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日本の秋冬コロナと菅総理

村藤功 企業財務 M&A

21/01/18

今日は、日本の秋冬コロナと菅総理という話をしたいと思います。4月に1回目のピークが来て、8月に2回目のピークが来たのですが、日本の現在のコロナの患者数は、1回目や2回目のピークに比べて、大体どのぐらいになっているか知っています? 患者として治療している人数は4月に大体1万人ぐらいで、8月に1万4,000人ぐらいだったのです。しかし、1月13日で6万人を超えてきている。これからどこまでいくか分からないという事で、医療崩壊がとても心配です。重症者も増えている。重症になると、人工呼吸器を装着し、酷くなるとエクモみたいな物も使わないといけなくなるわけです。4月に300人ぐらい人工呼吸器を付けていたのが600人ぐらいになってきたという状況で、これも心配な状況ですよね。

ワクチンがやっと出来たと、日本はファイザーとモデルナから供給を受けることになりました。マイナス70度とかマイナス20度で保管しないといけないので大変ですけど、これを2月に医療従事者、3月に65歳以上、4月に基礎疾患ある人に接種しようという話が出てきている。政府が雇用調整助成金を出しているでしょう? アメリカと違って、クビにしないで休業させて休業手当を会社に出させるという事で、そのお金の不足分を雇用保険からの借入で出しています。雇用保険のお金が余っているというので、QBSも授業料に結構補助を貰っていたのです。我々的に言うと、それが無くなるのではないかと思って少し心配な所です。

先週13日に福岡県を含む7県が追加されて、11都府県に緊急事態宣言が出ているという状況ですけど、2月の初めぐらいには特措法を改正しようという事になっています。行政罰は刑罰のように罰金と言わないで科料と言うのですけど、改正後は営業時間短縮や休業命令に従わないと科料を払わないといけないことになります。緊急事態宣言が出ているのに知事の要請を聞かないと科料50万円、緊急事態宣言が出ていなくても知事の要請に従わなかったら30万円の科料というような事になりそうです。

それから、保健所とか病院がどう変わったかと言うと、4月頃は保健所を帰国者・接触者の相談センターと言って、専門病院を帰国者・接触者外来と言っていたのです。帰国者接触者外来は大体8,000ぐらいあったのですが、秋冬になってインフルエンザ患者が出てきた時に、コロナかインフルエンザかの検査をしないといけなくなります。そもそも、保健所の対応機関は帰国者・接触者相談センターでもないだろうと言うので、発熱相談センターと言われるようになりました。帰国者・接触者外来と言っていた専門病院は、8,000ではなくて2万4,000ぐらい、3倍ぐらいに増やされました。しかし、増やされても第3波で全然足りなくなってきているという状況です。

日本経済は欧米と共に、第2クォーター(4月から6月まで)に一番やられてマイナス28.8%でしたが、第3クォーター(7月から9月まで)は実質GDP成長率はプラス22.9%に回復し、第4クォーター(10月~12月)でまだプラス3.6%あったのが、2021年の第1クォーター(1月~3月)でマイナス3%ぐらいになりそうだという状況です。日本としては、追加経済対策で政府が40兆円ぐらいお金を出すという事ですけど、日本の政府の財務に余裕があると思いますか? なんとなく皆困っているので、政府に「お金出せ」と言いたい所ですけど、これだけ赤字国債を発行しているわけですから、コロナ前から日本政府に余裕はありません。

私はずっとお金が無いって言い続けているわけですけど、GDPに対して50%ぐらいの政府債務というのが90年代初頭の先進国の標準だったのです。ところが、今回のコロナで、皆お金を使いまくらなければいけなかったので、GDPの120%ぐらいの政府債務という状況に世界的になりつつあるのです。日本はどうなのかと言うと、去年の年末に世界標準の2倍以上の266%になりました。これからコロナ対策を継続して赤字国債をさらにどんどん増やすというのは、借り入れのメリットを受けない我々の子孫達にそんな借金を生まれながらにして背負わせることになるがいいのかという疑惑が出てきている所です。そういう意味では、一般的な家計の個人あるいはお店としては、死にそうだから助けてと言いたい所ですけど、政府も実はお金がないという事を分かっておかないといけない。いくらでも出せるという話ではないです。特に、去年では暖かくなったら終わるのではみたいな話だったのが、1年続いてまだ今年も続きそうで、下手をすれば来年にいく可能性が出てきています。これから色々な要請をして本当に困っている所にお金を出さないといけないので、財政がもっと悪化するのはかなり見えています。

政府にお金の余裕がなければ、日銀がお金を刷れば良いのではないかというと、そういう事でもありません。お金が2倍になれば、ハイパーインフレでお金の価値が半分になるだけなので、皆さんの持っている今まで頑張って貯めたお金の価値が半分になるという事です。それで良ければ、政府にお金を刷らせてハイパーインフレで価値がなくなるという事でも良いですけど、それもまた悲しい話ですよね。ハイパーインフレ下では、銀行の金利が上がらないのに、皆さんの持っているお金の価値ははるかに小さくなってしまうのです。

今日のまとめです。4月の第1波、8月の第2波を経て、11月に第3波が拡大して止まらなくなった。ついに緊急事態が宣言されて、初めは1都3県だったわけですけれども、先週13日に福岡県を含む7県が追加されて、11都府県に緊急事態宣言が出ています。10月~12月の実質GDP成長率はまだ少しプラスだと思いますけど、今年1月~3月はマイナスに落ち込むと見られています。安倍総理から菅総理に代わって、デジタル庁の設置とか、カーボンニュートラルとかの追加経済対策で40兆円ぐらい使う事になって、財務は元々コロナ前から悪かったのが更に悪化してきているので、かなり心配な状況になってきたという状況です。

分野: 財務戦略 |スピーカー: 村藤功

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