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ブックレビュー「恐れのない組織」②

福田亮 組織行動とリーダーシップ

21/04/28

前回から、ハーバード大学のエイミー・エドモンソン氏の著書である「恐れのない組織」を基にお話しています。
「恐れのない組織」、言い換えると「心理的安全性がある」ということです。
この「心理的安全性」は、皆が同じように意見を述べ合うことができる開かれた組織と関係しています。
今日はこの「心理的安全性」を高めていくポイントがどこにあるのか。実際に取り組む上でのポイントについて「恐れのない組織」という著書の中から引用してお話をします。

この本では、「心理的安全性」を高める鍵として大きく3つのことを挙げています。
1.「率直さ」
2.「弱さを開示する」
3.「コミュニケーションと情報共有」

これらをすることにより「心理的安全性」が高まり、良いパフォーマンスに繋がると言われています。「率直さ」とは、良い悪いも含めて率直にフィードバックするということです。当然、自分が間違えたことや分からないことも含めて率直に述べます。そうすることにより、皆が思っている状態が言葉になって表れてきます。

私は「率直さ」と「弱さ」は表裏一体のように解釈していますが、そういう意味では率直さの裏側には、自分の弱さを積極的に開示するということがセットになっている必要があります。そのため、「分からない」「不安だ」「もしかしたら間違えたかもしれません」といった内容を発言する子とは、心理的安全性が低い職場では、こんなことを言ったら自分が弱い人間だと思われて評価に影響があるかもしれないという不安に繋がります。そういう不安なしに弱さを開示出来るということが心理的安全性の高い組織には必要です。

もう1点大事なことは、弱さを開示した時に付け加える一言です。「私は分からなくて困っているので皆さんの力を借りたい」。つまり、「助けてください」ということを言えることです。

これは3番目の「コミュニケーション」に繋がります。
助けてくださいと伝えることで、「何に困っているの?」、「どんなこと取り組んだの?」、「どう思ったの?」というコミュニケーションが生まれ、そこでどんどん情報が詳らかになり、その情報を基に皆でどうしていこうかということを考えて動き出します。

この「率直さ」、「弱さを開示する」、「コミュニケーションと情報を共有する」という3つは、それぞれが独立しているわけではなく、密接に繋がっています。その3つがきちんと出来る組織は「心理的安全性」が高くなり、心理的安全性が高くなればこの3つも出来るようになるという相乗効果があります。

ただ、そうは言ってもこれは簡単ではありません。実は、この状態を作ることは非常に難しいです。その鍵を握っているのはリーダーです。エドモンソン氏はその組織やチームを束ねている人が重要だと指摘しています。
なぜリーダーが鍵となるかと言うと、従来のリーダーは全く逆のことをしていたからです。リーダーは、権限、責任とパワーを持っています。そのため、結果と管理ばかりに捉われて、自分のポジションやパワーを脅かされるものに対する恐れが強くなりがちです。「リーダーは間違えてはいけない」、「知らないなんて言えない」、「上司は指示をするものである」と捉えられています。そうなると、「心理的安全性」の高い組織にするためには、リーダーはある意味真逆のことをしないといけないわけです。ここが非常にチャレンジになってきます。ここで大事なのが、リーダーの捉え方を変えることです。そこで、エドモンソン氏はフレーミングという言い方をしているのですが、例えばマネージャーの役割を「答えを持っている」、「命令する」ということではなく、「方向性だけを決めてあげる」、「考えを聞いてもっと磨きを掛ける役割になりましょう」と変えてみたり、「結論を出す」「決める」だけではなく、「絶えず学習して自分自身も進化していって良い条件を整えるように努力する」、「部下を指示命令する対象や評価の対象ではなく、自分が知らない貴重な知識とか知恵を持って貢献してくれる人」と捉え直してみたり、フレーミングを変えることがリーダーにとって非常に大事です。

リーダーがそういった意識改革をすることによってチームの状態も良くなっていきます。いくらチーム内の一人一人がそう思っていても、リーダーがそういう考えを持っていないとなかなか上手くいきません。

実は、「心理的安全性」というのは、メンバーの方が望んでいることです。少しリーダーが変われば変化が生まれます。次に大事なのが率直な発言が出た時の対応です。まずは、素直に感謝する。「ありがとう」という言葉、上司(リーダー)がどれだけ使っているかがカギとなります。あとは、ネガティブな言葉を使わないようにしましょう。「間違えました」「失敗しました」というのは、上手くいかないトライをしたということだから、またチャレンジすれば良いという言葉に置き換えてあげることによって、更に心理的安全の場の土壌が出来て定着していきます。

より分かりやすい日々の実践で言うと、「良い口癖を持ちましょう」ということを挙げています。口癖とは例えば、「分かりません」、「手助けが必要です」、「間違えました」、「申し訳ありません」、「ごめんなさい」といったものです。こういった言葉はメンバーもそうですが、上司も素直に言えるかどうかがより重要です。もう1つ、こういうことを言われた時に、受ける側の言葉として、「どんな手助けが出来る?」、「どんな問題に直面しているの?」、「どんなことが気になっているの?」と関心を示す言葉が上司や部下、チーム間で沢山流通していくように意識をすると、心理的安全性は徐々に高まっていきます。実は、エドモンソン氏が言っているのは難しいことではありません。日々、人間が感じ取れるシグナル。言葉によるシグナルを変えることによって、心理的安全性は高められるということを仰っています。

では、今日のまとめです。
心理的安全性は日常のシグナルから決まります。ぜひ、日々の皆さんのシグナルを見直してみてください。

分野: グロービス経営大学院 リーダーシップ 組織行動 |スピーカー: 福田亮

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