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ビジネスパーソンの能力開発③志にはサイクルがある

梶屋拓朗 リーダーシップ開発と倫理・価値観

21/05/27

社会人の「能力開発」について、「志とリーダーシップ」をテーマにお話しています。まずは"want"を大事にしながら自分がありたい姿を決めるという所からスタートしましょう。そして、ありたい姿(あるべき姿)が設定出来たら現状を正確に把握し、ギャップを埋めていくという作業になります。

「そもそもやりたいことが見つからない」という方から相談を受けることが多々あります。学生から社会人の皆さんまで様々な方が同じ悩みをお持ちです。その際に、私は「志は見つけるものではなくて作るものです」と申し上げています。

ここで私は味噌の話をしています。
「大豆も麹も塩も貴方の心にある」という話です。あとはそれをどうやって醸造、醸成するかという話なのです。「志」や「ありたい姿(あるべき姿)」というのは、「何もないから見つけに行く」という発想になりがちですが、もう既に貴方の心の中にあるのです。そこに目を向けてくださいとお伝えしています。大豆も、麹も、塩もあります。それをゆっくり醸成していけば良いということです。「自分探し」という言葉もありますが、それも同様です。自分はどこかに落ちているものではありません。自分の中にあります。それを醸成していきましょう。

今日は、醸成する時のステップについてお話します。グロービスの書籍に「志を育てる」という本があります。志を高く生きていらっしゃる方々にインタビューをする中で、同様のサイクルがあることが分かってきました。

それはどんなサイクルかというと、何かしらのきっかけで目標を持った後に、それを達成する為にしっかり取り組んで、その取り組みが終焉した後はそれを客観視し、自問自答し新たな目標を設定していくというサイクルでした。これが一周すると、スタートとは一段高いこところに戻ってきていて、螺旋の上に登っていくイメージで向上してきます。
「自分のやりたいことが見つかりません」という方に限って、取り組みが終焉していません。ブスブス種火が燃えているように、取り組みが終わっていない方がグルグル回ってしまうということがあります。そのため、しっかり燃えきること、終焉することがまず大事です。終焉してから客観視し、自問自答が始まり、新たな目標が設定される。そこにおいてサイクルが一回りして一段上に行けるというプロセスになっています。

では、どういうふうに燃えきるのかというと、やはりこれはシンプルに「今やっていることに全力で取り組む」に尽きます。私は、ある日東日本大震災のボランティアをきっかけに東北に出向き、そこからグロービス仙台校の立ち上げという自分の取り組みが始まりました。私のように、天災などの外的要因や、会社の異動などで終焉も迎える方もいらっしゃいますが、そうではない方も多いと思います。その場合は、しっかり自分で「一点の曇りもなくやり切った」と言えるまでやり切ってくださいというのが私からのメッセージです。

少々大げさに聞こえるかもしれませんが、鏡を見て仕事が終わった夜に、自分の目を見ながら「やり切ったのか」と言えばそれで良いと思うのです。やり切ったかどうかを自分で確認することが大事だと思います。「やり切った」と言えたら、次に進むことができます。

ここで少し補足ですが、現状を知る上では「失敗」や「挫折」も素晴らしいことです。やはり、挫折や失敗があることで、人は今を知ることが出来ます。ただ、失敗には色んなレベル感があります。例えば、ルールを逸脱したり、ポカミスをしたりするというのはやってはならない失敗です。しかし、自分の立てた仮説を検証するためのチャレンジや、可能性を広げるための失敗は、称賛されるべき失敗と言えます。皆さんにはどんどんそういった良い失敗を繰り返すことで、今の自分の現状を把握してほしいと思います。加えて言うと、もし部下を持つ上司の方がいらっしゃれば、部下のどういう失敗がやってはいけない失敗で、どういう失敗が褒めるべき賞賛すべき失敗かということを理解しておく必要もありますし、皆さん一人一人も良い失敗を意識してチャレンジを繰り返していくことが大事ではないかと思います。

良い失敗をする方というのは謙虚になります。謙虚さは能力活用においても非常に大事なポイントです。謙虚な方は、身の回りの様々なことから学ぼうとします。他責にせずに自分の環境や相手に感謝をします。感謝は無敵です。感謝している方は、表情が良くなっていきますし、コミュニケーション力も高まっていき、人間関係も豊かになっていきます。チャレンジも増えて良いチャレンジの機会が増えてくるため、グッドサイクルが生まれやすくなります。

では、今日のまとめです。
冒頭から申し上げていきましたが、まず自分でしっかり目標を定めて現状を理解した後は謙虚にギャップと向き合ってギャップを埋めていきましょう。謙虚になればなるほど感謝が生まれます。感謝すれば表情も良くなり、繋がりも深まり、良いチャレンジが増え、どんどん現状が上がっていきます。その度に、またしっかりと目標を定めなおすということが大事です。

分野: グロービス経営大学院 |スピーカー: 梶屋拓朗

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