アメリカでどうなっているかですが、米韓ミサイル指針というのがあります。これは、韓国に核を持たせると危ないからミサイルを作っちゃダメという事を、アメリカは韓国に約束させたのです。ところが、北朝鮮が勝手に核ミサイルをどんどん作るでしょう? そうしたら危ないから自分で守らなくてはいけないよねというので、韓国も核ミサイル作ればと作っちゃダメという約束を廃棄させたところです。そうすると、北朝鮮だけでなくて韓国も核ミサイルを持つ。日本に向けた核ミサイルはすぐですけれど、ICBMみたいにアメリカまで飛ぶやつも作ってくるかもしれない。中国は割とすぐなので、きっと怒るという状況です。

北朝鮮としては、何か合意できるかと思ったらなかなか合意出来ないのでまたミサイルを飛ばし始めて危なくて仕方ありません。今度は韓国にも自衛のためミサイルを作ればと言い始めたわけですが、時間の問題で日本も自衛のために核ミサイル作ればみたいなことをアメリカが言ってくる可能性が出てきつつある。そうすると、問題は朝鮮半島だけではありません。台湾周辺では核を除けば中国の軍事力がアメリカの軍事力を上回るようになっています。台湾を勝手に取ってもアメリカは核戦争しないのではないかと思って、中国が台湾を獲りに来るという可能性もあるわけです。アメリカとしは対中戦争は双方の破滅を招きかねず怖いので、最初は日本が行けみたいな事を言いかねません。そうなれば日本が中国とアメリカの間に挟まれて最初に消滅するという恐怖のシナリオに陥りかねません。日本の立場としては、本当に難しいです。日本は、超大国と戦えるような国ではないので、両方ともにいい顔をしなければいけないという悲しい状況です。

韓国と日本の関係はいまどうなっているか覚えていますか? コロナ前から韓国と日本は元徴用工問題とか慰安婦問題とかずっと揉めていて、関係が悪化していました。けれども、そのままの状況で新型コロナウイルスの感染拡大という事になって、お互いに入っちゃダメみたいな話になりましたよね。だけど去年の秋頃に、まあ隣国だし取り敢えずビジネスだけOKにしようかみたいなことを言って、ビジネストラックをオープンしたり、それからレジデンストラックというずっと長期的に滞在する人達をオープンにしたりしたのです。ところが、もうそれも第3波でビジネストラックとかレジデンストラックを全部止めてしまったので、行き来が無しになりました。

今、慰安婦問題がどうなっているかです。1月にソウル地裁が損害賠償を払えと言ったのですが、4月のソウル地裁の別の裁判では払わなくていいと言ったのです。最初の1月の裁判の判決は、組織的反人道的犯罪については国際法上の主権免除の原則が適用ではないと言った。ところが、4月には国際法上の主権免除の原則を適用すると言って、同じソウル地裁の中でも別々の事を言っているのです。話がいよいよ分からなくなってきている中でソウル市もプサン市も与党が負けてしまって、あと1年で文在寅も多分変わるという事で、何がなんだか分からなくなってきたという状況です。

今日のまとめです。前から言っているように、北朝鮮の経済状況は経済制裁とかコロナとか水害ですごく悪化しているのです。トランプがバイデンに変わると一体どうかというと、バイデンはトランプの様な事はしないし、オバマのような戦略的忍耐も取らない。段階的非核化と、考えてみると元ブッシュ大統領のやったことなので、また元に戻って一体何が出来るのでしょうか。もう核を持ってしまっているし、米中対立で中国がおそらく北朝鮮をサポートするので、簡単に非核化出来るわけではない。文在寅さんは不動産高騰とか検察改革の対立だとかソウル・プサン市長のセクハラだとか色々な事があり支持率が落ちていて、後1年で任期が終わってしまう。徴用工だとか慰安婦問題は全然解決していないのですけれど、これから一体どうなるのか全く分からない状況です。

分野: 財務戦略 |スピーカー: 村藤功

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