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誰かのためにお金を使うと幸せになる話①

三上聡美 産業組織心理学、社会心理学

21/04/26

今日は、「自分のためにお金を使うのと誰かのためにお金を使うのとでは幸せの感じ方に違いがあるのか」についてお話をします。

みなさんはストレス発散でお金を使うことはありますか。
私の知り合いは、ある時仕事でどうしようもないほど大きなストレスを抱え、怒りやモヤモヤをどう鎮めようかと思案していた時に、身近な人にプレゼントを贈ることがあったり、職場の人に差し入れをしたりして数万円のお金を使ったそうです。
私はその話を聞いた時に、ストレスが溜まっている時にお金が飛んでいって大変そうだなと思いました。しかし、その知り合いはたくさんのお金を使ってしまったけれども、買い物が終わった後に何だか気持ちが落ち着いて、ストレスも少し下がったと言っていました。私はそれを聞いて少し不思議な感じがしました。私だったら、ストレスが溜まっている時には誰かにお金を使うよりも、まずは自分の気持ちを落ち着かせるために美味しいものを食べたり、以前から欲しいと思っていたものを奮発して買ったり、自分のためにお金を使おうとすると思ったからです。そうして自分の気持ちが落ち着いた後、誰かのプレゼントを選ぶと思いました。

また別の質問になりますが、みなさんはもし宝くじが当たったら何に使いますか。
もし宝くじが当たったら、好きに使っていいお金を与えられる状況があったら、どのくらいの人が自分のためにお金を使い、どのくらいの人が他人のためにお金を使うでしょうか。

自分のためか他人のためか、そのお金を使った時にその時の幸福感や満足感に違いはあるのでしょうか。

そんな疑問にお答えするために今回はマイケル・ノートンという人達が行った研究をご紹介したいと思います。

まず、実験に協力してくれる大学生達に実験の日の朝、彼らがどのくらい幸せかを尋ねました。そしてお金とメモが入った封筒を渡しました。メモは2種類あり、1つは「このお金を夕方5時までに自分のために使って下さい」と書かれており、もう1つには「このお金を夕方5時までに他の人のために使って下さい」と書かれていました。メモと一緒に封筒に入っているお金は5ドルか20ドルのいずれかが入っていました。
実験協力者である大学生達は、封筒が渡されてから部屋で過ごす時間があり、その間に自分のためか他人のためか指示通りにお金を使いました。夕方、実験に協力してくれた大学生達にお金は何に使ったのかと尋ねました。自分のためにお金を使った大学生達は化粧品にお金を使う人が多かったそうです。一方で他の人にお金を使った人達は、親戚の子供に玩具を買ってあげたり、路上生活者にお金を渡したりしたそうです。
興味深いなと思ったのは、大学生達だからかコーヒーショップに行く人が多かったそうです。自分のためにコーヒーを買って飲む人もいれば、誰かにコーヒーを御馳走する人もいたそうです。何に使ったのかを尋ねた後に、どのくらい幸せかを尋ねました。すると他人のためにお金を使った人達は、朝どのくらい幸せかを尋ねた時の度合いよりも幸せだと感じる度合いが高くなっていたそうです。一方で自分のためにお金を使った人達は、お金を使う前後で幸せの度合いに変化はないという実験結果になりました。
ちなみにこの実験では5ドルを渡された人と20ドルを渡された人がいたわけですけが、幸せの度合いには実際に使った金額の影響はなかったそうです。

この実験の結果から、自分のためにお金を使うよりも他人のためにお金を使う方が幸せな気持ちを感じやすいという事が分かりました。誰かのためにお金を使うと幸せな気持ちを感じやすいという研究ですが、誰かのため使うとしてもお金の使い方には色々な方法があります。
例えば、仕事を手伝ってもらうためにご飯を御馳走するというお金の使い方や、家族が病気をして、その治療費のためにお金を使うのとではお金の使い方は違うと思います。

マイケル・ノートンたちの研究では、お金の使い方はそれぞれ違うとしても自分のためよりも誰かのためにお金を使うということが幸福感に繋がるとしています。また、彼らの他の研究では、企業の営業チームを対象として同じような実験を行っています。ある営業チームには「自分のためにお金を使って下さい」と伝えてお金を渡し、別のチームには「チームメイトのどなたかにお金を使って下さい」と伝えてお金を渡しました。この実験の結果、自分のためにお金を使ったチームよりもチームメイトのためにお金を使ったチームの方が営業成績は高かったそうです。お金で幸せが買えるのかという議論がされることがあると思いますが、マイケル・ノートン達の研究を踏まえると、小さな金額でもお金を使う意図は人それぞれでも誰かのためにお金を使うと幸せな気持ちを得られるということなので、もしかしたら幸せをお金で買えるのかもしれません。

では、今日のまとめです。
今日は自分の為にお金を使うよりも他人の為にお金を使う方が幸せな気持ちを感じやすいということについてマイケル・ノートン達の研究をご紹介しながらお話をしました。

分野: 社会心理学・組織心理学 |スピーカー: 三上聡美

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