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モノづくりからコトづくり(その1)

高田 仁 産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ

20/06/08

【今回のまとめ】
かつて「シリコンアイランド」と呼ばれた九州に集積立地する半導体・エレクトロニクス産業を、従来型のモノづくりから脱却させ、より付加価値の高いコトづくりを主体的に担えるように支援する活動が活発化している。

近年、製造業の分野でも「モノづくりからコトづくりへ」という言葉が普及している。これまで日本の製造業が強みとしていた「モノづくり」の力だけでは競争に勝てない、という問題意識に端を発している。最近は、価値の源泉がモノ自体の付加価値から、モノが生み出すユーザーの使用感や経験価値(=コト)にシフトしている。

今回は、この「モノづくりからコトづくり」へとシフトしようとする九州の半導体業界の団体(SIIQ;九州半導体・エレクトロニクスイノベーション協議会)の取り組みを紹介したい。
九州には、1970年頃から半導体・エレクトロニクス産業の集積が進み、「シリコンアイランド」とも称され、一時期は、日本全体の半導体出荷額の30%を超える規模の産業が集積していた。しかしながら、台湾や中国などアジア他国に製造拠点がシフトしたことや、「シリコンサイクル」と呼ばれる受注変動の大波の影響を受けやすい特徴もあり、産業としての競争力の向上策が求められてきた。
そこで、2019年にSIIQと九州経済産業局が連携し、「モノづくりからコトづくりへ」というコンセプトで半導体・エレクトロニクス産業の高付加価値化を目標にワーキンググループを立ち上げて検討を行った。その検討過程で事例調査を行った結果、以下の7つの特徴がコトづくり企業に共通的に見られることが明らかになった。

(1) コア・コンピタンスの明確
長年のモノづくりで培った他社には簡単にはマネのできないコア技術を再確認し、その強みを生かす。
(2) 徹底した現場主義
モノづくり企業は、最終的なエンドユーザーまで含めた潜在ニーズを把握するために、現場に入り込んでユーザーと直接接したり、ユーザーの様子を観察する。
(3) 顧客価値の最大化のためのビジネスモデル構築
自社製品をプッシュするだけではなく、顧客価値・効果を向上させるために、顧客中心のビジネスモデルに変換させる。
(4) ソリューションビジネス展開によるバリューチェーン構築
保守メンテナンス等も含めたバリューチェーンを構築し、収益安定化を図る。
※ソリューションビジネス:ユーザーが求めているもの(抱えている問題)を総合的に見て解決する観点※バリューチェーン:様々なバリュー(材料、製造プロセス、マーケティング、流通、アフターサービス   など)をぶつ切りにするのではなく、全体を自社が管理すること。
(5)デジタルツールの活用
IoTやAIなどのデジタル技術の活用によるコンサルティング(サービス化)によって付加価値の向上を図る。顧客がそのサービスを使えば使うほどデータが蓄積され、そのデータを有効に活用してより良い提案につながるとともに、製品の売り切りではない顧客との長期関係を築く。
(6) 他社との連携
自社にない技術やノウハウは、他社や大学等と連携して速やかに補完する。
(7) 部門横断的な組織開発・人材育成
経営者がリーダーシップを発揮し、部門に分散した機能を統合して一緒に仕事をやらせたり、部門間で発生する利害の調整や融合を積極的に図る。

上記の要素をいかにして経営に織り込むかが、企業のコトづくりの力を向上させるカギを握るのである。

分野: 産学連携 |スピーカー: 高田 仁

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