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距離を保つこと(新型ウイルス感染対策から学ぶこと)

三上聡美 産業組織心理学、社会心理学

20/04/28

今日は、「距離を保つこと」についてお話をしたいと思います。
新型コロナウイルス感染対策として「外出自粛要請」があり、なるべく人との接触を避けて距離を保つということに気を付けていらっしゃるかと思います。アメリカ心理学会の公式ウェブサイトには、新型コロナウイルス対策についての研究者のアドバイスが掲載されています。それを翻訳したものが日本心理学会の公式ウェブサイトに紹介されているので、今日はその中でも「距離を保つこと」について掲載された内容をご紹介します。

感染予防として距離を保つことも大事なことではありますが、長い時間家の中で過ごすことで社会的な繋りが無くなってしまうとメンタルヘルスに悪影響を及ぼす可能性があります。こういった時期は、当然ストレスが貯まりやすくなります。

メンタルヘルスに悪影響を及ぼすこととして、まずは「不安」と「恐怖」があります。「自分や身近な人達がコロナウイルスに感染してしまったらどうしよう」とか、「食料や生活用品がちゃんと手に入るだろうか」といったような不安も出てきます。イレギュラーなことに対処をしていかなくてはいけないため、不安や恐怖があるのは当たり前のことです。この「不安や恐怖があるのは当たり前」ということを認識することが大切です。自分だけが不安を感じていたり恐怖を感じていたりするのではないということです。しかし、この不安が大きくなりすぎてしまうと眠れなくなったり、日々やるべきことをきちんと出来なくなったりといった支障が出てくることもあります。

次に「抑鬱」と「倦怠」になります。仕事や勉強などその人にとって意義のある活動が中断されると、日常のルーチンが妨害されてしまい悲しい気持ちになったり、落ち込みを感じたりすることがあります。家で過ごす時間が長くなると、外の状況が分からなくなるため、「倦怠感」や「孤独」を感じることもあります。

3つ目に「フラストレーション」や「イライラ」になります。家の中だけの制限になってしまうと自由が失われたと感じて、人はフラストレーションを感じます。時には、検疫や隔離命令を出した人々やその他の人達に「怒り」や「憤り」を感じることもあります。

4つ目が「スティグマ」です。「スティグマ」とは、差別や偏見の対象となることです。例えば、新型コロナウイルスに感染したり、感染者と接触したりしたことがあれば、感染を恐れる他の人達から自分が汚いもののように扱われていると感じるかもしれません。

5つ目が「社会的弱者」です。元々メンタルヘルスの問題を抱えている人や、新型コロナウイルスへの対応に関わっている医療従事者は、隔離状況から精神的苦痛を受けやすいです。こうした状況が少なからず生じてしまうことで、コロナ疲れになっている人もいるかもしれません。

みなさんはコロナ疲れの症状はありますか。
「症状が出なくても感染していることもある」とか、「自分が人にうつすのはないか」という恐れだなどから、外出自粛というのももちろんですが、自ら積極的に外に出たくないと思う方もいらっしゃるかもしれません。

では、こうしたメンタルヘルスの悪影響にどう対処していけば良いのでしょうか。
本来ならば事前に計画を立てて準備していけたらいいのですが、突然やってくるものに前準備はなかなか出来ないと思いますので、距離を保ちながら出来ることをやっていくことが大事ではないかと思います。まずは「信頼できる情報」を獲得してみましょう。色んな情報を取り入れ過ぎるとかえって不安や恐怖が増えてしまいます。情報を入手する時間と、そうでない時間とのバランスを共有してみましょう。信頼出来る情報源について自分で整理して情報を得つつ、情報を入れない時間を作るなどしてバランスをとってみましょう。必要な情報や最新の情報を知りたいと思ってニュースを見続けていると、返ってメンタルが参ってしまうということもあります。特に今は何でも情報が入る時代ですから、どれが正しいか正確な情報の入手も難しいです。まずは、情報を整理していきましょう。

次は、「日々のルーチンを作りそれを守る」ことが大切です。慣れない状況でも普段のルーチンを維持する事は大人も子供も生活における秩序や目標意識を維持するのに役立つそうです。

3つ目は、「他者とのバーチャルな繋がりを保つ」です。電話やビデオチャット、ソーシャルメディアを使ってやり取りをしてみましょう。芸能人やスポーツ選手が「一緒に音楽を楽しもう」とか、「家の中で出来るトレーニング方法」等をSNSなどで紹介していましたけれども、そういうものに触れることは社会的つながりの維持に繋がります。そういったものに触れることで孤独感は軽減されていくかもしれません。

4つ目は「健康的なライフスタイルを維持しよう」です。十分な睡眠、食事、(運動が出来る体調であれば)自宅で運動をしてみましょう。「出来ることを取り入れる」という気持ちが大事です。

最後に、「ストレスを管理して、前向きでいるために心理的方略を使おう」です。自分が何を心配しているのか、それに対して自分が出来ることを考えてみましょう。出来ないことは出来ないことで受け入れることが大事です。感謝日記をつけることもいいそうです。感謝日記は普通の日記ではなく、日々の感謝の気持ちを綴るというものです。今日お話をしたメンタルヘルスの悪影響は、外出自粛などが解けたらな
くなるものではなくて、その後も尾を引いたように続いていくこともあります。なかなか状況が改善されない時は医療機関に相談してみて下さい。心理相談は、電話やネットでも出来る所がありますのでそこに相談してみるのもいいかもしれません。

では、今日のまとめです。
今日は、新型コロナウイルス感染対策から「距離を保つこと」によって起こる症状と対処についてお話をしました。なお、今日ご紹介した内容は日本心理学会の公式ウェブサイトで紹介されている内容を引用・参考にしています。

・日本心理学会 特設ページ 「もしも「距離を保つ」ことを求められたなら:あなた自身の安全のために」
 https://psych.or.jp/special/covid19/Keeping_Your_Distance_to_Stay_Safe_jp/ (4月13日)
・アメリカ心理学会 「Keeping Your Distance to Stay Safe」
 https://www.apa.org/practice/programs/dmhi/research-information/social-distancing (4月13日)

分野: 社会心理学・組織心理学 |スピーカー: 三上聡美

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