QTnet モーニングビジネススクール

QTnet
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QTnet モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録

タグ

QTnetモーニングビジネススクール > タグ一覧 > タグ社会心理学・組織心理学

誰かのためにお金を使うと幸せになる話②

三上聡美 産業組織心理学、社会心理学

21/04/27

前回は、「自分の為にお金を使うよりも人の為にお金を使う方が幸せを感じやすい」というお話でした。今日はその理由についてお話をします。

お金と幸せの関係については、様々な側面から検討することが出来ますが、今日は「欲求」と「動機付け」の面から考えます。

欲求については、心理学では私たちの心や体を正常に維持していく中での心や体の結合状態と言っています。例えば、お腹が空いたからご飯を食べたいというのは食欲になりますし、眠たいというのは睡眠欲になります。食欲や睡眠欲というのは、生命の維持に関わるため、「生理的欲求」と呼んでいます。この生理的欲求は必ず私たちに備わっている欲求であると言われていて、欲求の段階では「基本的欲求」「一時的欲求」とされています。

この「一時的欲求」は人の基本的な欲求であるのに対して、「二次的欲求」があります。それは私たちが成長していく中で経験しながら獲得していく欲求とされ、「社会的欲求」と呼ぶこともあります。この「二次的欲求」にはどのようなものがあると思いますか。

私たちは成長していく中で様々な人と出会って様々な経験をしながら、「○○さんと△△したい」という欲求を身に付けていきます。この人との関係性(社会)の中で生まれてくる欲が、二次的欲求です。今回のお金の使い方と幸せの話に関連していきます。今回は、その社会的欲求について三つの欲求をご紹介します。

「社会的欲求」、つまり「二次的欲求」の中にもいくつか欲求が分かれています。
たくさんあるのですが、今日はその中から三つの欲求、「関係性欲求」、「有能性欲求」、「自律性欲求」をご紹介します。

「関係性欲求」とは、周りの人と良い関係でありたいという欲求になります。
「有能性欲求」とは、基本は有能な人間でありたいという欲求です。
「自律性欲求」とは、自分の行動を自分で決定したいという欲求になります。

この三つの欲求を含めて、何々したいという欲求を感じてその欲求を満たそうとする行動の状態を「動機づけ」と呼んでいます。動機づけは「内発的動機づけ」と「外発的動機づけ」に分けられます。「外発的動機づけ」というのは、義務や賞罰、強制などによってもたらされる動機づけとされています。例えば、「テストの日が近いから勉強する」、「昇給を目指して仕事を頑張る」というのは、あくまでも目標達成の手段となります。そのため、テストが終わったら勉強は終わりという感じで、目標が達成されてしまうと今までやってきた行動も長く続きません。
それに対して「内発的動機づけ」というのは、楽しみや好奇心、興味によってもたらされる動機づけとされていて、動機づけが起こる要因が自分の中にあります。そのため、行動すること事態が目的になっていきます。テストが近いなどと関係なく、「勉強が好きだから勉強する」、「自分で知りたいことがあるから調べる」ということが内発的動機づけによる行動です。内発的動機づけによる行動は、外発的動機づけによる行動よりも長続きします。そのため、内発的動機づけによって欲求が満たされると、幸福感も高まりやすくなるのではないと考えられています。
 
つまり、人の為にお金を使うということが「内発的動機づけ」によって起こる行動だとすれば、先ほどお話した三つの欲求は満たされやすくなり、幸福感も高まりやすくなります。まず、周りの人と良い関係でありたいという関係性欲求について考えると、例えば同僚の人にコーヒーをご馳走した場合、相手が「ありがとう」と感謝をしてくれれば相手との関係は良好になり、関係性欲求は満たされ、幸せは感じやすくなるという風に言われます。

二つ目の「自分は有能な人間でありたい」という有能性欲求では、例えば災害が起こった地域に募金をしたとします。募金をして災害地域の復興に私は役立っていると思えば、有能性欲求は満たされます。

三つ目の「自分の行動を自分で決定したい」という自律性欲求では、自分の為にお金を使うと決めて行動すれば、自律性欲求は満たされます。

逆に、欲求が満たされにくくなると幸福感は感じにくくなるとも考えられます。例えば、仲良くない同僚と仕方なくコーヒーを飲みに行かなければならなくなった場合、相手から持ち合わせが無いからコーヒーを御馳走して欲しいと言われて仕方なく御馳走する場合は、関係性欲求は満たされにくく、幸せは感じにくくなります。もし募金をしたお金が何の役に立つのか分からない場合は、有能性欲求は満たされにくくなりますし、自分で募金をしようと思ったのではなく、強制的に募金をさせられている場合などは、自律性欲求は満たされにくくなり、幸せを感じられるか分からなくなります。

つまり、お金の使い方と幸せについては、「○○したい」という欲求から考えることが出来るのではないかなと思います。ちなみに他人の為にお金を使って幸せを感じると、その後も他人の為にお金を使いやすくなるという研究もあるそうです。

では、今日のまとめです。
自分の為にお金を使うよりも他人の為にお金を使う方が幸せを感じやすいそうです。それは何故なのか、欲求と動機付けの面からお話しました。

分野: 社会心理学・組織心理学 |スピーカー: 三上聡美

トップページに戻る

  • RADIKO.JP