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人を育てる問いとは?①教師からの言葉

廣瀬 聡 企業家リーダーシップ

20/06/04

これから4回に渡り、「人を育てる問い」というテーマでお話ししていきます。
様々な問いかけがあると思いますが、自分が成長したと感じる大切な問いや私自身が教員としてリーダーを育てるために用いている問いをテーマにお話をします。

今日は、私自身が受けた言葉についてのお話です。皆さんは、子ども時代に先生にかけられた言葉で一番印象に残っている言葉は何ですか。

私は、遡ること50年前になりますが、私が6歳の時にロンドンの学校で先生に掛けられた言葉が今なおすごく記憶に残っています。第二次大戦が終わって25年程経った1970年のことですが、私は現地の必ずしも恵まれている方ではない地域の現地の学校に通っていました。毎週月曜日には必ず全員が出てきて、一人一人がクラスの前で週末何をしたのかということをお話する決まりがありました。私にも順番が回ってきて、「メアリー、トムと同じで、週末は家族と一緒に遊びました」という形で切り上げようとしました。すると、先生から非常に厳しく怒られました。
「サトシ、あなた自身が自分自身のことをはっきり語り、自分は他の人と何が違うのか、どこがユニークなのか、これを伝えない限り、あなたは周りに存在を認められませんよ。だって誰一人として同じ人がいないのだから、だからこそあなたは他の人との違いをちゃんと語りなさい」と厳しく言われたのです。

当時、クラス30人の中で私が唯一のアジア人で、他にアフリカ系の方が一人だけでした。実は、正直に言うと露骨に差別を受けていました。周りの人達も決して恵まれた子ども達ではなく、ポーランドやアイルランド系の移民が多い学校でしたが、先生からはっきり言われたことは、「自分が認められなければ結果的に差別だとか虐げられるということは乗り越えられないし、そのためにも自分が他の人と何が違うのか、どこがユニークなのか、存在価値ってどういうところにあるのか、これを語り続けなければならない」ということでした。この後に先生が「日本はとても技術が優れている国だから、もしカリキュレーター(計算機)があったら持ってきなさい。この日本製のカリキュレーターがどれだけ優れているかをあなたが話してご覧なさい」と言われて、確かシャープの電卓を学校に持って行って説明したら、皆が「日本ってすごい国なんだな」と言ってそこから一気に自分に対する見方が変わったという経験をしました。

実はこれはとても大切なことです。日本ではある意味お互いを認め合うというのが所与の前提です。しかし、多様性のある環境の中でいうと、この点では自分がどう他の人と違っていて貢献できるのか、価値があるのかということを伝えなければ、結果的には受け入れてもらえないということを、たった6歳の子どもに対して、この一つの問いで先生は私に気付かせてくれました。

ただ事後談があり、私はその結果いろいろな場で積極的に自己主張するようになり、とてもイギリス・ロンドンの文化に馴染んでいきます。その後日本に帰国すると、今度は「自分のことを言い過ぎるな」と逆に邪魔者扱いされる、いじめられる経験をして、子どもなりに環境によって過ごし方や生き方、振る舞い方を変えていくことが大切だということを様々な環境の中で自分なりに学ぶことが出来ました。

私はそうやってロンドン、そして日本とそれぞれの経験の中で振舞い方を学んできましたが、日本の中にいると、どうしても皆と同じが良いという雰囲気があり、なかなか自分の存在をきちんと発信しようということが積極的になされていないように感じます。

ですから、これから日本の中だけで生きていくのであれば、これで全然いいのだと思います。ただ、これから様々な国の中で自分自身を見せていかなければいけないことの多いビジネスの世界では、日本という国自身が積極的に自分達のユニークさであり、自分達の素晴らしさを伝えていくことによって、より広い仲間が生まれ、それによって自分自身の道も広がっていきます。私にとってこの6歳の時の言葉が結果的に自分の人生を大きく変え、それがあったから今の自分があるという点でいうと、先生という仕事は大切だなあ、あの先生は偉いなあ、と私自身は今振り返って思います。

では、今日のまとめです。
自分自身がどう違うのか、どうユニークなのか、そういう問いを立てることが人生を変えます。それくらい「問い」というものは人の人生に大きな影響を与えます。皆さんが相対される方々に対し、良い問いを提供することによって、自分自身だけでなく、相手をも変えていけるようになるといいのではないでしょうか。

分野: 企業家リーダーシップ |スピーカー: 廣瀬 聡

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