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コンプライアンス重視の組織を作るのは難しい②~組織変革の視点から~

20/03/06

昨日からコンプライアンス重視の組織を作るのは難しいという話をしています。そもそも組織というのは本質的に変わりにくいというのが昨日の話でした。今の組織構造において既得権益者がいるということ、企業の中で今までの成功体験や企業が学習してきたものの見方、価値観がなかなか変えられないからということでした。では本質的に変わりにくい組織をどう変えていくか、そのマネジメントについて今日は話していきたいと思います。

やはり本質的に変わりにくい組織ですが、これをどう変えていくかということを考えるにあたって、少し古典的な理論ではあるものの、「社会心理学の父」と呼ばれる、クルト・レビンが示した仮説が大きな参考になるかと思います。彼は本質的に変わりにくい組織というものを前提とした上で、そのような組織を変えるには、①解凍―②移行―③再凍結という三段階のプロセスを経る必要があるということを提唱しています。

「解凍」というのは冷凍食品を溶かすという意味での解凍です。2番目の「移行」というのは物事を移動させるという意味での移行です。「再凍結」というのは、溶かしたものを再び固めるという意味での凍結で「再凍結」となります。聞いただけではプロセスが思い浮かびにくいと思いますので、各プロセスの内容についてお話していきたいと思います。

第一段階である「解凍」というのは何かというと、既存のものの見方とか価値観の破壊を行うプロセスです。これは大変難しいですが、まずこの段階でどういうことをやるかというと、今までのものの見方や価値観が通用しないとか、変えていかなければ組織の存続に悪影響を及ぼす、といった現状認識と危機感を組織内で作ることから始めます。従って今のままでは駄目だ、ということをデモンストレートして、組織の人に見てもらう、感じてもらうということが重要になります。その上で新しい考え方や新しいやり方で組織を改善していくという雰囲気を、段階的に組織内に作り出していくことが大きな目的となります。

ただし、この段階では今話したとおり、今まであったものの見方や価値観を破壊するというプロセスが生まれてきます。従って、このプロセスにおいては組織内の人々は非常に不安を感じてしまいます。組織を変革しようとする力に対して、必然的にやはり不安だから今のままにしておきたい、という気持ちが働いてしまう場合があります。ですので、ここでは単に組織を破壊するということだけではなく、この不安から生まれる現状を維持しようとする力をなるべく抑えるために、組織の人々の不安感を和らげる、というマネジメントも非常に重要だと言われています。

一度破壊して溶かした組織が出来上がったら、次に第二の段階である「移行」の段階が生まれます。この移行の段階とは、既存のものの見方や価値観を変化、変革させて新しいものの見方や価値観、またそれを具現化した行動を学習してもらうプロセスとなります。このプロセスでは、新しいものの見方や価値観を具体的行動として実践してもらうことが目的となります。簡単に言えば、解凍されて柔らかくなった組織のものの見方や価値観を新しく形作る段階と位置付けることができます。この段階では新しいものの見方や価値観を言葉ではなく行動として組織の人々に実践してもらい、そこで成功体験を積んでもらうマネジメントが非常に重要になってきます。なぜならば多くの場合、組織に根付いたものの見方や価値観は、やはり過去のなんらかの成功経験を基盤にしている場合が多いです。従って、新しいやり方でも大丈夫、新しい価値観が通じるということを組織の皆さんに腹落ちしてもらうためには、どうしてもそれをやって、何か成功してもらうという仕組みがすごく重要になってきます。組織の人々に新しいやり方での成功経験を通じて、その行動から逆に新しいものの見方や価値観を作ってもらうというマネジメントが重要になります。

そして、第三の段階である「再凍結」という段階を迎えることになります。この再凍結の段階では、移行の段階で学習した新しいものの見方や価値観を組織に定着化、浸透させて、固めるプロセスとなります。再凍結の段階ではこの新しいものの見方や価値観を具現した行動の反復と成功経験を積み上げて、新しいものの見方や価値観を、組織の人々の意識にまで根付かせることが目的となります。そして、この段階では新しいものの見方や価値観を具現化した行動の反復と成功体験の積み上げを、長期継続的に続ける変化のマネジメントというものが重要になってきます。

組織において一度文化として定着したものの見方や価値観を変化することはやはり大変難しいです。したがって一度新しいものの見方や価値観を学習したとしても、これを継続していくような仕組みが無い限り、元に戻ることが非常に多いです。事故や不祥事によって一時的には新しいやり方や新しい文化を作ったとしても、2~3年後には実は過去の文化ややり方に戻ってしまい、結果的に同じような不祥事を再発させてしまうという企業の事例を多く見ます。

特に過去に問題になった隠蔽体質とか、○○体質と呼ばれるものは、まさにこのメカニズムの結果生まれたものではないかと考えられます。この再凍結の段階は非常に重要であり、やり方も反復と成功体験を長期継続的に皆に続けてもらい、皆の意識の中に新しいものの見方や価値観を落としこむ、というマネジメントが重要になってきます。

今日のまとめ:
組織は変わりにくい、これはどうしても組織の本質的な性質と言えると思います。故に組織変革では、ただ変えようとするのではなく、組織の現状を一旦徹底的に解凍し、新しく作り直して、改めて固めるというプロセスを意識して踏んでこそ、確実な組織変革に繋がると言えます。

分野: 企業倫理 経営リスクマネジメント |スピーカー:

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