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自動車産業のこれから(6):電動化(その1)

目代武史 企業戦略、生産管理

21/04/05

このところ自動車産業の話をしています。これからの車の未来を考えるにあたって、CASEがキーワードになるという話でした。CASEとは、常時接続のConnected、自動運転のAutonomous。それから、Car ShareやRide ShareのSharingです。今日は四つ目のキーワードである電動化=Electricの話をしてみたいと思います。

自動車産業の歴史の中で、電池に蓄えた電気で走る電気自動車の時代になるという話は、これまで幾度となく現れては消えてということの繰り返しでした。歴史を振り返ってみると、車の誕生が19世紀末から20世紀の初めですが、その頃は実に多様な動力源が使われていました。蒸気自動車やガソリンエンジン車、そして電気自動車と色々なタイプがありました。当時はどの技術も有望であったのですが、電気自動車に関してはやはり電池性能がなかなか向上しなかったこと、逆に、当時大規模油田が次々と発見されてガソリンが安価で豊富に供給されるようになったといった事情があって、その後ガソリン車が主流になっていきました。それからほぼ100年が経って、車の動力源として再び電気が注目されるようになったのです。

その大きな原動力となっているのが、今各国で相次いでいる環境規制の導入です。例えば、フランスでは2040年までに、イギリスでは2030年までにガソリン車の販売を禁止するという方針が出されています。さらに、ノルウェーのように、2025年までにハイブリッド車を含むガソリン車の販売を禁止するという方針を出している国まであるのです。日本はどうかということですが、2020年12月に経済産業省は2030年代半ばまでに乗用車の新車販売からエンジンだけの車を無くして新車の全てを電動化するという目標を検討中です。さらに政府は2050年までに温暖化ガスの排出を実質ゼロにする目標を掲げています。日本全体の二酸化炭素排出量の約2割を運輸部門が占めていますから、出来るだけ早く脱炭素社会を実現したいということで今世界中が動いてきている状況にあります。

このように、車の電動化が注目を集めているのですが、そもそも電動化は何でしょうか。厳密に言いますと、電動化=電気自動車化では必ずしもありません。車の動力源として電気を使う比率を高めていくことが電動化です。例えば、ハイブリッド車はエンジンと電池に蓄えた電気で駆動する電動モーターを組み合わせて走る方式です。ハイブリッド車の電池容量を大きくして、外部電源からの充電機能を持たせたのがプラグインハイブリッドです。これに関しては電気だけで走るEVモードも備えているモデルがあります。我々が電気自動車と呼んでいるものは、電池に蓄えた電気でモーターを駆動して走る車のことで、エンジンを持ちません。ガソリン等の燃料を燃やさないわけですから、走行中のCO2はゼロになるというわけです。

ただ現在に至っても、やはり電気自動車の弱点は電池にあります。一回の充電で走ることの出来る距離はカタログ上でいっても最大400kmくらい。エアコンを付けると、一気に半分くらいになってしまう。さらに、充電ステーションが少ない、充電に時間がかかるといった様々な弱点があるわけです。そうした弱点を補うために、車の中に発電機を積んでやればいいじゃないかという話もあって、それをRange Extender EVと言います。発電機というのは実はエンジンです。小型の発電用のエンジンを積んだ車ですから、見方を変えればこれはハイブリット車になるわけです。

発電しながら走行する車にはもう一つタイプがあります。それが燃料電池車です。車に水素タンクを搭載しており、そこから供給される水素と空気中の酸素を化学反応させて電気を取り出すのです。この電気でモーターを回して走行するわけです。発電しながら走ることが出来ますから、航続距離が長く電気自動車の大体2倍くらい走行できると言われています。弱点は価格の高さです。700万円以上することから、一般に普及するまでにはまだまだ価格の壁があります。

いずれにしても、一口に電気で走る電動車といっても、技術的構成や電動化の程度には大きなバリエーションがあるわけです。車の電動化が進むという時、それはガソリン車からバッテリー電気自動車に一気に切りかわる一かゼロかという話ではなく、100%エンジンで走る車と100%電気で走る車の間に電動化の緩やかなグラデーションがあるとご理解頂いた方がいいでしょう。

今日のまとめです。車の電動化は地球温暖化対策の一環として、二酸化炭素削減の重要な手段と考えられています。各国で環境規制が強化されていて、2030年頃までにエンジン100%で走る自動車の販売が規制される方向にあります。車の電動化は、従来のガソリンエンジン車にとって代わるものとして普及が期待されています。但し、電動化とはハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、電気自動車及び燃料電池車といった具合に徐々に電動化のグラデーションが濃くなっていくということです。エンジン車か電気自動車かという一かゼロかという話ではない点に注意が必要です。

分野: 企業戦略 生産管理 |スピーカー: 目代武史

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