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「よ き リーダーは哲学に学ぶ 」 ②~リーダーの役割とは~

芹沢宗一郎 組織・リーダーシップ研究

21/06/08

 前回は「よく生きる」ための指針となるのが哲学であり、その個人の「よく生きる」を実現していくのが組織であるという話をした。今回は、組織のリーダーの役割と権限について、哲学の観点から考えたい。

 リーダーとは? 究極的には、人々が「よく生きる」ための環境づくりを行う支援者といえよう。その役割を果たすために、第一にリーダーとして模範を示すことが大事としたのが、「性格とは長続きした習慣である」と遺した古代ギリシャの哲学者プルタルコスだ。人間は社会的動物ゆえ、リーダーの振る舞いによって構成員は強く影響を受けるからだ。リーダーが役割を果たすために必要な二つ目には、組織の公平さ(信頼と同義)があげられる。

 アメリカの哲学者ジョン・ロールズは、公平であるためには、
①他人の自由と両立する限りにおいて平等に最大限の権利をもてていることと、
②結果に格差がでてももっとも不利な立場の者にも利益がもたらされ、かつ機会自体は平等であることという。組織の公平さにはこの 2 つを満たしている必要があるとしている。リーダーが役割を果たすために必要な三つ目として、リーダーの権限について考えてみたい。社会契約説の礎を築いたホッブズは、「人間は生まれながらに平等で、誰もが同じように自分の人生をつかさどる権利をもっている」と考えた。そのうえで、社会契約とは、社会や組織の構成員の間で結ばれる合意であり、その合意によってリーダーに何らかの権限を授けられるという考え方だ。権限は地位に伴う権利ではなく、構成員から貸し与えられたものであるという点が大事で、それゆえ権限は構成員のために公正に行使されなければならない。

 さらにリーダーに対する正当な権限付与はなぜ容認されるのか? ドイツ哲学者カントによると、人間は、何が正しいかを判断する感覚や、協力し合い争いを平和的に解決しようとする道徳法則を踏まえた自律心(実践理性)をもっているから任せてもよいと思えるという。

 では権限の公正な行使とは? カントは次の3つの倫理原則を示している。
① 自分ならこうしてほしいと思うように他人に接すべし
② 自分たちで定めたルールを自分にも他人にも同じように適用すべき
③ 他者を目的達成の単なる手段とみなすのではなく、目的そのものと常にみなすべき
(他人の目的を尊重し、相手に接する際にはその敬意を忘れない)

 特に3点目は人間性を尊重することであり、いわゆるエンパワーメントである。本来エンパワーメントとは、「自分がしたいことをする自由や力を獲得するプロセス。または自分に起きる出来事をコントロールする自由や力を獲得するプロセス」 すなわち、主体を相手に置き、相手のために相手が活躍できる場を作り出し仕事をしやすくなるように支援することが目的であるのに、残念ながら実態は、権限を持ったリーダーが自分の目的を達成するための手段とみなしてしまっていることが多い。

まとめ:
リーダーは、組織の構成員が「よく生きる」ための環境づくりを行う役割を担う。その役割は果たすには、リーダー自らが模範を示すこと、公平であること、そして権限は構成員のために公正に行使することが必要である。

分野: リーダーシップ |スピーカー: 芹沢宗一郎

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