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映画と文化(1):映画の授業

鈴木右文 英文法理論、コンピュータによる英語教育

20/04/23

イギリスの歴史が一段落しましたので、新しいシリーズをしたいと思います。QBSでは異文化コミュニケーションを担当していますので、「映画と文化」というタイトルでシリーズを重ねていきたいと思います。

1回について1本とりあげていきたいと思いますが、なぜこういうシリーズを始めようと思ったのか、私と映画との関わりを2回ほどイントロで話をしたいと思いますので、具体的な作品は少し後からということになります。私は非常に多趣味といいますか、それぞれ底が浅いのですが映画も大分見ていますので、そこから何かできないかなと考えています。

私自身は実は昔から映画が大好きだったというわけではなく、大学院生の頃にふと一般の就職コースから外れ、自分を見つめ直した時に、「そういえば今まで映画なんてまったく見たことがなかったな」と思って、ちょっと借りてきて見た映画がきっかけになり、「ああこんなの見逃して、俺の人生終わったらいかんよな」と思い、それであわててその当時ほとんど見ていなかった黒澤明とか小津安二郎とか、そういったクラシックの名作中の名作を片っ端から見始め、それが止まらなくなってしまいました。そういった凝り性が突然爆発したことから始まったというのが、私のきっかけでした。今後その世界や日本の秀作を中心に見ていきたいと思っています。その中に色々な文化と関係した話が出来ればと思っています。

そのきっかけを作ってくれたのが、大林宣彦さんの作品で、1980年代の尾道を舞台にした尾道三部作というシリーズがあり、これを懐かしいと思う方は相当のご年齢だと思いますが、当時この映画をみて尾道を訪れた若い人たちが何十万人もいたというくらいブームになりました。「ああここで映画が撮られたんだ」というロケ地巡りという文化がこの当時始まり、私もご多分に漏れずそれに乗っかって、全ての映画の全てのシーンがどこで撮られたか、という研究を始めてしまい、本を1冊書いてしまったという、わけのわからないことをやりました。そういうことから始まっているので、映画と私との関わりは非常に特殊で、選ぶ作品もコメントもちょっと外れたようなものが多いかもしれませんが、どうぞおつきあい下さいということです。

実は今、九州大学で基幹教育という一般教育の授業の枠の中で、「映画の世界」という授業をやっています。これはだいぶ前に始まり、もう十数年にわたって行っている講義ですが、私自身が映画をあまり知らなかったという反省があり、学生さんに当時お茶のみ話で、「黒澤明の作品について」ということで少し話そうとしたら、「黒澤明って誰ですか?」と言われたことがあり、ショックを覚えて、日本に生まれて黒澤明を知らずに人生を終わるのか、という思いがあり、映画を研究者として研究したわけじゃないけれども、ノルマとしての授業数以外に、ボランティアでもいいから日本の映画の秀作を紹介するような授業をやらないとこれは大変な事になるぞと思いました。

今でこそ映画はかなりブームになっていますが、当時はかなり斜陽だったので、なんとかもり立てたいと思って始めたのです。今はありがたいことに福岡アジア映画祭をされているオフィス・ヌーヴェルバーグの映画評論家・前田秀一郎さんも時々授業に出ていただいていますし、「半落ち」で有名な佐々部清さんという映画監督をお呼びして授業をしたこともあります。知っている人が見れば「結構役に立つことをやっているね」と言ってくれるかもしれませんが、学生さんは佐々部さんも初めてだし、前田さんも知らないし、黒澤明さんを知らない人も結構いたわけなので、ポカンとしてはいましたが、良いことをやっているつもりではいます。

ただ、黒澤明監督を知っている人は多いのですが、小津安二郎というと、名前は聞いたことがあっても、全く作品が頭に浮かばないという人が多いですが、どうでしょうか。黒澤明と小津安二郎は作風はまったく違い、どちらかというと小津安二郎は芸術系と言われる部類だと思います。いずれにしてもそういった教科書に出てくるような秀作が見られる事が少ないのはもったいないのですが、実は日本の映画は大昔から文化としては外れ者扱いでした。例えば社会の教科書には小説や絵画はたくさん出てきますが、映画は出てきません。最近は昔に比べれば少しはマシになりましたが、昔は大正時代に映画が盛んになったという一行だけでした。最近は少し違っていますが、そういう国です。それから昔のデータなので今は少し違うかもしれませんが、国民1人当りの文化予算が欧米と比べて桁が一つ違います。芸術だけで桁が一つ違うところにもってきて、私が授業を始めた当初は、本当に映画にかける日本の国家予算が数千万円でした。その時代を知っているので、これじゃ日本映画は育たないよ、と思いました。だから最近少しそれが改善されてきているのが、すごくありがたいと思っています。そういったことで今後少し、古い映画が多いかもしれませんが、紹介していきたいと思います。

今日のまとめ:
今後始める「映画と文化」のシリーズの第一回目として、なぜこのシリーズを始めようとしたか、そして私と映画との関わりについて紹介しました。次回もこの続きを少しいたします。

分野: 異文化コミュニケーション |スピーカー: 鈴木右文

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