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マネジメント・コントロール

平松拓 企業財務管理、国際金融

20/04/21

前回は私がビジネス・スクールで担当している科目、ファイナンシャル・マネジメントについて、その目的やコースの概要をお話しました。今回は、もう一つの担当科目であるマネジメント・コントロールについてお話をしたいと思います。

組織の構成員は基本的にそれぞれが個々に目標を持っており、それぞれの目標の達成の為に、付与された権限に基づく意思決定を行うことになります。マネジメント・コントロールは、この個人の目標のための意思決定が組織の戦略遂行に繋がるように、動機付けや働きかけを行う仕組みのことで、ビジネス・スクールのマネジメント・コントロールのコースでも、そのための仕組作りやプロセスを学んでもらいます。小規模の組織ならトップが社内の重要事項の意思決定全てを自ら行うことも可能ですが、組織の規模が大きくなるとそうはいきません。マネジメント・コントロールでは、そのように部下のマネージャー等に意思決定を委ねざるを得ないような規模の組織を念頭に置いています。

実際の講義ではまず、マネジメント・コントロールとは、というところから始めて、マネジメント・コントロールのメカニズムの土台となる企業の目的や戦略について確認します。その上で、組織の形態のあり方や組織の中のサブユニット・部門の性格に応じた目標や責任の与え方を学びます。戦略が異なれば、それを遂行するのに適した組織形態のあり方も異なります。同時に、組織形態が異なれば、そこに構築するべきメカニズムも自ずと異なってきます。簡単な例を挙げると、変化がそれほど激しくない産業分野において高度な技術によって差別化を図ろうという製造業の企業の場合は、機能別の組織形態が用いられることが多いのに対し、変化の激しい市場で事業を行う企業や価格競争力で対抗しようとする企業の場合は商品毎の事業部制的な組織が用いられることが多くなります。

技術で差別化を図ろうという機能別組織を採用する企業では、技術を管掌する開発部門や生産部門が末端から上の方まで一貫した指示系統となりますが、そちらの方が幹部との間で専門的な知識に基づいたコミュニケーションが活発に行われ、尖った技術も生まれやすくなります。それに対して、変化の激しい市場をフィールドとする場合や、価格競争力で他社と競合するような場合には、マーケットの状況に応じて各機能間で臨機応変に連携して対応することが求められます。そうした場合、機能別の組織では迅速な対応が難しく、商品別の部門内で迅速に意思決定ができるような組織形態が選ばれる訳です。また、企業組織の中で独立採算的な部門(プロフィットセンター)の長に与えられる経営目標と、コスト削減を大きな使命とされる機能的部門、製造部門の長に与えられる目標とでは異なってきます。

さらに、基本的なツールである戦略的計画と予算の立て方、それらの進捗管理と実績評価、修正活動や報償システムを学ぶことを通して、戦略がより確実な遂行されるプロセスを学びます。重要なのは、戦略に沿った計画を策定して、それを実行するだけでは不十分なことで、実行状況を適宜チェックし、基準と対比してずれが発生していれば修正活動を行い、修正不能な程のずれが生じるようであれば、計画や予算の見直も含めて検討することです。PDCAサイクルという言葉を聞かれたことがあると思いますが、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)という戦略実行プロセスのサイクルを回すことで目標達成の確度が高まることになります。

リーダーシップと並んで、マネジメント・コントロールは経営者が戦略遂行の担い手であるマネージャーや従業員に働きかける重要な要素です。しかし、学問的にそれが体系化されて組織で実際に活用されているアメリカ企業に比べると、日本企業の場合はもともと従業員の多くが組織に対するロイヤルティの高い従業員、所謂会社人間で構成されており、個人の目的と企業の目的がそもそも近かったこともあって、マネジメント・コントロールはこれまであまり重視されてきませんでした。せいぜい成果主義とか業績反映給与がごく断片的、形式的に採用される程度に留まってきました。しかし、日本の雇用システムに大きな変化が訪れようとしている中で、企業の対応も変化していくことが考えられます。

私のマネジメント・コントロールのコースには例年1/3~1/4程度、アジアのビジネス・スクールからの交換留学生が含まれています。彼らはそれぞれの母国で働いた経験を持ち、日本人の学生と違ってマネジメント・コントロールの考え方にも馴染んでいます。こうした異なる背景や経験を持った留学生と共に学べるのも、コースの特徴と言えると思います。

今日のまとめです。マネジメント・コントロールは戦略遂行を確実にするための管理手法ですが、グローバル化するビジネスや変化が予想される日本の雇用システムの下で、今後重要性が増してくることが考えられます。

分野: ファイナンシャルマネジメント |スピーカー: 平松拓

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