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ビジネス環境の急激な変化①

星野裕志 国際経営、国際物流

20/07/13

国内のコロナウイルスの感染者数も、ここのところようやく減少してきて、ほっとしています。言うまでもなく、ビジネス環境は最近急激に変化していますが、このことについて「脅威と機会」と言うキーワードで、お話をしたいと思います。

「脅威と機会」と言うのは、企業にとっての脅威であり、機会にもなるということです。脅威というのは、企業が事業をする上での向かい風=逆風ということですし、機会とは事業の後押しをしてくれる追い風に例えることができると思います。自分で風向きを変えることはできませんので、まさにビジネスを行う上での外的要因である環境と言えます。

そういう意味では、コロナウイルスなどは、まさに大変な逆風=脅威と言えます。確かに外食産業などのサービス産業をはじめとして、外出の自粛や在宅勤務などで、存亡の瀬戸際に立たされている企業は少なくないと思いますが、それはすべての産業や企業に当てはまることでしょうか?

お子さんの学校が休校になり、親が自宅で勤務をするといった自宅中心の生活が続くと、今まで考えなかったような思わぬニーズが出て来ているように思います。自分自身の例でも、ほとんど毎日のように自宅にはアマゾンで注文した商品が届きます。例えば、自宅で仕事をするためのプリンターのインクやコピーペーパー、プロジェクターの電球や快適にZOOMで講義をするためのヘッドフォンと言った事務用品から、なかなか買いに行けないミネラルウォーターや日用品などの様々な商品です。

そのように考えると、このような時期だからこそ、通販関係もそうですが、商品を届ける配送関係の業界には、大きな需要があるということになります。それだけではなく、自宅にいると仕事のためのパソコンのアプリや、自宅で楽しむためのデジタルコンテンツなどの売り上げが伸びているようですし、新しい生活様式の中で自転車の需要も高まっているという報道もありました。

誰にとっても脅威ではなく、これを機会として成長している企業もあるということです。そのように考えると、おそらく誰でも思い浮かべるのは、ZOOMという企業ではないかと思います。九州大学のビジネススクールでは、感染のリスクを避けるために、教室で授業を行わず、8月中旬までの前期はZOOMという遠隔の会議システムを使って講義をしています。この米国の企業の2021年の第一四半期の売り上げは、前年同期比で169パーセントの増加との発表が先日ありました。第一四半期とは、今年の2月から4月のことですから、その後世界中の多くの学校や企業が、本格的に在宅に移行したことを考えると、次の四半期の業績ははるかに大きな伸びになるのではないかと思います。

このZOOMというシステムを販売するZoomビデオコミュニケーションズという会社は、2013年にシリコンバレーでサービスを開始して7年目のようですが、今まで遠隔会議と言えばSKYPEなどが一般的でしたが、現在は完全に抜き去ってさらに利用者数を伸ばしているようです。まさに今回のコロナウイルスが大きな成長のきっかけ=機会になっているということになります。

「この世に生き残る生き物は、最も力の強いものではなく、変化に対応できる生き物だ」という言葉は、進化論で知られるチャールズ・ダーウインが唱えたものとして、広く知られています。これは本人の言葉ではなく、別の人が進化論を解釈したのが真相のようです。

ただ、今回のコロナウイルスという多くのビジネスにとって脅威と捉えられる中でも、その逆風を正面から受けることなく、なんらかの創意工夫で機会に変えようという企業もあります。まさに変化に対応して、ビジネスの形態や商品・サービスの提供の方法を変えるということです。

お店を開けられない飲食店が店頭でお弁当を販売したり、Uber Eatsのデリバリー を街で頻繁に見かけますが、これも良い例だと思いますし、制約の多い生活を余儀なくされているからこそ、そのような不便さや痛みに対応した新しいビジネスに機会があると思うのです。

まだまだウイルスのワクチンや特効薬が開発されるまでは、完全に終息することはないでしょうし、程度の差はあっても、行動の制約は続くと思います。ぜひ安全・安心の商品やサービスを届ける工夫が、新たなビジネスに結びつくことを期待しています。

今日のまとめです。今日は、企業がビジネスをする上での外的環境について、事業にとっての逆風である脅威と後押しをしてくれる追い風である機会についてお話をしました。吹いている風の向きを変えることはできませんが、その風を避けることや、うまく取り込むことはできるかもしれません。脅威と機会は表裏一体であり、ぜひ脅威を機会に変えていただければと思います。

分野: 国際ロジスティクス 国際経営 |スピーカー: 星野裕志

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