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ビジネス環境の急激な変化②

星野裕志 国際経営、国際物流

20/07/14

昨日は、ビジネス環境としての脅威と機会について、お話しました。今回のコロナウイルスという多くの企業にとって脅威と捉えられる中でも、その逆風を正面から受けることなく、なんらかの創意工夫で機会に変えようという動きもあります。脅威と機会は表裏一体であり、ぜひ脅威を機会に変えていただければということでした。

ウイルスの蔓延という意味では、コロナウイルス以前にも、2002年~2003年に重症急性呼吸器症候群というSARSや、2012年ごろからの中東呼吸器症候群のMERSもありましたし、世界規模の金融危機を引き起こしたリーマンショックもありました。これらは世界のビジネスに大きな影響を与えましたが、今日お話したいのは、企業のグローバル展開の脅威となるボーダーレス化とその逆行という話です。

この10年間にも様々なビジネスの足かせになるようなことが、世界で起きてきました。一方で、1989年にベルリンの壁の崩壊、1991年のソビエト連邦の崩壊による共産圏の解体、1992年のE Uの統合と、いわゆるボーダーレス化が進められた結果、人の交流、貿易、投資が着実に加速してきたわけです。

従来は、それぞれの国が、国境=ボーダーで厳しく隔てられていたのが、相互に自由に往来したり、E Uのように同じ地域圏の中であれば教育や労働や居住に関しても、かなりの自由が認められるようになってきました。ボーダーレス化の進展です。これはビジネスにとっても好都合と言えます。

E Uの中では、他の国に行くのにパスポートも不要です。ヨーロッパの空港で表示を目にしますが、シェンゲン協定という条約で、ヨーロッパの国家間においては、検査を受けることなく国境を越えることが認められているようです。既にヨーロッパの20数か国では、国境の検問所も撤廃されているようですから、まさにボーダーレスですね。

ところが、そのようなボーダーレスの人的交流であり、投資や貿易といったボーダーレス・エコノミーに逆行する動きが、近年続々と生じてきています。最近ニュースなどで、改めて国と国、国境ということを意識することが少なくありません。例えば大国の覇権主義がそのひとつです。米国のトランプ大統領は、America 1stという考えを強く持っていて、大統領就任前からメキシコとの国境に高い壁を築くと言われていました。カナダ、米国、メキシコの三国は、NAFTA北米自由貿易協定が締結されて、貿易の促進が期待されていたはずなのに、再び国境を意識することになったわけです。

中国も同じく、1国2制度を認めてきたはずの香港への影響力を強めようとしていますし、台湾に対しても、西太平洋においても、権益が強く主張されています。2つの世界大戦の悲劇の経験から、ようやくひとつの地域としてまとまったEUから、BREXITとして英国が離脱してしまいました。関係の緩和が期待された北朝鮮と韓国、そして韓国と日本の関係を見ても、ボーダーレスどころか、ボーダーを強く意識せざるを得ないのは、本当に悲しいことです。

世界で共通認識を持つということが、国の単位で考えるという方向に戻り始めたということだと思います。今回のコロナウイルスが蔓延する前には、国連の提唱するSDGs=持続可能な開発目標に向けて、どのように連携するのかということが、様々なニュースはセミナーでも取り上げられていました。企業では対応策を考えながら、ジャケットにカラフルなSDGsのバッチを付けている人がたくさん見られましたよね。

つまりグローバルな視野で考えるという動きが、今回のコロナウイルスの中で、急速に自国中心に考えて、海外に対して国境を閉ざすという視点に変わってしまいました。北欧のスウエーデンとデンマークという最も平和な隣国同士でも、入国が厳しく制限されています。

今回のコロナウイルスで、海外が本当に遠くなってしまいましたし、やはり国境は厳然と存在するのだなと思い知らされる気がします。コロナウイルスはいつか終息していくのかと思いますが、人の意識は元に戻るのでしょうか。人の交流、貿易、投資、企業のグローバルなビジネスのどれもが、再び高い国境で隔てられないことを祈っています。

今日のまとめです。様々な経験を経て、世界がボーダーレス化の方向に向かっていたにも関わらず、最近は急速にそれに逆行する動きが見られます。今回のコロナウイルスの世界的な蔓延も、国の単位で対応策が考えられており、人の意識が国境を強く意識するようになることを危惧しています。

分野: 国際ロジスティクス 国際経営 |スピーカー: 星野裕志

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