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消費税減税は景気対策に向かない

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

20/10/13

今日は、消費税減税は今回の不況に対する景気対策には向かない、という話です。「新型コロナ不況への対策として消費税を一時的に減税しよう」という人が少なからずいるようですが、それには賛成できない、という事です。

最初に誤解がないように申し上げておきますと、私は消費税は好きではありません。財政が赤字だから消費税を増税しよう、という財務省の考え方には賛成できません。仮に将来増税するとしても、消費税以外の税を増税すべきだと考えています。

しかし、その私が、景気対策としての消費税減税には賛成できない、と言っているわけです。理由は、必要な所に支援が届かないこと、不必要な景気の変動を作り出してしまうこと、などです。

今回の不況は、特定の狭い範囲の業種に影響が集中しています。その代表が観光業でしょう。そして、我々が観光に行かないのは、消費税率が高いからではなく、金が無いからでもなく、新型コロナが怖いからです。

私自身が観光地や行き帰りに新型コロナに感染する事も怖いですし、他の人を感染させてしまう事も怖いですが、それと同じくらい大きな理由は、観光地の人々が我々を歓迎してくれないのではないか、という懸念でしょうね。さらには、万が一感染した時に、誰からどのような批判を受けるかわからないし、友人知人が私や私の家族と距離を置くようになってしまう可能性もあるわけです。

そんな時に、消費税率が下がったからと言って我々が従来のように観光に行くとも思われません。私の場合にはおそらく、消費税率が下がって家計に余裕が出来た分だけ家で飲む酒と肴のグレードが上がるといった事になるでしょうし、他の家庭でも家電製品を買ったりするのでしょうから、本当に困っている人の所には恩恵が届かないわけですね。

その意味では、消費税率の引き下げと同様に、全員への10万円の一律配布なども、本当に困っている人には恩恵が行き渡らないわけですから、あまり褒められた政策とは言えませんね。

消費税は、皆様ご存知のように、税率引き上げ前に駆け込み需要があり、引き上げ後に反動減がありますね。これは、本来であれば無いはずの景気の変動を消費税が作り出してしまっているわけです。

仮に、景気対策として2年間に限って消費税率を引き下げるとしましょう。引き下げ前には買い控えが生じ、引き下げ後には反動増が生じるでしょうし、2年後の税率引き上げ前には駆け込み需要が生じ、引き上げ後には反動減が生じるでしょう。つまり、不必要な景気の変動が4回も起きるわけですね。

同じ減税でも、たとえば所得税減税であれば無用な景気変動は起こしません。まあ、必要な所に支援が届かない、という点では同じです。

私は、観光業などの需要を増やす事は難しいと考えていますが、観光業などが倒産しないような資金繰りの支援は十分可能だと考えています。とにかく今は、彼らの倒産や解雇を防止して、新型コロナ騒ぎが収まった時に彼らが再び稼げるような設備などを温存しておく事が大事です。倒産してしまえば設備機械がスクラップされてしまったり、企業のノウハウが散逸してしまったりして、あとから再び稼げる体制を作り直す事が大変難しくなってしまいますから。

持続化給付金といったものが配られていますが、あれは全員に10万円より遥かに優れた政策ですので、是非充実させて欲しいと思います。

ただ、不正に受け取る輩がいるという噂も耳にしますし、手続きが面倒で給付に時間がかかるという話も聞きますので、そのあたりを上手にやれると良いでしょうね。

不正受給を防ぐためには、たとえば昨年度の納税申告書と今年度の納税申告書を見比べて、収入が減っている分の何割かを政府が支援する、といった事が考えられますね。もっとも、それだと今すぐに資金繰り倒産しそうな会社にとっては給付のタイミングが遅くなりすぎます。

そこで私が提案したいのは、納税期限の延期です。個人も法人も、全員に対して税金の支払いを1年待つのです。減税ではないので、来年に2年分の税金を払うという事になります。その間、資金繰りに困っている人は助かります。政府は、今年はいるはずの税金が来年入るわけですから、1年間は借金をしましょう。金利ゼロの1年国債を出せば良いだけの話です。

そして、1年後に今年分と来年分の納税申告書を提出する際、昨年分の納税申告書と照らし合わせて、収入が減っている場合には持続化給付金を支払うか、持続化給付金の金額だけ減税してやる、という事にすれば良いわけです。

この方式であれば、誰も何の手間もかけずに全員に資金繰り支援をすることができます。加えて「昨年の所得が多かったので所得が激減しました」、という嘘をつくことが出来ません。すばらしいアイデアだと思うのですが。

今日のまとめです。消費税を減税しても、本当に新型コロナ不況で困っている人を助ける事は出来ません。しかも、減税前の買い控えや減税後の反動増などが起きますので、不況対策として消費税を減税する事には賛成できません。

分野: 景気予測 |スピーカー: 塚崎公義

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