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医薬品・健康食品・化粧品の広告表示②

荒木啓充 バイオ産業

21/05/04

前回は、薬品や健康食品、化粧品の広告表現には様々な細かい規定や法令があり、言って良いことと言ってはいけないことが決められているというお話でした。

今日は、実際にあった事例をご紹介していきます。

まず、実際の事例を話す前に、企業が広告表現で法令違反した場合、どのような罰則があるかについてお話をします。これは違反した法令の程度によって様々ですが、消費者の皆さんと深い関わりがあるものとして、「措置命令」というものがあります。これは消費者庁が景品表示法に違反して、商品の品質について実際よりも優れている等、消費者が誤解するような不当表示等をした企業に対して、広告表示の撤回、再発の防止を命じる「行政処分」です。措置命令を受けた企業は、消費者庁のウェブサイトに実際の企業名が公表されます。その他、細かい事実関係や違法行為等の内容等も併せて掲載され、大企業であれば措置命令を受けたことが全国ニュースで報道されることもあります。これにより不名誉な事実が広がったり、企業の信用を大きく落とす原因になったりするため、非常に大変なことです。また、場合によっては「課徴金」が課せられるケースもあります。

では、実際に起こった事例を一つ紹介します。これは、健康食品業界において近年大きく取り上げられた事例の一つです。

2017年に起きた葛の花由来のイソフラボン関連商品の景品表示法に基づく措置命令です。
この措置命令が、葛の花由来イソフラボンを含有する「機能性表示食品」の販売会社実に16社に対して消費者庁から出された措置命令です。イソフラボンは聞いたことがあるかと思いますが、主にマメ科の植物に含まれる栄養成分で、大豆に多く含まれていることが有名ですが、女性ホルモンであるエストロゲンに分子構造が類似しており、別名植物性エストロゲンとも言われています。イソフラボンは、抗酸化作用、血流改善作用等、様々な効果があると報告されているのですが、その内の一つに「脂肪細胞の燃焼を促進する作用」があると言われています。問題となったのは、この葛の花由来イソフラボンを含有する機能性表示食品の広告表現で、それを摂取するだけで誰でも簡単に内臓脂肪が減少し、見かけ上変化が認識出来るほどお腹の部分などに痩せる効果が得られる様な表示がされていました。実際、どういう広告表現が具体的にされていたのかというと、「運動や無理な食事制限を続けられない、そんなあなたに」とか「運動しなくても」とか「食事制限しなくても頑張らないダイエットをサポート」という表現がありました。

非常に魅力的な表現ですよね。この表現だけ見れば、葛の花由来イソフラボンさえ摂取していれば簡単に痩せそうなイメージを皆さんに与えてしまいますよね。

消費者庁はこのような消費者が誤認するような表現について厳しく監視しております。消費者庁自体も「食べ物で痩せる効果が得られるのはあり得ない」と強い言葉で指摘しており、そもそも食品で「痩身効果(痩せる効果)」を謳ってはいけないとまで言っています。なかなか中年のみんなにとっては耳が痛いですが、やはりダイエットには適度な運動が必要ということです。

これは非常に大きく取り上げた事例の一つですが、最近に関しては新型コロナウイルスについて、新型コロナウイルスそのものの特性が明らかではない状況で、新型コロナウイルスに対する予防効果を標榜する商品について、現段階においては客観性や合理性を欠く恐れがあると考えられて、この様な予防効果を標榜する商品については消費者庁も消費者の商品選択に著しく誤認を与える可能性が高いと言われて注意喚起をしています。

実際に「新型コロナウイルスはマグネシウム不足で発症、ビタミンD、マグネシウム、亜鉛、セレンをビタミンCと同時に摂取することでウイルスに対する免疫機能を強化」という特に科学的根拠が無い表示がなされている広告もみられます。消費者庁は、各法令の規定に違反する恐れが高いと考えており、実際に数十の事業者に対して措置命令まで厳しい行政処分ではありませんが、「改善要請」を行なったりしています。

人々のコンプレックスに対して訴えかけるような表現方法や、皆が不安に思っていることに対して取り入るような表現方法には、十分気を付けないてください。

商品自体がどういう性質のものかっていうのは消費者としても十分認識する必要があると思います。

では、今日のまとめです。
医薬品、健康食品、化粧品の広告表示では、言って良い事と言ってはいけない事が細かく規定されています。今日は、実際に起こった事例について紹介しました。消費者の方は、ついついインパクトの高い、又は手軽に大きな効果が得られる様な広告表現をしてある商品に飛びつきがちですが、この商品が法令上どの様な位置づけにあるのか、どういった試験を基にその効果・効能を標榜しているのかをよく理解して商品選択する必要があります。

分野: バイオ産業 |スピーカー: 荒木啓充

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