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在宅勤務について、心理学者からのアドバイス

三上聡美 産業組織心理学、社会心理学

20/04/27

今日は、「在宅勤務」についてお話します。
今年に入ってからずっと新型コロナウイルス感染予防の対策に取り組んでいらっしゃることと思います。その予防の1つにとして「在宅勤務」のスタイルをとるところが増えたのではないかと思います。

みなさんは在宅勤務の時間はありますか?

以前から在宅勤務をされていた方もいらっしゃるかもしれませんし、今回の新型コロナウイルスの影響で初めて在宅勤務を経験された方もいらっしゃるでしょう。フリーランスの方などは、これまでにも家で調べ事をしたり、原稿を書いたりされていたのではないかと思いますが、在宅勤務を経験して感じた「良かったこと」や「気になること」についてどんな感想をお持ちでしょうか。

在宅勤務の「良かったこと」として、移動時間が減らせることや家のちょっとしたことをしながら仕事が出来るということがあります。その一方で、どうしても家で仕事をしているとメリハリがなくなってしまい、仕事とプライベートの境界線がなくなってしまいがちです。

以前から「在宅ワーク」や「内職」などの言葉があるように、元々自宅でお仕事をされていた方もいらっしゃいますが、今回の感染対策で初めて在宅勤務をすることになった方達は、これまで職場でやっていた仕事を自宅でやらなくてはいけなくなったわけですから、色々と問題や不安が出てきているのではないかと思います。そうした在宅勤務の問題や不安について、今日は心理学の観点からお話をします。

「産業・組織心理学会」という組織の公式ウェブサイトに、新型コロナウイルス対策について研究者のアドバイスがいくつか載せられています。それを日本の心理学の先生方が翻訳して、「日本心理学会」という組織の公式ウェブサイトで紹介しています。今日はそのご紹介です。

アドバイスの1つ目としては、「障害を最小限に抑えること」が大切です。
普段から在宅でお仕事をされている方は既に取り組まれているかもしれませんが、これまで「お仕事は外」、「お家では家族と過ごす」といったようにはっきり分かれていましたが、在宅勤務になった分、オンとオフのメリハリがつかなくなってしまったり、テレビの音や子ども達の声で仕事に集中出来なかったりします。そのため、まずは家中の雑音や活動から離れた仕事場所を選ぶことから始めましょう。

仕事場所が定まったら、次は仕事に集中出来るように家の雑音から精神的に距離を置くようにと言われています。パンデミックに纏わるストレスというのはなかなか集中力を持続させることが出来ません。色んな情報が気になるところではありますが、本を読んだり、お散歩したりして情報を遮断する時間を作り、心身を充電するようにしてみましょう。

産業・組織心理学者であるレンセラー工科大学のゴールデン博士は、家族と話し合ってみんなで静かにする時間(休憩時間)や、どのような場合なら仕事を中断していいかを確認するように勧めています。
また、フロリダ国際大学で経営学の教授であるガジェンドラン博士は、仕事と育児のやりくりをするために、同僚や上司に難しさを伝えたり、出来る限り家族と協力して仕事と育児の時間を調整したりしていくことを提案しています。

2つ目のアドバイスは、「目標と境界を設定すること」です。
仕事や課題をどこまで達成したいのか、毎日の目標を設定すると良いそうです。それに応じて上司と協力して目標を設定したり、同僚や家族と目標を共有してみたりするといいかもしれません。いくつかの研究によると、テレワークの人は職場で働く人に比べてより多くの時間働き、その結果、家庭と仕事との境界が曖昧になる傾向があるそうです。ガゼンドラン博士は、仕事をしている場合、仕事を始める時間と終わる時間が決まっていますが、テレワークでも同じような境界とルーチンを用意することが大事だと指摘しています。つまり、仕事をする場合には、それが自宅であろうが職場であろうが同じスケジュールで行うことが大切だということです。毎日同じスケジュールを守り、出来る限り就業時間が終わったらメールのチェックをしないなど、メリハリをつけるようにしていきましょう。

3つ目のアドバイスは、「コミュニケーションプランを立てる」です。
上司や同僚達と仕事の進捗予想や発生した問題を積極的に伝え合うべきです。例えば、インターネットの接続状況や携帯電話の電波が悪いなど、仕事環境が原因で仕事に問題が生じた時には、そのことをしっかりと上司に伝えていくということです。仕事の情報共有にはメールでのやり取りは最適かもしれませんが、複雑なものについてなどは電話やビデオ会議で話し合うようにアドバイスされています。

最後は、「社会的な繋がりを求める」です。
家で仕事をするというのは、職場で働く従業員に比べて社会的にも仕事上でも孤独を感じやすい傾向にあります。ゴールデン博士は、テレワークを成功させるためには、他の同僚や上司、顧客との繋がりを維持することが重要だと指摘しています。また、在宅勤務をしているとまるで自分は無人島で仕事をしているかのように感じやすいため、テレワーカーは互いに社会的・専門的な情報を提供して、これまで職場で確保されていたような他者との繋がりや相互支援体制が、テレワークでも再現されるように努力する必要性を述べています。色々な話が出来る場を電話会議やビデオ会議のようにオンライン上で設けることで実際に会えなくても相互に助け合えるような環境を維持する事が必要ではないかと思います。

では、今日のまとめです。
今日は「在宅勤務」について、心理学者からのアドバイスを紹介しました。現在在宅勤務中という方は、今のスタイルがうまく回っているかどうか、今回お話しした内容を参考に検討されてみてください。なお、今日ご紹介した内容は日本心理学会の公式ウェブサイトで紹介されている内容を引用・参考にしています。

・日本心理学会 特設ページ 「新たにテレワーク(在宅勤務)をする人へ、心理学者からのアドバイス」
 https://psych.or.jp/special/covid19/tele_work (4月13日)
・アメリカ心理学会 「Psychologist's advice for newly remote workers 」
https://www.apa.org/news/apa/2020/03/newly-remote-workers?utm_source=twitter&utm_medium=social&utm_campaign=apa-pandemics&utm_content=new-remote-workers (4月13日)

分野: 社会心理学・組織心理学 |スピーカー: 三上聡美

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