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今の株高はバブルなのか

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

20/09/22

今日は、「今の株価はバブルなのか」というお話です。

景気が悪いのに、株価が高いです。アメリカでは様々な平均株価が史上最高値を更新していますし、日本でもリーマン・ショック後の最高値に近づいています。景気は非常に悪いわけですが、株価だけ好調なのはおかしな話です。

前回お話ししましたが、株価は「美人投票」ですから、人々が「株価は上がる」と思えば皆が買い注文を出すため、実際に株があがるわけです。それが行きすぎるとバブルになるわけですが、今回はそうなっているのかということを考えます。

さて、「バブル」というと皆さんが思い浮かべるのは、株価が高すぎることを知りながらも、強欲な愚か者たちが「明日はもっと上がるだろう」と考えて、マネーゲームを繰り広げている場面ではないでしょうか。

しかし、それは昔のバブルです。最近では、皆がバブルだと思っているものは政府等が潰してしまうためそれほど大きくなりません。

最近のバブルは、皆がバブルだと思っていない間に大きくなっていくため、政府等が潰すことができません。
かつて米国の連銀議長だったグリーンスパンという人(日本でいう日銀総裁的立場の人)が、「どうしてバブルを早めに潰さなかったのか」と聞かれて、「バブルか否かはバブルが崩壊してはじめてわかる」と言ったのは有名な話です。

「これはバブルだから早く潰さなければいけない」という証拠を示さないと、「バブルかも知れないから潰します」というだけでは投資家たちが納得しないわけです。

というわけで、今はバブルかも知れないし、バブルではないかも知れません。グリーンスパン議長がわからないというものを私が断言することはできませんが、私なりにバブルかどうか考えてみます。

過去のバブルの共通点を考えてみると、以下の4つの事が思い当たります。

①「今回は違う」という人が登場する
②金融が緩和されている
③初心者が大量に参加する
④部外者が醒めている

①「今回は違う」という人が登場する
「株価が高すぎる。バブルかも知れない」と考える人が出てきますが、「今回は今までと違うから、これはバブルではない」という人も出てくるわけです。平成バブルの時には「日本経済は素晴らしい。米国に勝ったのだから、21世紀は日本の時代だ。株価が高いのは当然だ」と言われていたわけです。

しかし、今は特に特別なことが起きているわけではありません。「金融緩和が続きそうだから、景気は悪いけれども株価は下がらないだろう」という理由で株価が高いわけですから、少しいつものバブルとは異なります。

②金融が緩和されている
通常バブルの時には景気が良いので、インフレ懸念から日銀が金融を引き締めます。そうするとバブルも自然としぼんでしまうのが普通です。しかし、たとえば平成バブルの時には円高で輸入物価が下がっていたことから、インフレにならず、日銀が金融を引き締めませんでした。そのためバブルがあそこまで大きくなれたのです。

今回はというと、「景気が良いのに金融が緩和されている」ということではありません。景気が悪いから金融が緩和されているわけです。ということは、やはりいつものバブルとは異なります。

③初心者が大量に参加する
今まで株式投資などに全く興味を持っていなかった人々が大挙して株式市場に押し寄せてくるわけです。平成バブルの時には偶然ですがNTT株で儲けた初心者が多く、それを見た多くの初心者が自分でも儲けられると考えて株式投資を始めたわけですね。

今回、日本ではあまりそうした動きは目立ちませんが、米国では若者の間で「ロビンフッド」というスマホの無料ソフトを使って株式投資を始めることが流行っているとも聞きます。こうした資金が一部ハイテク企業の株に流れ込んでいるとすると、バブルの匂いが漂っているわけです。

④部外者が醒めている
平成バブルの時には、海外では日本の不動産価格や株価について醒めた見方をしていたようです。今回も、株式投資をしている人は盛り上がっていますが、そうでない人は醒めた見方をしている人が多いようです。もしかすると当事者だけが酔って踊っているパーティーが行われているのかも知れません。

以上を総合的に判断すると、「バブルの匂いはするけれど、バブルか否かはよくわからない」ということになります。バブルだとすると、生活資金を株式投資に注ぎ込むのは極めて危険ですから、是非とも避けましょう。もちろん、従来から続けている積立投資をそのまま継続することは構いませんし、積立投資は何があっても途中でやめるべきではありません。

仮にバブルだとしても、小遣いの範囲で賭け事を楽しむのであれば、構わないと思います。むしろ、賭け事を楽しむにはスリリングで楽しい時期かも知れません。ただ、あくまでもハイリスク・ハイリターンだということをしっかり理解した上で、自己責任で小遣いの範囲で遊ぶようにしてください。

では、今日のまとめです。
今の株価はバブルかも知れません。小遣いで賭け事を楽しむには面白い局面かも知れませんが、大事な生活資金等を注ぎ込むのは危険です。

分野: 景気予測 |スピーカー: 塚崎公義

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