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ブックレビュー「反応しない練習」①

福田亮 組織行動とリーダーシップ

21/04/29

前回までは、組織の「心理的安全性」についてのお話でした。きちんと弱さを開示出来る、率直に意見を述べられる、そしてコミュニケーションと情報を共有することが出来ていれば組織として心理的安全性が高まっていくというお話でした。今の組織の心理的安全性を高める上で、リーダーの役割が重要であるというお話をしましたが、実際にこの心理的安全性をテーマに、大学院や企業とディスカッションをする中で、マネージャーの方から出てくるのが、「難しいですね」という言葉です。その理由の一つは、やはり従来の習慣と真逆のことですから、習慣を変えるということの難しさです。

今日は、個人として様々な変化に上手く適応出来るアプローチについて、角川出版から出ている「反応しない練習」という草薙 龍瞬先生というお坊さんが書かれた本をご紹介します。実は、仏教の考え方は日々のストレスや不安、苦しみに直面している現代人には非常に役に立つ考え方があります。私はこの本を参考にして、実践させていただいています。今日はその内容をご紹介したいと思います。

まずは、仏教の概念について少しお話しします。仏教では「生きるのは苦しくて辛い」という前提から始まります。結局、苦しみや辛さを抱えながら生きていくのです。苦しみ、辛さというのは人間の心・感情から出てくるものです。怒りや世の中に対する不安、後悔、こういったものに心が捉われてしまい、それを引きずってしまって悪循環に陥ってしまうわけです。つまり、悩みの源泉は「心」です。心というのは、正確に言うと脳の認知機能ですが、脳の認知機能が原因だという風に考えます。そのため、仏教では悩みには必ず原因のメカニズムがあり、原因が分かれば取り除くことが出来ると考えています。実際に取り除き方もあります。これを日々応用することで、真新しい人生を、あるいは苦しみと向き合う人生を生きることが出来ると言われています。ポイントは、「反応しすぎないこと」です。つまり、悩みや不安を解決しようと思うのではなく、「悩みと不安に過剰に反応しないでいく」ということが大事なのです。

仏教ではどんな風に対応をすべきかということを述べる前に、悩みは何故生まれるかということを考えましょう。悩みは何故生まれるかと言うと、実は欲があるからです。欲求が満たされないがゆえに悩み。悩みは怒りといった感情を生み出します。どんな欲があるかというと、一つは「貪欲」。様々なものを求めすぎてしまったり、もっと自分は出来る、あるいは自分の部下や子どもにももっと貴方は出来るはずと求めすぎてしまったり、思い通りにならない不満や怒りです。あるいは妄想もその一つです。これは、勝手に「私ってこんな人で駄目」と思い込んでしまったり、相手に対してこうでないとダメと決めつけてしまったり、世の中はこうなるのではないかなど事実とかけ離れた妄想をしてしまいます。『貪欲』、『怒り』、『妄想』が、仏教では【三毒】と言われています。

これをしっかりと理解して受け止めることで反応しすぎず、今の置かれている状況に集中ができ、適応出来ると言われています。この「欲求」というのをコントロールするためにどうすれば良いかも基本ステップがあります。
非常に驚いたのですが、仏教は合理的だということです。欲求のコントールには3つの段階があります。まずは、「心の状態を言葉で表現する」、つまり、「気付く」ということです。今、僕は収録をしていて凄く不安を感じている。上手く話せるだろうか、時間内に収まるだろうかといった心の状態を言葉にすることによって「自覚する」ということです。

もう一つは、「体の感覚を確認する」ことです。今、心が不安で支配されていると気付くわけです。そうすると、脳から体に切り替えるために、足を大地に着けてその感覚を掴んでみよう、背筋を伸ばしてみよう、肩の力を抜いてみよう、例えば歩いてみたり、運動してみたりすることで体の感覚を取り戻し、心がリフレッシュされます。つまり、「切り替わる」ということです。
最後に切り替わった後に、「冷静に考えてみよう」とするわけです。今、私が心に感じているのは求めすぎていることなのだろうか。不満や怒りが爆発しているのだろうか。単なる妄想だろうかと捉えて、これかもしれないというものを見つけ、それをどうしようかと考えていくというのが仏教の基本ステップです。

これはあらゆる状況に応用出来るということがこの本には書いてあります。世の中の多くの人が感じる悩みのパターンが見つかり、それに対して実際にどう対応するかということが書いてあります。次回はその辺りをいくつかご紹介したいと思います。

欲があるから悩み、欲があるから怒ります。全く欲がないという状態には中々出来ないでしょうけれども、上手くバランスを取りながら冷静に客観的に考え判断するということも大切かもしれません。
では、今日のまとめです。感情をコントロールするヒントは、仏教にあります。

分野: グロービス経営大学院 リーダーシップ 組織行動 |スピーカー: 福田亮

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